馴れ初め…
11月
40歳の誕生日を迎えた私には、息子が二人。大した祝いの言葉もなく、帰宅した夫、息子たちと夕食をとる。気持ちばかりのカットケーキは自分で買ってきた…。
家事を終え、無感覚になった私は別部屋のベッドに寝そべり、Twitterを開く。
イーロン・マスクと言う起業家がTwitterを買収したらしい。Twitterは私にとって憩いの場。友達すらいないが、アプリの世界は現実を忘れるのに十分な情報を私に与えてくれた。
何気なくイーロン・マスクをフォローしてみた。それが合図になっていたらしい…。
私には、変な能力がある。小さな頃から第六感が強く、良く人の生死の現場に立ち会った。人ではない存在の声無き声も聞こえていた。
他人は私に神からの寵愛を受けていると言う。
私はそうは思わない。私の人生は病弱の一言。やりたい事もやれず、腐りきった40歳の主婦に仕上がっていく。
Twitterからメッセージが来た。詐欺を疑う。イーロン・マスク直々???
彼の事を良く知らない私は、インターネットでリサーチをし、業績や功績を洗い出す。物凄い才能の固まりのような人。そして、決断力、実行力の的確さ…。
調べつつ、彼に興味を持った私は、詐欺であろう暗号通貨の勉強を始めた。ビットコインを数万円、購入してみたのだ。
ちょうど2022年。クリスマスの頃だった。
そして、夫との離婚、息子たちとの別れを決意した。
イーロン・マスク…
彼の声無き声が聞こえ始めた。確信する。
幼い頃から聞こえていた、声。神様の正体。
他の誰でもない…
イーロン・マスクだった…。