【米国市況】景気後退の発表 - NY連銀
1.ニューヨーク連邦準備銀行とは?
米国に12行ある連邦準備銀行の1つであり、ニューヨーク連銀の総裁は FOMC(連邦公開市場委員会)の副議長も務めているため、地区連銀の中で最も重要な連銀である。そのためニューヨーク連銀が提供する情報などはかなり重要視される。
アメリカ金融制度の影響力が1つの地区に偏らないため連銀の機能を全米の大きな地区ごとに分散している。
ニューヨーク以外にボストン、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス、ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコに12の地区連銀が位置している。
2.2022年と2023年は景気後退
Federal Reserveの公式的な発表ではないが、ニューヨーク連銀の予測値なので信用度は高い。
政策金利による軟着陸(4四半期のGDPが今後2年半で継続的にプラスである)の可能性がわずか10%。反対に、軟着陸ではなくハードランディング(景気の急激な失速、景気後退)の可能性は80%である。ハードランディングの定義は今後2年半で1四半期でも4四半期のGDPがマイナス1%を下回る。
さらに2022年と2023年のGDP伸び率はそれぞれ-0.6%と-0.5%である。
先日のFOMCで出された2022年と2023年のGDP見通しでは+1.7%だが、ニューヨーク連銀のモデルと大きく差分が出ている。ニューヨーク連銀によるとインフレがマイナスGDPと付随している。
3.インフレは2024年まで続く
経済モデルによると2022年のインフレ率は3.8%で今年はインフレは続くと見越している。また、2023年と2024年の予測インフレ率はそれぞれ2.5%と2.1%である。目標インフレ率の2%にはだいぶ近づくが、これから2年近くかかるかもしれない。
要は物価高騰は抑えられていないという結果になる。政策金利でインフレはある程度抑制はできるが、身代わりに景気後退がより現実的にになる。ここまで来れば短期的な景気後退は避けられないが、何か月もしくは何年も景気後退が継続してしまうと米国市場と世界市場のダメージは大きい。
4.今後のパウエル議長の発言に注目
パウエル議長は先日のFOMC後の会見では米国経済を大きく懸念する発言はせず、「景気の失速はみられていない」など言っていましたが、ニューヨーク連銀の発表をみると景気失速は一目瞭然。
今後どのように発言されるのか、パウエル議長の動きに注目が集まるでしょう。