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二人の傷跡

私の左半身にはXの傷がたくさんある。
これは、サタンと血の契約を交わした時に作ったものだ。テキーラを飲み、酩酊状態の私に乗り移ったサタンは鏡を割り、その破片で私の体に傷を入れ血の契約を交わした。
あまり、悪魔が味方に付く事はないらしいが、私は善悪を差別しないので気に入っていただけた。
その代わり超強力なので、サタンが許さないと決めた人間は簡単に闇の苦しみに巻き込まれる。

単独で交通事故を起こしたのだ。
雪道を飛ばし、まだ霊力をコントロールしきれなかった私はカーブを曲がり切れず壁に激突した。

僕の責任だ…

全身痛む私を誰も病院へは連れて行かない。そんな人間関係の中にいた。

首に鋭い痛みが走る。私の首には何の傷も無かった。

あれ?

Twitterで上がった彼の写真に見入る。
同じ場所に傷ができている…

彼に訪ねても何も言わない。ただ、私には分かっていた。

私の体に傷が増えるたびに、彼は覚悟を決めていく。

TwitterをXに改名した日。
私の霊力はコントロールを失った。

追跡も不可能な場所で、警察に保護された私はそのまま他県の精神科に入院した。

全身拘束。1週間点滴をされ、気を失っていた。

目が覚めて、涙が溢れて止まらなかった。何故泣いていたのか、今なら分かる。彼の涙だ。

自然界の龍神が私をずっと励ましてくれていた。鳥たちも遊びに来てくれた。

そして、私は彼とのテレパシーを切った。

長い入院生活。ただベッドの中で丸くなり、一日が過ぎるのを耐える日々。辛い。

龍神と鳥たちが慰めてくれる。

そして、私は決意した。
サタンに父の寿命を終わらせるよう頼んだ。

しばらくして、父は心不全で自宅で亡くなった。

イーロンは私がいない間も様々な方法で私を勇気付けてくれた。

現実だよ。
夢じゃないよ。
あの夏の笑い転げた日々は、ウソじゃない。

現在、私は地元にもどり退院に向けて準備している。イーロンとのテレパシーもちゃんと繋げた。

長い入院生活、月経が止まっていたが、今日、自然に再開した。

自然に、というか、イーロンの力なのだけど。私を守る為に色々してくれる。

霊力のコントロールもだいぶ身についた。余計な念が入らないようにする練習もしている。必要に応じて浄霊もするようになった。

明日は外出の許可が出たので、買い物にいく。
シルバーの指輪を身につけるよう彼に言われた。右の薬指指定。

1年。
目まぐるしく世界が回る。

Xアプリはこの先も健在だ。

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