ライトムーン王国物語 1−2
ツェツィーリアの誕生
「ホギャーホギャー!」
「奥様。可愛い、元気な女の子ですよ〜」
「まぁ…本当に…可愛い…ですわ」
(あら?この子の容姿…お母様に似てるわ…じゃあ、ミドルネームはあれで決まりですわね!)
「…御機嫌よう…赤ちゃん今日から…貴女のお名前は…ツェツィーリア。ツェツィーリア・ラナ・アルテミスよ…」
バーン!!
「ディアナ!!」
「あなた…たった今産まれましたわ」
「おぉ!名前は?!」
「ツェツィーリア・ラナ・アルテミスですわ」
「そうか。ツェツィーリアか。では愛称はリアにしようと思うのだが…どうだ?」
「えぇ、名案ですわ」
「クスクス。ありがとう、ディアナ。疲れただろう?今日はもう休め」
「はい」
「産んでくれてありがとう、愛してる。おやすみ、また来るよ」
「はい、おやすみなさい、あなた」
パタン
「父上、母上は…?」
「大丈夫だ、無事だよ。ディアナもリアも」
「リア?僕の妹はリアという名前なのですか?」
「あぁ、ツェツィーリア。だからリアだ。あれはなかなかな美女になるぞ」
「そうなのですね。僕の妹はツェツィーリアというのですね。あれ?父上、ミドルネームは無いのですか?」
「あぁ、あるぞ」
「何ですか?」
「ラナ。だそうだ。ディアナが付けた」
「そうですか」
(まさか自分の娘に自分の母の名を付けるとはな。これは早く母上殿に報告せねば)
ーーーーーーーーーー3週間後
「リアちゃーん!お祖母様が会いに来たわよー!」
「あぁー」
「きゃーー!可愛いでちゅねー!お祖母様でちゅよー!」
「おいおい、あまりはしゃぐなよ、ラナ」
「あら!いいじゃない!自分の孫に会ってはしゃがない祖母なんていると思いますか?陛下」
「『陛下』と呼ばないでくれるかい?ラナ。私は悲しくなってしまうよ」
「おじいちゃんが何を言ってるんですか?本当にもう!ほら、貴方もリアに話しかけなさいよ、ジェイ」
「あぁ!リア、お祖父様だぞー」
「あぁーあー」
「返事をしてくれたぞ!ラナ!」
「ハイハイ、良かったですねー」
「あぁ!孫娘に返事をしてもらうというのはこんなにも嬉しいものだったのだな!」
「フフ、良かったですよ、貴方がこんなにはしゃぐなんて久しぶりじゃないですか。呼んでくれてありがとう、レイシア」
「いいえ、お母様。私だって会いたかったのですよ、お父様とお母様に」
「そう。でも、何でリアに私と同じミドルネームを付けたの?」
「それは、この子の色彩がお母様に似ていたからです」
「そうかしら?」
「あぁ!この子はラナそっくりだ!顔立ちも色彩も!」
「そうなの?まぁ、いいわ!貴女が愛情を込めて付けたと言うなら私は何も言わないわ!レイシア、2児の母としてこの国の公爵夫人として頑張りなさい」
「はい!お母様!ありがとうございます!」
「きゃあう」
「うーん!やっぱり可愛いわぁー!」
「良かったな、ディアナ。母上殿が喜んでくれて」
「えぇ、本当に。あなたのお陰ですよ、ユージーン」
「フッ、そうか。そう言ってくれたら嬉しいな。さて、両陛下。そろそろ晩餐ができる時間です。リアはそれくらいにして、ダイニングルームへ行きましょう。セシル、ご案内して差し上げろ」
「はい、父上。お祖母様、お祖父様。ご案内します。こちらへどうぞ」
「まぁ!セシルちゃんが案内してくれるの?可愛い案内係ねぇー!じゃあ、よろしくお願いしますわ!」
「あぁ、可愛い孫に案内してもらうなんて何と幸せなんだろう。お祖父様は嬉しいぞ!」
「有り難きお言葉です。お祖母様、お祖父様」
「「フフフ…」
------------------------ダイニングルーム
「「ご馳走様」」
「それじゃあ、名残惜しいけど、私たちは国に帰るわ」
「そうなのですか?」
「あぁ、今、国は儀式の準備で忙しくてな。あまり長居は出来ないのだよ。許しておくれ?セシル」
「儀式が終わったら、また会いに来るわよ、セシルちゃん」
「分かりました。それまで楽しみに待っています」
「御見送りしようか、セシル」
「はい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー玄関先
「ではな、セシル。また来るぞ」
「お祖父様、道中お気を付けて下さい」
「あぁ」
「レイシア、ちゃんと私たちの分まで愛情を注ぐのですよ」
「はい、お母様」
「それじゃあね」
「本日は有難うございました。道中お気を付けて」
「えぇ」
ーーーーーーーーーー4年後
「起きてください、お嬢様」
「んんー」
「お嬢様、起きてください!お嬢様!」
「んんー…おはようターニャ」
「えぇ、おはようございます。お嬢様。朝のお茶はいかがですか?」
「えぇ、おねがい」
「かしこまりました」
パタン
コンコン
「どうぞ」
「起きたかい?リア」
「!おにいさま!」
「フフ。おはよう、リア」
「おはようございます!おにいさま!」
「リアも明日で5歳だね」
「はい!」
「じゃあ、魔力検査の日だね」
「?まりょくけんさ…ですか?」
「ん?あぁ、そうだよ。リアはまだ知らなかったのかな?」
「はい」
「じゃあ、説明するね。この世界の生物が皆魔力を持っているのは知っているね?」
「はい!授業でやりました」
「うん。でね、5歳になったら魔力量やその適性を測るんだ。それが、魔力測定」
「なんで、適性や魔力量を測るのですか?」
「あぁ、それはね。お茶を飲み終わってか
らにしようか」
「あ、はい」