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巻き戻る天体と時計の針ー天体の逆行についてー

もしも時間をぐるりと巻き戻せるとしたら。
だけど記憶は引き継ぐことができるとしたら。
私たちはあの時と全く同じ行動を取るでしょうか?
きっと多くの人がNOと答えるでしょう。
繰り返す時の中で、有り得なかった未来を創造する_____一度は思い描く夢物語です。

実際に時を巻き戻す方法は、残念ながらいまはまだ見つかっていません。
しかしホロスコープの上で、私たちは似たような現象を目にすることがあります。

天体の逆行。
具体的な説明はここでは割愛します。
太陽・月以外の主要8天体で観測されるその現象は、実際に星が逆方向に動いていることを示すものではありません。
それらはあくまで見かけ上の運動。
人類の、または地球の見る夢と言ってもいいかもしれません。
とはいえ確かに同じ星座や同じ度数をもう一度辿る星々の幻影に、何か意味を見出してしまうのが私たち占いを愛するものたち。

今日はそんな逆行天体の物語を少しずつ紐解いてみたいと思います。
さあ、星たちとともに、時計の針を巻き戻す旅に出かけましょう。

巻き戻る水星と過去からの声


水星が巻き戻るとき

私たちは課題にもう一度向き合う

やきもきすることもあるでしょう

言葉のずれ 荷物の遅れ

だけど気長に待っていて

「あの時もっとよく考えておけば」

後悔になやむ、どこかの世界の私たちが

もっとちゃんと、今度こそと呼びかける

ひとつひとつの違和感が

大切な未来へのメッセージ

水星の逆行は、その頻度の高さから注目されることが多いように感じられます。
この時期はコミュニケーションにずれが生じやすいとか、通信機器が壊れやすいとか、色々と不穏なことがまことしやかに囁かれていますが……
恐れるだけではもったいない。

そもそも日常生活でのうまくいかないあれこれは、天体の順行逆行問わず訪れるものです。
ではなぜ、逆行でおこる不都合な出来事ばかりが注目されるのか。
それはこれを機に見直すことができるかもしれないことだからです。

水星は先述したように、コミュニケーション全般を担当します。
人間のような社会性の高い動物には、命の次に大事なものです。
ゆえに後悔の起こりやすい分野でもあります。
あの時、あんなこと言わなければ……こうしていれば……
トランジットの水星の逆行時に、私たちはそんな過ぎ去った後悔を思い出すかもしれません。
そしてその想いは、逆行の期間にしっかり向き合う姿勢を取ることで昇華させることができます
過去の世界でやり直しを図るかのように。
未来志向を忘れるなというけれど、この時期は「これまでの自分と向き合うこと」「同じ作業の繰り返しでもめげないこと」を意識することが肝になるでしょう。
それは巡り巡って、より良い未来を築くための礎となってゆくはずです。

巻き戻る金星と置いてきたギフト


金星が巻き戻るとき

私たちは置いてきた宝物と再び出会う

あんなに大切にしていていたのに

いまやすっかり埃をかぶってしまった

それは過去からのタイムマシン

新たな趣味を開拓するより

かつての相棒に目を向けてみよう

未来を考える恋人たちも

いまはただ、手と手で触れ合う感触を大切に

はじめてふたりで出かけた時のように

金星が直轄するのはまさに愛情、それが逆行するため、金星逆行時には愛情が過去へ遡ると考えられます。
ということで連想するのが、先述したような置いてきた宝物(ギフト)です。
なにやら可愛らしい雰囲気。
こちらの時期も懸念点はあり、愛のもつれ・終わった恋の再燃・金銭面の不安定さなどが想定されます。
いままさに恋愛中の方たちは、この時期に関係を前に進めようとするのは得策ではないかもしれません。
昔の関係を思い出してセンチメンタルになったり、愛情が独り善がりになってしまうこともあるでしょう。

その代わり、過去からのギフトが現在の愛情を深めてくれるきっかけとなってくれることがあります。
私たちは人生を前へ前へと進むために、沢山のことを忘れてしまいます。
過去は過去でしかなく、手に取ることもできなければ確かにあったと証明することもできません。
私たちが「記念日」や「アルバム」を大切にするのは、そんな儚い過去を少しでも記憶にとどめておきたいという切なる祈りがもとでしょう。
祈りと愛はよく似ています。
思い出の宝物とそこに宿る祈りに、大切な誰かとともに触れることで、私たちは失われた愛を取り戻すことができるかもしれません。

巻き戻る火星とスタートライン


火星が巻き戻るとき

私たちは同じコースに還ってくる

一度はゴールテープを切ったけれど

その走りには後悔が残る

グラウンドを踏みしめれば

今まで見えなかった障害に気づく

逸る思いを抑え、ひとつひとつ取り除いて

今度こそ最高の走りをするために

あのとき諦めてしまったあれこれも

もう一度、一歩踏み出してみよう

火星の逆行は私たちに停滞感を与えるかもしれません。
それは新規のプロジェクトを立ち上げるとか、未来へ向けて具体的な行動を起こそうとしている人にはなおさら。

ホロスコープ上では太陽・月・水星・金星・そしてこの火星までが「個人天体」と呼ばれます。(公転周期が比較的早く、個人の行動に大きく影響が出るとされている星たちです。)
この中で逆行が起こるのは水星・金星・火星の3つですが、火星については逆行が「約2年に1度」ともっとも頻度が少ないのがわかります。
それゆえか、火星のもたらす停滞感・巻き戻り感は身体に馴染みにくく、一層身動きが取りにくいと感じられる方もいるでしょう。

この火星の逆行は、私たちに「立ち止まって振り返ること」の大切さを語ります。
がむしゃらに進んできた人ほど停滞感が強いのは、
がむしゃらに進んできた人ほど振り返る暇がなかったから。
よくがんばっていたのです。だからこそ、立ち止まるべきなのです。
もどかしいかもしれないけれど、身動きできない自分をも受け入れて。
迷ったら同じスタートラインに戻ってみてください。
大きく深呼吸をすれば、走り直すのは同じ道でも、見える景色は異なることに気がつくはずです。
「攻略法」も自ずと変わってきます。
この期間はとにかく焦らず、自分の心の炎と向き合う作業が必要です。

巻き戻る木星と再配達


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