【入院日記】 「なかなか過ぎない夜(中)」
気がついた時は場所こそハッキリしないがICUに運ばれて、大勢の人に声をかけられてベッドに寝かされたところからだ。予期していないことでも起こったのか周囲の人達は対応に迫られているようだった。
ものすごい疲労感に包まれぐったりとしていた。とにかくよく覚えていることは突然意識を失った後で一瞬にしてものすごい疲労感に包まれた事だった。そう、痛みや苦痛を伴う状態ではない、数日間働き詰めになった時のあの身体がぐったりとした疲労感そのものだった。疲れ切った状態で意識が戻った。
ICUには妻もいたのだが「今日はここで寝られるよ」と言い残すと追い出されるように帰って行った。このご時世なのだからしょうがない。
時が経つにつれ意識はハッキリとしてくる。しかし意識が戻るとその分だけあちこちの痛みに気づいてしまうだけであまり有難いことではなかったような気がする。これまでの腰の痛みはかなり和らいだがそのかわりに胃のすぐ裏側と腎兪のすぐ近くに新しい痛みを感じるようになった。これこそが新しい固定器具を埋め込まれボルトで固定されている部分なのだろうとすぐにわかった。
そして気がつくといろんなチューブが全身につけられていた。左腕の点滴はまるでタコ足配線のように複雑化しており、右腕にも同じようなものがついていた。ドレーンと排泄管、バイタル計測のコードなど。下手に身体を動かせば絡んでしまいそうな程の数のチューブでいつの間にか雁字搦めにされていた。
ある程度意識がハッキリしてくると全身の痛みがわかるようになり、明らかに手術の部位だろうと思われる場所がとにかく痛む。時間はすでに午前0時を回っていた。その頃ちょうど緊急手術の人が新たに運び込まれてきたのを覚えている■
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