雑すぎる原状回復
先日、借地人の代理人弁護士から『借地上の建物の解体が終了したので土地を返還します』との連絡が届きました。
この連絡を受けて、色々と驚きました。最後の最後までまともに終わることはなさそうだなという印象です。
賃料の返還ルールが変更になっていた!?
以前、貸主は固定資産税以下(90坪以上の土地に対して月額2500円以下)しかなかった賃料について増額請求しましたが、借地人と娘からは『月額7000円までなら増額してやる。それ以上は応じられない。納得いかないなら供託するから法務局に行って自分たちで取りに行ったらいい。』と捨て台詞とともに、8年あまり供託されつづけました。
そこで、貸主は賃料増額請求を提起しました(令和2年(ネ)第153号賃料増額請求事件)。この事件は控訴審まで進み、控訴審の裁判官に借地人側の弁護士は『くだらない主張はやめなさい。和解に応じなさい。』と諭され2回目の期日で和解することになりました。
和解内容は、一審で出た賃料(年額23万5千円)から5千円引いた額で和解することになり、それまでは固定資産税以下の賃料を翌年に支払われていたものを年始めに支払うよう変更してもらいました。
その時、もし土地を年内に返還した場合の賃料の返還についても和解内容に含まれており、土地返還の翌月から月割りで返還すると決定していたにもかかわらず、日割りに変わっていて驚きました。
しかも半世紀以上固定資産税以下の賃料で、固定資産税以上の賃料の期間はたったの10年です。実質の返金額38,000円について、『ご返金していただかなくて大丈夫です。』という上から目線も、さすが借地人とパブリック法律事務所らしいなという印象です。
借地人の相続人からの手紙
次に驚いたのが借地人の娘(倉敷元消防局長の嫁)からの手紙です。
『先々代、先代より90年あまり土地を長きにに渡り●●家がお借りできたことを心よりお礼申し上げます。
日当たりの良い環境であったことは間違いございません。重ねてお礼申し上げます。』
実際にはたった6行の手紙。
90年の貸借の締めくくりの手紙に「日当たりの良い環境であったことは間違いない!?」
まだChatGPTに書いてもらったほうがましな手紙だった気がします。
昭和11年頃から賃貸開始。問題がなかったであろう時代は戦前である始めごろのたったの20年です。全く問題がなく、良好な貸借関係であったなら、まだ許容できるコメントかと思いますが、半世紀以上揉め続けていた関係です。
昭和30年、昭和40年の先代の時から既に賃料で争い、供託行為があり、様々な違法行為や無断行為が判明して紛争に発展してからも11年。エグイ内容で散々虚偽主張を通してきておきながら、これまで借地人やその家族から違法行為や無断行為に対しての謝罪は一度も受けていません。
一度も謝罪がないまま、90年の貸借の締めくくりが日当たりに対するコメントです。驚きました。
どういう心境や心情だったらこんな手紙が書けるのか!?と。
他に書くことはなかったのか!?と。
日当たりがいい土地なのは貸主もよ~く知っています!
正直こんな手紙なら送って欲しくなかったですが、この手紙も11年借地人や娘を見てきて、「らしいな」という印象です。
雑すぎる原状回復
代理人弁護士からの連絡を受け、現地に確認に行ってかなり驚きました。
敷地内にブロックが埋められたまま
大きな岩が3つも残されたまま
隣地に借地人宅で使用されていた物がゴミとして散乱したまま
鉄パイプが土地に刺さったまま
解体で出たであろうガラクタが土地に残されたまま
借地人が敷いたブロックが敷かれたまま
借地人が作ったブロック塀が残されたまま
借地上で敷かれていたコンクリートで、撤去後の残骸が隣地に放置されたまま
意味不明なマスも残されたまま
隣地に真砂土が流れ落ちた状態
隣地の稲作のための水路をつぶしてしまった状態
こんな雑な原状回復がありますか!?
更地にするための原状回復って通常こんなに雑なんでしょうか?
これで原状回復したと言えますか!?
上記の未回復を原状回復するのは、貸主負担ですか!?
借地人は解体業者にどんな依頼をしたのでしょうか?
解体業者も確認はしないのでしょうか?
借地人は解体後に土地の確認はしていないのでしょうか?
代理人だという弁護士は現地を見ていないのでしょうか?
借地人の家から出たガラクタが隣地に捨てられていて、紛争になったとき誰の責任になるのでしょうか?
貸主側としては賃料の返金のことを言われるより適正に原状回復をして欲しかったです。しかも滅失登記したのかどうかも連絡はありません。
最後までスムーズに終わることはなさそうですね。
ただ、あまりにも常識がなく、違法行為や無断行為、虚偽主張の続いた借主ら家族と縁が切れる、土地が返ってくることを思えば、10,000歩譲って、建物が解体されたことは御の字だと思ったほうがいいのかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?