【タイ】在庫の廃棄や不足について
在庫(棚卸資産)が紛失、破損、捨てた、際に税務上の処理はどうなるか
勝手に捨てたら不利になるので注意
異常仕損、期限切れ、劣化、作業屑を、法人税計算上で廃棄損として損金計上する条件(歳入局規則ป79/2541)
◆保管可能な在庫品の場合
社内でチェック承認+会計士立会+税務署担当官立会のもとに廃棄
なお、税務署へは30日以上前に通知が必要
◆保管不可能な在庫品の場合(食品など)
社内でチェック承認+会計士立会
◆BOI奨励を受けている場合
BOIの規定に従い、会計士立会+会計士の廃棄レポート
◆IEAT工業団地に入居している場合
IEATの規定に従い、会計士立会+会計士の廃棄レポート
紛失や実棚差損の場合
◆紛失の損金計上には盗難届が必要
法人税規定とは別に、VATの規定があり、差額は販売されたものとみなしたVATを申告納付する
法人税計算にみなし売上は計上しないので注意
(歳入法77/1-8、89-10、ท.ป.37/2534)
◆タックスインボイスの発行は不要
◆物品は販売価格、原材料は仕入れ価格で、x数量をみなし売上とする
◆みなし売上VATは単なる7%ではなく加算税が課せられる
VAT登録後2年以内に自ら申告:加算税20%
VAT登録後2年以上経過、自ら申告:加算税40%
自ら申告せず指摘を受けた場合:加算税60%
タイ国内売上とみなされる行為
◆在庫の紛失や実棚差損
◆サンプルや分析調査のために在庫を海外へ移動する
◆輸出入品を輸出入日から1年以内に返送
◆物品がタイを通過するだけ
歳入局にはみなし売上価格として、輸出日の時価を推定で決定する権利がある
結論として、廃棄か販売でしか在庫の費用化はできない。
勝手に捨てると実棚で不足を認識することになるし、在庫がある限りは低価法で評価を行わなければならないにも関わらず、評価損は損金計上できない。となると、販売不可とみなした在庫はできるだけ早く定められた方法で廃棄し、損金計上するのが最も良い。
なお固定資産も勝手に捨てないほうが良い。