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【シャニマス考察】「いつのまにか、惹かれていた」【樋口円香】
《はじめに》
noteに文章を打ち込むのは初めてなので、至らぬ点が多いかと思われますが、何卒温かく見守っていただければと思います。
今回アイドルマスターシャイニーカラーズというゲームに関する記事を書かせていただきます、えるむと申します。私の自己紹介よりも、この記事で伝えたいことだけ先に書かせていただきます。
pSSRの円香が、5/22に実装されました。pに冷たい態度をとるシニカルなキャラとして当初から注目を集めていましたね。しかし優勝コミュまで読み終えたプロデューサーたちは、賛否両論あるものの、円香がどうして冷たい態度をとるのかという裏付けや、これからのpと円香の関係性がどうなるかをある程度理解したんじゃないかなと、個人的には感じています。
ところが今回実装された円香のpSSRのコミュに関して、私はまだ何も世間の評価を目にしていないので(いかんせんこれを書きはじめているのが実装から2時間しか経ってないときなので)わかりませんが、少なくとも【≠】の三峰くらい物議を醸す内容になるんじゃないかと思っています。
そんな円香のコミュについて今回は記事を書かせていただきます。当然ですがネタバレを含みますので、自分で引いてコミュを読みたい方はブックマークだけして後で読んでいただけると幸いです。
では前置きもこのくらいにして、今回のコミュに関する私の感想もとい怪文書を、ご覧ください。
《ここでの解釈の上での前提》
皆さんはアイドルマスターにおけるPとアイドルの関係と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?
信頼、友情、親愛、恋愛…いろいろな解釈でアイドルとの関係を楽しんでいるプロデューサーがいると思います。
もちろんシャニでも例外ではなく、キャラクターによってさまざまな解釈ができるコミュが多くあります。そして、公式上で露骨にPのことを特別視している描写が見受けられるキャラクター(俗にいうPラブ勢)がいるのもシリーズを通じての特徴ですね。
──こんな愛が重い子もいたり
──こんな風にプレイヤーをドキッとさせてしまうようなセリフも見られたりします(もちろん本当に付き合ってはない)
こんな風に、恋愛感情と解釈しても間違いではないような描写が見受けられることもしばしばあります。もちろん、恋愛ではないという解釈も一つ正解ではあると思います。ここでは「アイドル→pへの感情は解釈次第である」という前提で、ここでは話を進めさせていただきます。
#【カラカラカラ】樋口円香のコミュを読んで
さて、ここからが本題です。
円香のW.I.N.G編は最初はプロデューサーに対して冷たい態度をとる彼女が、徐々に自分の心の内をほんの少しですが明かし始め、ようやく最後Pのことを“プロデューサー”として認めてくれるという内容でした。
──始めはpのことをミスター・○○と罵り気味に言う円香。
──しかし優勝コミュの最後の最後のセリフで、ようやく自分のことをプロデューサーとして認めてくれる。ズルい笑顔とともに。
そのコミュで樋口円香の沼にまんまとハマってしまったプロデューサーも多くいることでしょう。そして我らが待ち望んでいたpSSRの円香が実際され、いよいよ初の恒常pSSRのコミュが世に解き放たれることとなりました。
今回のコミュを読んで、こう思ったのは私だけではないはずです。
なんか共通コミュより露骨に冷たくない?
先ほどの画像の優勝コミュはあくまでW.I.N.G編の最後なのでまだしも、思い出アピール3以上のセリフや信頼度セリフでは、文面だけではトゲがあっても柔らかな言葉の言い回しなどで、ある程度Pへの信頼や特別な感情が見受けられるものが多かったです。
しかし、今回のpアイドルの円香は、共通コミュと同じ、下手したらそれ以上に露骨にPへの嫌悪感を示しているように感じました。
まずはシーズン1のコミュから
・「ニガニガ」
─シーズン1コミュにて、pが間違えて同じラベルだった円香のコーヒーを飲んでしまったシーン。
──この後叩きつけるように扉を閉める効果音が流れ、なかなかショッキングなオチを迎えます。
“間接キス”がテーマになってるコミュなので、とくにシーズン1のあんな風に知り合ってから間もないころは、いくら自分が後から口をつけてなくとも流石に事実上の間接キスには嫌悪感を強く感じたのでしょうね。
続いてシーズン2です
・「水、風、緑」
──Pが会話を続けようとするも、素っ気ない態度の円香。
──川に転びそうになった彼女を助けたものの、腰を掴んでしまったことを咎められてしまい、これもまた後味の悪いエンドです。
シーズン1.2は序盤だからこんなものかな?とは思うのですが、それにしてもpに対しての態度がとても刺々しいです。共通コミュではアイドルという概念に対しての嫌悪だと捉えることができましたが、このコミュは明確に(感情の裏付けは置いといて)Pへの嫌悪が感じられます。
しかし実はこれらのコミュ、後味の悪くならないエンドになる選択肢がそれぞれ1つだけ存在しており、そちらを選び続けることで無難なエンド(むしろこれから先の展開を見るに正解といってもいい)を迎えることができます。そちらについての解釈は少し本題と逸れることとなるので、別の記事でまた書かせていただきますね。
そして迎えるシーズン3、ここで私は初めて“このコミュを通じて我々プロデューサーに伝えたいこと”を理解しました。
全く予想してなかった、アイドルマスターの今までにない新しい形なんじゃないかと、プロデューサー業2年のにわかながら思ってしまいました。
・掴もうとして
いつものように難なく撮影の仕事を終え、一緒に帰ることもなく現場解散をするPと円香のシーンから始まります。
画像の間にもう1つ別の、円香が素っ気なく事務所を後にするシーンカットが入るので先ほどと別のシーン。車の中で、このあとご飯でもとPの誘いを断る円香。「やっとあなたと離れられるのに」という今までで一番キツい言葉がPを刺します。
気持ちだけ受け取ると定番の断り文句で車から去っていきます。
ここで「誘いを断って車から出るって、家まで送ってからご飯誘うのはタイミングおかしいし、現場の近くならわざわざ車に乗る意味ないし、イマイチ辻褄が合わなくない?」と感じた方は鋭いですね。別記事にてそこに触れる予定ですのでそちらもお願いいたします。
そこから画像のように、それぞれ街灯の下や学校の階段、駅を背景に、プロデューサーと別れの挨拶を言い続ける円香。
↑このような背景が次々に移り変わります。
それぞれに応じた返事をするP、だんだんと返事に正気が宿らなくなります。(まさか公式で「円香……」を言わされるとは)
突如暗転し、暗闇から円香の声が聞こえます。
そこには夕陽の刺す事務所の中で、優しく微笑む円香の姿が
勘のいい方はお気づきでしょう。
夢オチです。途中から会話の表現が曖昧になり、夢であることを匂わせているので、夢オチにも納得できてしまうのが流石ですね。
このあとようやく選択肢に入るのですが、一番決定的であろう選択肢をご紹介します。
「夢は現実の投影」と本人は語ります。日頃から担当の円香に罵られ続けても余裕そうなPでしたが、やはり夢に出てしまうほど思うところはあったようです。
どこからが夢か、思い悩んでるうちにカップを割ってしまう効果音が流れます。
「あなたってダメな人」と夢の中で円香に言われた言葉が、pの中でリフレインします。
ここまでみて薄々感じてる人もいるかもしれませんが
Pの夢の中に「微笑む円香の姿」が出てくるって、流石に円香に対して感情持ちすぎじゃない?
そこで薄々このpアイドルのテーマを感じとってしまった私は、すぐさまシーズン1.2のコミュを見返しました。
──間接キスをしてしまったことを意識してしまうP。
──本当の円香を探し続けると独白。
──これらを気づかいや優しさと処理するにしては、一方的すぎてかつどこか肩入れしすぎのように感じます。特に間接キスの意識は、いつもはあまりアイドルのことを異性と意識しない、余裕な態度をとるシャニPにしては随分と珍しい反応ですよね。
「アイドルのことを知りたい」「もっと親密になりたい」って、現実の世界でゲームの中のアイドルを担当する(推す)我々には必ずある感情だと思うんです。
ですが、当然アイドルマスターというコンテンツはキャラの個性を出すことや親密になる演出を惜しみません。そういう部分を知ることで、自分たちはアイドルのことをより好きになったりするでしょう。
しかし、このコミュでの円香には、それがありません。もしアイドルのことを知りたくても知れない、親密になれないとき、タイトル通り掴もうとしても掴めないとき、我々にはどんな感情が浮かぶでしょうか……?
この問いを一旦頭の片隅に置いていただき、続いてシーズン4のコミュをご覧ください。
・手すりの錆
何やら円香に伝えたいことがある様子のP、送ったメッセージに返信をしたかどうかの判断は読み手に委ねられましたね。
円香がサインをしっかり書いてくれたことに関して、感謝を述べています。もちろんPを喜ばせるためじゃないと答える円香。サインは1発書きの適当なものだったそうですが、彼女の本来の性格上、本当に適当なのかどうか疑ってしまいますね。
円香と“対等になりたい”と語るP、対して円香の反応は、意識の範疇にない言葉が飛んできたことに対する疑問符でしょう。そして幼馴染という単語を出したPに対して
いつもの表情で噛み付きます。Pは言葉を撤回しますが、それでも親密になれないことに対しては後ろ暗い様子。
幼馴染のことは、好きか嫌いかで考えないと語る円香に対して「アイドルを続けていれば、ずっと一緒にいられるもんな」と、Pが知りたい“円香がアイドルを続ける理由”を掴めたかのように思えたP、しかし……
憂いた表情で黄昏るアニメーションと共に
円香の心はつかめないまま。
最後のPのため息で、コミュは終わり。アニメーションのコミュに選択肢はないので終わりはこれのみとなります。
さて、先ほどの問いに話を戻します。
この4つのコミュを読み終えて、現実世界の円香担当のプロデューサーの方で、プラスに振り切った感情を得ることができる人はおそらくいないのではないかなと思います。
理解しようとしても、知りたくても、理解できない、知らない。親密になろうとしても、なれない。手を伸ばしても届かない、ずっと彼女の後ろ姿を追い続け、ついには夢にも出てきてしまう。
気づけば我々プロデューサーは、円香のコミュに出てくるPと、意識せずとも感情がシンクロしてしまったのではないでしょうか。
──「余裕が欲しい」と、実際に我々は思っていたはずです。
そう、このコミュでは、担当である彼女のことを知ろうとしても知れないもどかしさ、悔しさ、悲しさ、辛さの全てが、ライターの手によってゲームの中のPを介して表現されていたんです。我々の心の内をまるで見透かすかのように、円香がこういう態度を取ったら、我々がどんな気持ちになるかを、ゲームの中のPが代弁してしまっていたんです。少なくとも私はそうでした。
そう、このコミュは“アイドルからPへの感情を読み解く”という従来の描写ではなく、“我々の現し身でもあるPからアイドルへの感情を描く”という、端的にいうならば、アイドル→Pではなく、P→アイドルの形で描かれたコミュだったんです。
#感情の解釈
この記事の最初に、このような前提を出させていただきました。
「アイドル→Pの感情は解釈次第である」
アイドルが持つPへの感情に、一つの正解はない。それぞれの解釈が広がるからこそ、このゲームはコンテンツとしての魅力を最大限発揮できるという私の考えを示したつもりで出した前提です。
では、今回の場合のような、“P→アイドル”の形で描かれたコミュなら、どのような解釈が正解なのでしょう?
この感情に、みなさんはどう名前をつけますか?
この関係性に、あなたはどう名前をつけますか?
答えは言うまでもありません、円香担当のあなたが思っていることの全てが答えです。
アイドルマスターというゲームにおいて、主人公であるPは我々が自己投影できるように作られています。そして、アイドルが自分に対して向けている感情も、多くが解釈の余地があるように作られており、自分の理想のアイドルとの関係が築けます。このようにアイドル→pの感情というものは、ここでの前提でも申し上げた通り解釈次第と言えるでしょう。
そして今回のpSSRのコミュ、これは間違いなくP→円香への感情の全てであり、Pの感情は全て我々プロデューサー自身が決めてしまえるんです。あなたが円香に対して恋愛感情があるなら恋愛だし、信頼関係だというなら信頼関係なんです。今回のコミュの円香への執着も、pとしての仕事を全うしたいがために過ぎない感情だと思うならそうなんです。実際の人間関係と同じで、円香が我々のことをどう思っているかはわからなくても、P→アイドルの感情の答えは、我々の中にあるんです。“解釈次第”よりさらに高純度に物語の世界に入り込んでしまえる“今自分が抱いてる感情こそが正解”という描かれ方だったのかなと思います。
#いつのまにか 、惹かれていた
アイドルマスターというゲームは、プロデューサーが主人公でありながら、そのパッケージを飾るのはアイドル自身です。画面にメインで映るのもアイドル。タイトルコールをするのもアイドルです。
そんな中で、私はどこか、アイドルが活躍するアイドルが主役のゲームだと、そう思い込んでいました。同じように感じていた方もいらっしゃると思います。
しかし、今回のpSSRのコミュで、アイドルマスターシャイニーカラーズの主人公は我々であることを、改めて強く認識させられたような気がします。なにもアイドルだけが我々Pに対して様々な感情を抱くゲームではないんです。Pである我々プロデューサーも、アイドルたちの世界に実体を持って存在していて、喜びや悲しみを心に宿す一人の人間であり登場人物なんです。そんなpである我々が、今回のコミュで、円香に手を伸ばしても届きそうにない辛さや不甲斐なさを、シャニpと共に強く感じさせられたのではないでしょうか? 気づいたら我々も、シャニマスの一部になっていたんです。それを助長するべく、珍しくコミュにも明らかな正解のルートが用意されていたりするのかなと思います。
我々は物語の登場人物にすぎない存在です。
一体いつから、アイドルが一方的にPに惹かれるという流れが前提になっていたんでしょう。
追いかけても追いかけても届かないその後ろ姿に、つかめそうでつかめないその心に、いつのまにか、惹かれていたんです。円香がPにではなく、我々Pが円香に。
《終わりに》
ここまで読んでいただきありがとうございました。至らぬ点の多い文ではあったと思いますが、私なりの今回のコミュの解釈が伝わったらと思います。読解が難しく感じられた方も多いと思いますので、今回の円香を読み解く上で私の解釈も参考にしていただけたら幸いです。
にしても、なかなかハードなことをバンナムはやってのけたと思います。【≠】とかでもわかるとおり、アイドルがPに対して複雑な感情になるのはまだ前例があるとして、視点であるP自身のアイドルに対しての感情がここまで描写されるとは……。
高山Pのインタビューでも言及されていましたが、視点であるPに具体的な情報を付け足すことでよりアイドルとPの関係性は広がるという見解が公式側にあった、それに基づいて“昔会ったことがある”という設定の浅倉透のコミュが作られてるみたいです。
同じように、円香の場合は“円香に対する感情が複雑である”というPの設定が付け足された上で展開しているのかなと感じました。間接キスを意識してしまったりと、あまりにも具体的な描写が多かったですからね。
今回は【カラカラカラ】樋口円香のコミュのテーマである部分、“P→アイドル”について触れました。次回は逆に、今回のコミュから見えてきた円香側からのPへの感情を考察していく予定です。
では、また次回お会いしましょう。閲覧ありがとうございました。えるむでした。