大学受験昔話|苦手科目だった英語が得意になったきっかけ
1月中旬の共通テストが近づき、大学受験生はいよいよ本番モードだろうか。
自分も前日から緊張で全く勉強が手につかず、当日の朝になってもガチガチだった。ところが、会場の最寄駅でクラスメートが普通に歩いているのを見かけてふっと身体が軽くなったのを覚えている。何がきっかけで自分のペースを取り戻せるかなんてわからないものだ。僕のnoteを読んでいる受験生などいないだろうが、各々が自分のベストパフォーマンスを出せるよう応援している。
さて、今日は昔話をしたい。今でこそTOEFLで110を取ったとインターネットの大海の片隅でいきがっているが、実は高校2年生の途中まで英語が得意ではなかった。別に苦手なわけでもなかったが、暗記は得意だったので単語力でゴリ押ししていたような成績だった。大手予備校の模試の偏差値は55前後をうろちょろしていたと思う。
そんな僕が、ある勉強法と出会って一気に英語が得意科目になり、高校2年生の冬、つまり受験本番の1年前に解いた共通テストの英語で200点満点中190点を取ったのだ。ここで「英語が得意科目になった!」という自信を得て、その後の受験勉強もスムーズに進み、見事第一志望の大学に合格できた。自分の受験生生活を振り返っても、あれは一つのターニングポイントだったと思う。
そこで、この記事では苦手科目だった英語が得意になったきっかけとなる勉強法を語りたい。
予めことわっておくが、僕が編み出したオリジナルの勉強法ではない。とある予備校講師の教えに忠実に従ったというのが実情だ。したがって、僕が偉そうにこの勉強法の良し悪しについて語る資格など全くない。あくまで一体験談として読んでほしい。
きっかけ: 顔も知らない恩師
僕がこの勉強法を知ったきっかけは、清水かつぞー先生という、随分前にお亡くなりになった予備校講師の方が書いた「君の英語号は空に舞い上がれるか」という文章を読んだことだ。僕自身がどこで読んだのかは忘れたが、Z会のテキストにも引用されているようなのでリンクを載せておこう。
※PDFの5ページから引用が始まる。印象に残るところを抜粋しようか迷ったのだが、改めて読み返しても一言一句削るところがないのでぜひリンク先を見て欲しい。
※こちらのブログによれば清水先生は1998年頃にお亡くなりになったそうだ。30年の時を経ても錆びつくことのない素晴らしい勉強法を教えてくださった先生には改めて感謝を申し上げたい。
お顔もお声も存じ上げない清水先生だが、その語りかけるような優しい文体とは裏腹に、書かれている内容は武骨そのものだった。高校生ながらに「おそらくここに書いてあることが語学学習の王道なのでは!?」と直感し、これを信じることにした。もちろん単語帳も先生の著書である『ピー単』を3冊やり込んだ。
結果として、上述のとおり僕は英語を得意科目に変えることができ、その自信が他の科目の成績向上にもつながった。僕の大学受験を成功に導いてくれたのは清水先生のおかげと言っても良いくらいだ。
前置きはこのくらいにして、具体的な勉強法を話そう。
精読+音読=最高の基礎鍛錬
結論から言うと、僕は清水先生が指南していた通りにひたすら音読をしていた。より正確に表現すると、「精読により文の構造を完全に理解した文章をひたすら音読していた。」
ポイントは2点だ。
これをするとどうなるかというと、英文を頭から読んでいながら、英語のまま意味が理解できるようになる。つまり、実際に英語話者と同じような頭の使い方で読めるようになる(と思われる)ため、精度を維持しながら格段に速く読めるようになるのだ。
皆さんも英文を読むときに一つの文章の頭からお尻までを行ったり来たりした経験をお持ちだろう。要は、それが減る。
頭から読んでピリオドまで来れば、一発でその英文が理解できている。
じゃあ、次の文章に移ろう。
またピリオドだ。理解できている。
じゃあ次。
こんな感じで、するすると英文を読み進められるようになる。
それでは、具体的なやり方を説明しよう。
具体的なやり方
用意するもの
200 words程度の英文(最初は易しいもので良い)
ノート
ペン
この勉強法には特別な道具は必要ない。昔ながらのノートとペンがあれば十分だ。ガジェット好きならiPadで電子ノートに書き込んでも良いだろう。とにかく題材となる英文と、書き込むスペースと筆記用具があれば良い。
手順1: 徹底的な精読
ノートに英文を書き写し、全ての構造と意味を理解する。つまり、全ての単語の意味はもちろん、各単語や句・節がその文章においてどのような役割を果たしているのかを理解する。
例えば以下のような英文(スティーブ・ジョブズのスピーチだ)であれば、
先頭のFor ~ years,は副詞句として動詞のhave lookedを修飾している。
askedはlookedと並列関係にある
以下略
といった具合に、英文の隅から隅まで理解する。
手順2: ひたすら音読
全英文の意味を理解できたら、頭からひたすら音読する。1回読み終わるごとに「正」の時を書き込んで、回数をカウントする(正の字が増えていくとモチベが上がる)。
100回くらい音読すると、頭から読んでいってもそのまま英文を理解できるようになる。つまり、脳内でいちいち和訳することなく英語の塊として意味が入ってくる感覚になる。
ここまで到達したら、この英文はおしまいにして、次の英文に移ろう。
手順3: 手順1と手順2を繰り返す
新しい英文に対しても、精読をして構造を理解した上で、何度も音読する。これを全部で50セット程度行う。
注意点
最初の何本かはとにかく時間がかかる。まず、精読が大変だ。調子に乗って難しい英文を選ぶと痛い目を見るので、最初は教科書に載っているような簡単なもので良い。スティーブ・ジョブズのスピーチを例で使ったのも、彼のスピーチは比較的平易な英語で書かれているためだ。
また、精読が終わっても、その英文をスラスラ読めるようになるには100回くらいの音読が必要になる。英語初心者なら200回かかるかもしれない。僕も最初の英文は120〜150回くらい音読した記憶がある。初日は喉が痛くなるくらいやり込んだのを覚えている。
それでも、数をこなすうちに100回かかっていたものが50回になり、50回が30回、30回が20回、と徐々に慣れてくる。10回程度でスラスラ読めるようになればしめたものだ。あとは歯磨きのごとく毎日1本を10回音読すれば、1回1分としても前後の準備込みで15分程度で終わるようになる。
僕の場合は『英文解釈の技術』という参考書がたまたま手元にあった(難易度がいくつかあるようだが、どれを持っていたか忘れてしまった)ので、それに載っている英文のうち短めのものを選んでやり込んだ。難易度設定さえ適切ならなんでも良いと思う。好きな教材を使うのも勉強を続けるコツの一つだ。
まとめ: 地道な鍛錬こそ成長の近道
さて、精読+音読のやり方が十分伝わっただろうか。正直なところ清水先生のやり方をほぼそのまま書いただけに近く、僕のオリジナリティはほとんどない気がする。強いて言えば、具体的な回数の目安や使用した教材が参考になるかもしれない。
もしいま大学生や社会人として同じ勉強法に取り組むのであれば、『速読・速聴英単語』あたりが良いテキストになるのではないだろうか。
はっきり言って地道な作業だ。最初のうちは喉も痛くなる。しかし、修行僧のように、根気強く取り組むことで、まさに「君の英語号が空に舞い上がる」ことになるだろう。
少なくとも、僕の場合は効果がてき面だった。ぜひやってみてほしい。