【終演】令和5年の廃刀令。
アガリスクエンターテイメント第30回公演
『令和5年の廃刀令』
全3会場、11ステージが
無事に終演致しました。
3月からの作品で事故や怪我もなく
無事に終演できたことを嬉しく思いますし、
ご協力下さった皆様
関係者の皆様。
誠にありがとうございました。
第30回公演。
お声かけ頂いたのは昨年の夏で、
正直、ずっと『ホントに出演するのか?』
という思いがあるまま2022年を過し、
稽古が始まってやっと実感が湧く。
というのが個人的な感想でした。
冨坂さんと初めてであったのが
2018年の浅草ナイゲン
そこから『みんなのへや・改』
『いざ、生徒総会』『国府台ダブルス』
ラジオドラマの『古谷を攻略せよ』
そして『ナイゲン朗読版』
計6作品、冨坂さんの作品に
携わらせていただきました。
それでもずっと、
本公演には出演しておらず
私にとっては今回は
(有難いことに
周りは思っていないかもしれないけど)
とても大きな出来事で
しかも劇団員の方と
常連のコータさんのみで
「おい、江益、やれんのか?!」
と、言った気持ちでしたし、
顔合わせの時はガチガチでした。笑
でも、皆様の柔らかい雰囲気や
一緒に作品を作り上げていく姿勢を
感じているうちに、
自分も意見を言えるようになったり、
稽古で素で楽しめたり、
本当に夢のような現場でした。
だからこそアガリスクエンターテイメントを
もっと好きになったし、
これからも携われたらいいなと思えたし、
でも、憧れだけで済ませず
一俳優として
ちゃんと対等に戦えるようにならねば
と、自分を奮い立たせていました。
コメディスキルも他の方々に比べたら
全然まだまだだし、
俳優としてもまだまだなところだらけだけど、
でも、敢えてひとつの団体に絞らず
色んな現場に出て武者修行してきた
この経験は無駄じゃなかったんだな
と、思う反面、
基礎的な部分での出来なさも
露呈したなと感じる所もあって
そこは自分が俳優として
磨かねばならなかったことの甘えだし
逆に今気づけてよかったと
思えるところでもあり。
俳優として、
今この団体に、この作品に
携われてよかったなと
心から思います。
炎上ガール、八鍬舞。
台本構築時点(1月~2月)では
実は炎上の下りは一切なく
別のボケ設定があったのですが
イマイチパンチがないということで
全員で八鍬の設定会議を行った日があり
色んな意見が出たのですが、
恐る恐る『過去の写真で炎上とか……』
と、言ったら見事にそれが採用されました。
と、言うのも。
個人的に過去の自撮りを弄られることが
何回かあったので(炎上じゃないよ??!)
そういうの有り得るよなぁ。
実際あの時ってファンもいなくて
付けるのに必死で
1人でも多くの人に知ってもらうために
好きでもない自撮りを上げていたもんなぁ
と、思ってたので。
それがまさかあんなシーンになるとは
露知らず。
上がってくる台本を読み進める度に
『お……や…………?』
『これは……大変だぞ……???』
と、なっていました。笑
八鍬を演じるにあたって
1番苦戦していたのは
劇場との調整でした。
"ポータブルで持続可能な作品"
を掲げて作っているからこそ
様々な環境でやらねばならない。
それを数時間レベルでやらねばならない。
そこが劇場だったり、ミニシアターだったり
音楽ホールだったり。
客席が舞台面より下か、上か。
それによって、
まぁ当たり前のことですが
所作や発声方法が変わってきます。
とくに八鍬は
ギャンギャン騒ぐシーンが多く、
役回り的に掻き乱さないといけないので
出力やスピード感を下げないようにしつつ
反響を考えて
聞き取りやすくしなければならなかったり
女性特有のヒステリックさを
出し続けないように
なるべく低い音を出すように心がけたりと。
特にアガリスクさんのスピード感は
失速したら終わり
みたいな部分があるものの、
それにのまれないよう
セリフをきかせる意識を持たねばと
考えながらやってました。
このパワーやスピード感は
過去に参加した冨坂さんの作品で
学んだことだったので
5年間携わらせて頂けて
良かったと思ったし
あらためて自分の課題も見つかったので
日々の鍛錬を怠ってはいけないなと
強く反省した部分でもありました。
まだまだ体の使い方がなってないよ私。笑
また、杉並⇒墨田で
台本の改定がちょくちょくあり、
個人的には役の状態をかなり変えていました。
杉並の時よりもその後の方が
態度がかなり悪くなってたと思います笑
炎上発覚まではなるべく
偉そうな感じというか、
高飛車までとはいかないけれど
あえてそういう風にしておいて
炎上で急になりふり構わず騒ぎ出す。
そういう落差を出していこう!
コメディは振りが大事だもんね!!笑
みたいな、
そんな感覚を持ってやっていました。
特に前半は自分のターンまで長かったので
あまり注目されないだろうから
貧乏揺すりを一生やってたり
スマホをめちゃくちゃいじってたり笑
必要以上にやるくらいやらないと
ボールを持ってない人間は
そのパーソナリティや
状態に気付かれない。
ここは『いざ、生徒総会』の江益を
やる時に感じた事だったし
『グレーな十人の娘』でも
心掛けたことだったので
探り探りやっていました。
また、団体芸だからこそ
今このネタは誰がボケで誰がツッコミか
どこで笑いを狙いに行ってるのか
誰を見てほしいのか。
そこのアシストも心掛けてました。
見る、動く、止まる。
ボケの前はあえて動いて
邪魔な時は止まる。
とか、小さな事だし
アシストになっているかは
正直分からないけれど
そこは浅草ナイゲンの時から
やってる事なので
継続して心掛けてました。
八鍬の暴走が始まってからは
正直、『大きな声で聞き取りやすく、
元気に走り回る』しか考えてなかったので
演劇1年生気分でやってました。笑
先輩方は猛者ばっかりなので
テクニカルな部分は私の担当じゃない
と、ある意味開き直って笑
暴れ回るしかないねー!
という気分でした。
特に綺麗事あゆみお姉さんこと
榎並さん演じる上林との喧嘩シーンは
榎並さんが振りを
ちゃんとして下さるからこそウケてたし
前半で鎖鎌(古谷as高橋)が
会場を温めて、
吉光さんが振り抜いてるからこそ
『自分、でかい声で
走り回させてもらいます!!!』
と、暴れ回させてもらいました。
綺麗にパスを回さねば!!
の、プレッシャーを感じつつも
そのパス回しが上手くいってるからこそ
楽しんでいる自分も居ました。
団体芸is楽しい。
帯刀をする社会。
刀の扱いや所作に関しては
冨坂さんの演出やアドバイスもありましたが
ここで感じたのは
『剣道やっててよかった』でした笑
帯刀の位置や礼の仕方は
剣道をやっていた時に
ある程度はやっていたので
感覚的にはすぐ掘り返せたし
和装の所作に関しては
『麗和落語』で学んだ所も多かったので
それを活かしてみたり。
実際に使っている模造刀はかなり重いので
鍔に親指を掛けて移動しつづけていたら
右手の親指の付け根を痛めたりしました笑
所作に関しては
日本の伝統と文化だと思うので
あんなやさぐれつつも
そこは大事にしなきゃなと思ってました。
そして。内容に関して。
もし、一個人として
この世界で廃刀令を考えた時
どっちに入れるかな?
と、考えましたが
もう役の感覚が強く刷り込まれているので
私だったら反対だな。と、思います笑
もちろん刀は危険なものではあるし
殺傷事件も起こるとは思うのですが
もし帯刀が当たり前の社会になっていた時
それを簡単に手放していいのか。
ある意味広木的でもあり、
隅谷的な考えでもある。
私は自国の伝統や文化は
大事にしていくべきだと考える
ある意味で
保守的な部分があると思っているので
廃刀令には賛成出来ないなと思いました。
それに、
いくら危ないもの持っていると言えど、
帯刀が当たり前になっている世界で
そう簡単に抜刀はしない
風潮になっているはずで
隅谷が『人が人を殺す』というワードは
正しくそれだなと思ってます。
帯刀が当たり前の世界で
刀は人を殺すものでは無い。
そうなっているはずなのだから。
……まぁ普通に考えたら賛成が多いよな
とも思うんですけどね笑
この作品が。
一、アガリスクファンとして。
私は昨年上演され大反響を呼んだ
『SHINE SHOW!!』を客席で見た時
凄いなと思ったし、
心の底から楽しんだけど
令和5年の廃刀令の台本を初めて観た時
『私はこの本いちばん好き!!』
と、思ったとと同時に
『この作品を面白いと
思われる日本だったらいいな』
と、主語クソデカな感想を抱きました。
コメディとして、
頭空っぽで笑えるものはとても面白いし
観てて楽だと思う。
でも、私はそれよりも
笑えつつも考えるものの方が好きだし
考えた上で笑える方が好きです。
とにかく、
考えて欲しいなと思ってます。
そして考えることを
大変だけど楽しい。
と、言って貰えるような
そんな人が沢山いる社会だったらいいなと
心から思います。
最後に。
お恥ずかしながら
大千秋楽の開演前に
『終わっちゃうのか』と、考えると
泣きそうになってしまって
『センチメンタルしょーもな!!』
『ダサ!!!!』
と、自分に言い聞かせてました。笑
当たり前のように迎え入れてくださった
アガリスクの皆様(コータさん含め)に
感謝しつつも、
私にとっては
当たり前では無いことだったので
これが終わるのがほんとに寂しくて
終演後、皆さんと別れた時に
駅のホームでほんとに泣きそうになっちゃって
自分でも笑っちゃいました笑
『また。』がいつになるか分からないけど
その『また』の時まで、精一杯頑張ります。
再演の時までに身に付けたい課題も
沢山見つかったしね!!!笑
また演劇武者修行の旅に
行ってこようと思います。笑
至らない点多々あったと思いますが
一緒に作品作りができて幸せでした!!
そして。
今まで応援してくださった皆様。
私が出演できたのも
皆様の応援のおかげです。
久々に差し入れの手紙で泣かされたり笑
変わった差し入れにテンションが上がったり
感想tweetに励まされたり、
その一つ一つのおかげで今ここにいます。
皆様の応援がなければ
私は、俳優を続けられていません。
普段、どれだけ感謝を伝えられているか
分からないけれど、
私は皆様の言葉に支えられてます。
舞台を見に来てくれることに
支えられてます。
その優しさで生きてます。
そしてそれを当たり前と思わず
これからも頑張ります。
いつか、離れてしまうことも
あるかもしれないけれど
その時までは楽しませたいし
一緒に楽しいことを共有したいから
その時まで一緒に歩んでくれたら幸いです。
…歩むって使っちゃった笑
長々と書いてしまいましたが。
終演ブログはこれで終わりです。
皆様、ご来場誠にありがとうございました。
また、令和○年度のタウンミーティングで
お会いしましょう!!!
そして、
八鍬美術を今後ともよろしくお願い致します。
八鍬美術広報
八鍬舞役
江益凛
オマケ