【雑感日記】 「おかしな日本語」(19)
今回は以前にも紹介した「みたいな」とよく似た用い方をされる言葉を紹介します。まずは例文です。
あの人今日休みはるて言うとった、知らんけど。
今日午後から雪が降るんだって、知らんけど。
最近徐々に耳にするようになってきた言葉でもある「知らんけど」。もとは関西方面の方言の一つだと思いますが、それが最近関東地方でも耳にするようになってきました。とは言ってもまだまだその頻度は少ないですが、関西地方ではかなり浸透していてまさに「みたいな」と同じように使われている感じがします。
用いられ方は「みたいな」と同じ、日本語独特の間接表現の新しい方法の一つと思われます。特に関東地方の人が聞くと人を小馬鹿にしたような印象を与えます。つまり言葉に誠意を感じさせないところをわざと利用して間接表現として用いられている、しかしそれを受け入れられない人も多くいることには気づかずついつい使ってしまうところはよく似ています。
しかし「知らんけど」は「みたいな」ほど稚拙な表現ではない上にあきらかに否定表現で聞き慣れない人にとってはかなりバカにされたような気分になります。「知らんことなら言うな」と言い返したくなるほど人を小馬鹿にしているように感じられますが、それは自分が関東の標準語で生活しているからで、おそらくは関西ではそれほどの意図も意味合いもなく使われているのだと思います。
上の例文を正しく直す事は果たしてできるのかどうか、自分には確信はできないが単純に「知らんけど」を言わなければいいのではないかと思います。とにかく身内や同じ地域の人相手ではない場合は使わないでしょうし、敢えて使おうとも思いません。関西言葉に関してはどのような意味合いかというのは的確には指摘できかねます。僕が考えているよりもずっと軽い感じで用いられているのだとは思いますが、そこはやはり地域差が大きいのだろうと思います。一つ言えるのは標準語の場合この言葉をつけることは表現として退化している顕れであります。これ、言われると結構カチンときます。
方言の範疇を超えた言葉の用い方は時として必要以上に意味合いが強調される恐れもあります。ちょっと面白そうと思って自分の言葉として用いることは時にリスキーでもあることを知るべきです。