きみのえがお、わたしのなみだ
きみは自分勝手だ。
私を置いてすぐどこかへいく。
大言壮語を吐いて、
大風呂敷を広げて、
屈託のない笑顔と、
喇叭みたいな大声で。
人はキミを
幸せな奴だとバカにして、
人はキミを
大馬鹿者だと鼻で笑う。
きみは自由気ままだ。
私の気持ちを汲み取りやしない。
悠々自適に闊歩して、
勝手放題好きにして、
掴みどころのない、
ころころ転がる心模様で。
人はキミを
幸せな奴だとバカにして、
人はキミを
無責任だと蔑む。
でも本当はね、知ってるの。
ひとりになると君は
豆電球の下グルグルと、
悪夢を見ることを。
誰もが死んだ朝焼けの中で
ため息をついていることを。
スポットライトの下で
どうらんを塗り、
泣き腫らした目を
隠していることを。
私にも見せてくれない
小心者のキミを。
きみは、自分勝手だ。
私にすら、助けを求めない。
致命傷を受けてから、
余命残り30分の頃に
ひょこっと現れて、
今更現れて、
「幸せだった」と
たった一言、言い放つ。
でもね、本当は知ってたの。
助けられなかったのは
私の力がないからだって。
分かっていたはずなのに
手を差し伸べる勇気がなかった
私の、せいなの。
ごめんね、ごめんね。
きみは、自分勝手だ。
私を他所に最後まで笑う。
本当は泣きたいクセに、
最後まで笑う。
私の前でさえ強かって、
痛いも苦しいも一言も言わずに
「幸せだった」とたった一言
か細い声で言い放って。
きみは、自分勝手だ。
「幸せだった」とたった一言
笑うしかない私に向けて
言葉を放って置いてった。