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オリンピックの開会式が好きなんです。

NHKプラスのオリンピックの開会式の放送は、8月3日(金曜日)の朝で、放送期間が終了してしまいました。リアルタイムで録画しておけばよかったのですが、うっかりしちゃいました。もう見られないので、とっても残念です。

先日は、大上段に構えた感想文を書いちゃいましたので、その時とりこぼしたあれこれの小ネタを書き溜めておこうっと。


アンシャンテ

サン・ルイ島の端っこの階段を活用したレビュー、レディ・ガガのパフォーマンス。この曲、かっこいい。あまりガリガリしてないのが良い。
ピンクと黒のコントラストも良い。タトゥーはいまいち綺麗じゃないな。
ピアノソロで弾いたのは、ラヴィアンローズだったけど、これが「愛の讃歌」のフレーズだったらなおよかったのでは。
でも、心の奥底では、望海風斗さんの勝ち、と、こっそり呟いていました。
羽の規模も、宝塚のほうが派手。(シックなガガさんの羽根も好きだけど)

本場、パリのフレンチ・カンカンですが、うーむ。何故にあんなバラバラなものを世界に配信した?宝塚では絶対に見せないレベルのロケットダンスだな、というか、宝塚のロケット見てほしい、なんて、思っていたら、
友達からコメントが入ってきました。

 あのバラバラカンカンは、ダンサーたちなりの「レジスタンス」だったのかも。今回の五輪のパフォーマーの待遇がよくないと、二百人のダンサーが数日前のリハーサルをボイコットしたそうですよ、その影響かもね。
プロとしてどうよ、と思うかどうか、それも価値観の違い、多様性でしょうか。
さすがおフランス! 宝塚なら絶対にありえないだろうし、日本だったら大変な騒ぎになりそうですね。

出典:友達からのコメント

なるほど。ググってみたら、パフォーマーへの待遇のトンチキぶりがあって実際に抗議のための行動もあってある程度の改善を勝ち取ったのだそうです。パフォーマンスのレベルがその結果なのかどうかはわからないけど、元々一糸乱れぬダンスを目指していたのではないのかもしれないですしね。でも、レジスタンス行動には共感します。パフォーマーを搾取していいわけはないもの。時事ネタにももっとアンテナを張らなければ。
男女混合は新鮮な気がするけど「ムーラン・ルージュ・ザ・ミュージカル」でも男女混合だったですよね。衣装はシンプルでしたね。

シンクロニシテ

シテ島が視界に入るたびに、ノートルダム大聖堂の様子が気になっていましたが、修復の様子をしっかりショーにしてくれて嬉しかったです。
「聖火を持つ人」が、実にかっこよかったですが、まさかの「鞄などを作る工房」への侵入には驚きました。フランスのブルジョワ的産業の象徴、という意味でサイコーの舞台、世界も納得。

パリ市庁舎の屋上で華麗なるピルエットをみせてくれた、エトワール。
ギョーム・ディエップさんの美しさには息をのみました。
なんでもないようにフワンとポールドブラしてたけど、めっちゃ怖くないですか、あの舞台。

マイケル・フェルプスさんの姿がありました。彼の人生に思いを馳せました。

造幣局の前の群舞、素晴らしかったです。段になったフォーメーションも良いですね。雨が降りだして水浸しでしたね。足が濡れると気持ち悪いでしょうね。

リベルテ

民衆の歌に心を鷲掴みされたまま、「民衆を率いる自由の女神」の活人画へとなだれ込む展開は、本当に見事でした。すごく好きなシーン。
当然ですが、女神マリアンヌは、胸をはだけていませんでしたよ。

この章のタイトルはリベルテ、そして次はコンシェルジュリが舞台。

余談ですが、わたしが初めてパリを訪れたときにコンシェルジュリのあたりで撮影した写真にエクトプラズムが写っていました。霊感ないのにびっくり。そのことに対して特に供養などはしていませんが、日本人オタクとしてフランス革命をいつまでも語ることが供養になっているのではないか、と、今は思っております。

ヘビメタはもう滅多に聞かないので、ゴジラ、というバンドは初めて知りました。綴りはGODZILLAじゃないのね。

このシーンを、GOJIRAのYouTubeの画像で何度でも見られますね。。

コンシェルジュリでの演出は空前絶後の出来栄えだったと思っています。
赤いテープを遠くまで飛ばして滞空時間の長い血しぶきをつくり、コンシェルジュリの建物の白い肌のような壁面に血痕のようなコントラストをつけた。ショッキングでした。

その後、ハバネラを歌いながら「たゆたえども沈まぬ」船でフランス国立図書館につなげるリエゾンも、しゃれていましたね。フランス国立図書館のシーンがドキドキするほど素敵だったことについては別の記事で語りましたが、ホントにエスプリあふれていてよかったです。俳優が3人とも素敵でした。
ポンヌフの上で繰り広げられた、長い竿の上で揺れる技も格別でした。

エガリテ、フラテルニテ

ポンデザールから、ルーブル、そしてオルセー、と、パリ散歩の景色が進んでいくのも楽しい。あの散歩道、マロニエの並木道。パリに行くたびにさんざんパラ歩き回りましたっけ。

お馴染みの大理石の像や絵画の登場人物たちが美術館の中を自由自在に動き回るファンタジーも素敵でしたが、チュイルリー公園あたりのセーヌ川に名画の頭部のパネルが鼻から上を出して並んでいたの、とってもおしゃれでしたね。
肌の色に配慮したチョイスだとは理解しましたが、中でもガブリエル・デストレ姉妹はトレビアンな人選。

それにしても、ラ・ジョコンダ、人呼んで「モナ・リザ」の扱いは、あれでいいんですか?

ソロリテ

パソコンの画面を撮影。アレクサンドル3世橋の街路灯。遠くにコンコルド橋が見えています。

ソロリテの章は、ゆっくり噛みしめます。
「ソロリテ」という言葉でどうしても連想されるのは、

  →「謎の社交クラブ、ソロリティ」
   → 「赤いくちびるの美少女、信夫マリ子」
    → 「くちびるが赤くなるように、そっと歯で噛むのよ」
     →「くちびるを噛みすぎて赤く腫らしてしまった、つる姫」

スポルティヴィテ

アルマ橋の近くのバトー・ムーシュの船着場。雨が降る外とは違ってオレンジ色の室内灯に照らされた快適そうなサロンの中で鑑賞している人たちがいましたね。「お金を持っている人たち」なんでしょうね。
この周辺で繰り広げられていたパフォーマンスは雨降りの中で大変そうでした。
縄跳びとか、やりづらかっただろうな。それを船着場のサロンから見る人々…。

バトー・ムーシュの船着場へは、わたしも何度も行きました。特に、母と二人で旅したとき。母が歩き疲れてへたばってしまうのを避けるために、バトー・ムーシュに乗ってセーヌ川を3往復したっけ。サロンには入らなかったけど。

懐かしいなあ。川から見上げた街は特別な顔をしていましたよ。

ブレイキンの選手でオペラ歌手、という男性パフォーマーがすごかった。
どんな舞台に出る人なんだろう。
でもさ、ダンスも歌もピカイチの礼真琴さんだったら、絶対負けてない。

フェスティヴィティテ、オブスクイテ

ラップのおじさん。そもそも英語のラップも聞き取れないんだけど、フランス語のラップは、全くひとことも分からなかった。脚韻を踏んでいるのだけはわかったけど、そこまでで許してください。

ドゥビリ橋のパリコレキャットウォーク風なシーンの冒頭は、確かに間違いなく「最後の晩餐」を連想させていましたけど、そのことに反応してスポンサーを降りる的な騒ぎにしちゃうのは、どうよ、と、感じてしまいました。
キリスト教徒ではない自分にとっては興醒めなことでしたが、その価値観を大切にしている人たちにとってはそれこそとんでもない一大事なのでしょうね。それも多様性だと、理解すべきなのかな。結局はお祭りなんだし、あまり反応し過ぎるのはどうかなと思いましたがフレンチ・カンカンの感想にも多少通じるのかな。

バッカスに扮した青塗り全裸小肥りのアーティスト、可愛くて良かったんだけど、これも炎上したらしいですね。可愛かったんだけどなあ。こちらも歌詞が全く聴きとれなかったのが残念でした。

ダンス大会になったら、知っている曲がかかりました。感激。
ミレーヌ・ファルメール。彼女のCD、まだ手放さずに持っています。やっぱりフランスを感じます。とってもいいなあ。「革命」とリンクしているのかも。

https://youtu.be/vkiyW0vqat8?si=Pw41V6wlY-GD3uca

「イマジン」のシーンで、

この曲は、ジョン・レノンさんとオノ・ヨーコさんによる作品

出典:アナウンサーによる解説(記憶)

と、サラっと紹介していたのですが、これってすごくないですか。
もちろんこれは「ソロリテ」のテーマにも直接つながっていて、
「あらゆるアーティストにとってのミューズ」へのオマージュにちがいない。

ソリダリテ

「オリンピック讃歌」は、大人と少年少女の混成コーラスでしたね。とても良かった。フランス国立管弦楽団もステキだった。国立のオーケストラがあるって素晴らしいなあ、でも…日本の文化行政では無理な望みだよなあ…。

リアル聖火リレーでジダンからナダルに渡されたときにはゾクゾクしました。喝采でした。そのあと船でルーブルまで戻るときのメンバーについての解説がグダグダだったのですが調べてみたら、ラファエル・ナダル、セリーナ・ウィリアムズ、ナディア・コマネチ、カール・ルイスだったようです。
レジェンドが聖火を運ぶ船だったのですね。

上陸してからの聖火リレーランナーは、パラもオリも一緒だったのが、
とてもとても良かったです。

そして、最後の「愛の讃歌」。
セリーヌ・ディオンの歌唱に一片の不足もありませんでした。
ただ、ただ、心から堪能。

もし。どうでもいい仮定の話ですが、
もしも日本人歌手が歌うとしたら…MISIAかなあ。
どうしても宝塚OGから選ぶならば、寿ひずるさんで、聴きたいな。

それにしても、このショーで、何台のピアノが雨でびしょ濡れになったのやら。
スタインウェイみたいだったけど。(わたしが心配することじゃないけど)
雨降りの屋外開会式でピアノを何台も水浸しにしちゃったけど、
雨は、誰の上にも平等に降ったのですよ、ということなのでしょう。

240分(4時間)の開会式、長かった。けど、心の底から楽しみました。
8月4日(日)のいま、自分としては終わっちゃった感に満ちていますが、
よく考えてみると、まだ競技は続いているんですよね。

ヴェルサイユ宮殿のお庭での馬術競技とか、
グランパレでのフェンシングとか、一瞬一瞬がたまらないビジュアルです。

アーバンスポーツ会場であるコンコルド広場にはギロチン台が置かれていました。マラソンのコースは、あの「女性たちのヴェルサイユへの行進」のコースをたどるのですってね。
そうそう、コンコルド広場を歩くときには、いつもなんとなく足元がゾワゾワしたことを思い出しましたよ。たいてい美術館で歩き疲れた後だったのが理由なのですが、でも、歴史の上を歩いている実感がありました。
思い出は、切なすぎて、懐かしすぎます。
なんだか世界は不安な感じだし、ひどい円安だし、正直なところ、パリに再び遊びに行ける日が来るのかどうかは甚だ心許ないのですが、
開会式でセーヌ川畔をお散歩できて、とってもとっても楽しかったです。

ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました。


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