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どうにも歌が作れない(ハナレグミの光と影に思う)


   私はギターを弾きますが、さほど上手くありません。曲も作ったことありますが、全然作れません。ギターの先生に作ればいいじゃんとよく言われたものですが、私には伝えたいことがなかったのです。その代わり、私の気持ちを代弁してくれるアーティストが沢山居ました。

   私は学生の頃から邦ロックが好きで、今でも好きなアーティストが沢山います。邦ロックといっても定義は幅広く、その中で様々なジャンルがあります。私の好きな人たちはその中でいうとオルタナティブで、激しいカッコ良さというよりも優しいカッコ良さがあります。そして歌詞は英語詞でなく、日本語詞です。

   日本語の分かりやすいようで分かりにくいところが好きです。

   私は外国のロックは知ってても聴きません。ファンというほど好んで聴いてるのはビートルズくらいで、そんなビートルズの歌詞でも、無理やり日本語訳されてると萎えるというか、誰かを介していることによって若干ニュアンスが変わっている気がしてしまいます。まあ私が英語学べばいいだけなのですが、逆に言うとこんなにややこしい日本語詞のニュアンスを直接受け取れることに幸せを覚えます。

   そんなふうに昔からバンドマンたちに感動ばかりしていたので、表現=歌だと、そう思いこんでいたかもしれないと、最近思いました。

   この曲は、ハナレグミの「光と影」といいます。この曲もうなんか知らんけど無条件に泣けてしまうのですが、曲についてのレビューはひとまず置いとくとして(置いとくのかよ)これは、秋葉原の事件をきっかけに作られたといいます。私はこういう、分かりにくさとか、隠れたメッセージが好きで、粋だと思います。実はこういうことなんだよという仕組みがわかった時に、なんてオシャレだ!と思います。それは曲を作ることによってのみ可能だと信じていましたが、実は歌じゃなくても可能なんだということに、ようやく気づきました。

   SNSがこれだけ盛んになって、ブームというより最早生活の一部となった今、みんなが表現する時代になりました。そういえば化粧も、ファッションも、聴いている音楽も、発信することなどなくとも、生きてるだけでみんなが表現している。そして、仕事はまさしく表現なのでした。私が金融系OLだったことも表現だし、今カラーアナリストになってることも表現です。

    私の屋号について、このスラッシュは何かとか、7は何の7かとか、訊かれました。意味はないといいたいですが、実はあります。でもないって言うかも。そんななんとも分かりにくいメッセージを自分の屋号に乗せられたことが、嬉しい経験になったと思っています。歌が作れなくても、自分の仕事で、また仕事以外で、表現していけたなら幸せなことです。


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