
【礼 真琴 日本武道館コンサート「ANTHEM ―アンセムー」】鑑賞の感想文。応援歌を浴びた夜。
2025年1月19日(日)18時30分開演、
礼 真琴 日本武道館コンサート【ANTHEM―アンセムー】を観てきました。
宝塚歌劇団星組のトップスター、礼真琴さんは、今年の8月に退団することを発表しています。退団に向けての集大成となるコンサート、という位置付けでした。
そんな御託はともかく、強烈なエネルギーを受け取ったコンサートでした。
退団を発表したトップスターのコンサート
宝塚のトップスターが退団する時にはもれなく日本武道館でコンサートがある、ということではありません。1998年に真矢ミキ(当時は真矢みき)、2014年に柚希礼音という大スターが武道館コンサートで話題をさらいましたが、礼真琴さんは、宝塚史上3人目となる、武道館コンサートを開催したトップスターです。
宝塚歌劇団のシステムを、私なりにざっくり把握してみます。
宝塚音楽学校を卒業して歌劇団に入団して、退団するまでの間をタカラジェンヌとして芸能活動を行います。退団の時にタカラジェンヌとしての時間は止まります。
タカラジェンヌになると、体格や持っているキャラクターなどによって男役と女役とに役割を分担し、舞台の上で老若男女さまざまな人物を演じます。舞台ではミュージカル形式のお芝居と、ダンスと歌によるショーが上演されます。
公演は、基本的には宝塚大劇場と東京宝塚劇場、いくつかの中規模劇場でタカラジェンヌだけで上演されます。
(稀に、タカラジェンヌが外部の舞台に出演することもあります。)
現役のタカラジェンヌは「夢を売るフェアリー」というファンタジックな存在として世の中に存在することになっていて、「すみれコード」と呼ばれる不文律をファンも共有して「花園」を形作っています。彼女たちは青春の汗と涙とをかけて舞台に向き合う女性群像として受け入れられて、多くのファンの心を掴んでいます。
(明文化された「すみれコード」を知らないので、このように理解しています)
そんなわけで「退団」は、タカラジェンヌから「元タカラジェンヌ」になる、
という重大な区切りとなるのです。
「タカラジェンヌとして発光する姿」は、退団するまでの期間限定の姿。2,500人規模の劇場を満たす熱心なファンたちの息吹を支配し、異次元から発光するような、どんなに圧倒的な光で目を眩ませてしまうようなタカラジェンヌであっても、退団をしてしまえば「元タカラジェンヌ」となるのです。
多くのファンは、自分の心を奪っているスターのタカラジェンヌとしての姿を、
一回でも多く鑑賞したい、一瞬でも長く観たい、できるだけの機会を見逃したくない、という、渇望するような気持ちに支配されるようになります。
少なくとも、私はそうです。
それは成長とか、発展とか、次のフェーズへの昇華とか、そういうステップであって、よろこばしいことだとも考えられるのですが、ファンとして正直に言えば、
どうしようもない喪失感を覚える出来事なのです。
礼真琴さんは、大好きなスターさんです。
※ 他の何本もの記事で縣千さんを大好きだと表明していますが、
全く矛盾なく、礼真琴さんを大好きだとも言えます。
使っているのは同じ「大好き」という言葉ですが、内容は違うんです。
その真摯にして完璧主義的な、舞台へ向かう求道的なスタイル、
そして同時に限りなくキュートで可愛らしい姿。
信じられないほど美しいダンス、全く破綻の感じられない歌唱。
礼真琴さんが元タカラジェンヌとなっても、エンタメの世界に活躍の場が広がるに違いないと思っていましたが、
2024年の初秋頃から、退団フラグと呼ばれる幾つものイベントが発表され、
(写真集、ソロCD発売、日本武道館コンサート企画の発表、カレンダー・・・)
ファンは、心ひそかに覚悟する。
そしてついに、2024年9月23日、退団が発表されました。
どこまでいくんだ
コンサートのチケットは、「宝塚友の会」の抽選でゲットしました。
礼真琴さんの強火担(大ファン)である友人のK子が、抽選で当ててくれました。
アリーナ席Cブロック前方、エプロンステージの真横。
K子の愛が凝縮したようなチケットでした。
肉眼で指先の表情まで見える、なんなら生声まで聞こえる、
衣装からそよぐ風が届く、足音はそのまま聞こえる、
そんな気がするお席でした。
スタジアム用双眼鏡を持参したけど、近眼用の眼鏡で十分でした。
礼真琴さんと、星組メンバー22人によるノンストップ110分のステージでした。
ショーの様子を再現しようとすると、こんな感じになっちゃいます。
力強い音楽が、メロディが、リズムが、次々に繰り広げられ、
そこにダンスが、歌唱が、躍動して、
すごい波動になって渦巻いていました。
人間の肉体が作り出す渦巻きが、日本武道館のあの空間を揺さぶる。
エネルギーとパッションが燃えあがっちゃって、
客席も弾けちゃって、武道館のタマネギをぶっ飛ばす。
その中に観客として、K子と私がいたことは、間違いなく事実なのです。
曲が最高潮に爆発する時に噴出する「紙吹雪キャノン」のキラキラが、
持参したバッグの中にたくさん降ってきて、
それを家に持って帰ってきているので、動かぬ証拠もあるのですが、
なんだかまだ宇宙の遠くまで吹き飛ばされているような気持ちがします。
枠を飛び出す姿、枠があるから見える姿
どんな意味でも、宝塚歌劇団の枠を飛び出していたように感じられました。
そして同時に、
彼女たちが宝塚歌劇団星組のメンバーだから実現した世界でもありました。
身体能力の高い、敏捷でしなやかでボーイッシュな女性たちが、
パワフルな曲にエモーショナルな表現を重ね、
「アンセム」を歌い上げる姿。
宝塚を観るときは「掛け声は無しネ」が、初歩的、基本的なルールなのですが、
武道館の場合は例外です。
いつもはエアーで我慢するヒューヒュー!を
思いっきりぶちかましてきましたよ。
宝塚っぽさを極小にして、でも、強烈にカッコいい、
まさに、一生モノの体験でした。
ちょっと待って…
「フォルモサ!!」の千秋楽も、一生モノの体験でした。
あれは、先週月曜日。あの日からまだ1週間経っていないのでした。
すごいな、自分。
生き急いでいるわけではないのですが、
ただ、そういうめぐり合わせの、冬なのです。
礼真琴さんの未来を祝福したい。
日本武道館から飯田橋の駅まで、K子と二人で歩きました。
なんだか幸せでした。礼真琴さんが退団しちゃうのは悲しいけど、
まこっちゃんには、ここから先に輝く未来がある、そう確信しながら歩きました。
星組を、引き続き注目したい。
急に決まった1月20日(月)の配信を、家で夫と観ました。
夫も楽しかったと言っていました。
二人で観劇した『THE SCARLET PIMPERNEL』からの「マダム・ギロチン」と「栄光の日々」の2曲、
『エリザベート』−愛と死のロンド−からの「最後のダンス」を、
また一緒に聴けて、嬉しかった。
配信で復習、できてよかったです。アワアワしないで観ることができました。
コンサートに参加したどのメンバーも好きなのですが、
ひろ香 祐さん、希沙 薫さん、鳳真 斗愛さん、
という、星組で気になるジェンヌさんたちがもれなく参加していて、嬉しかった。
そして、プログラムを見ながら、何人かのキラキラジェンヌを新たにチェックできたことも嬉しかった。配信を観る時は、前のめりになって解像度を高めるんです。
セットリストには、J-popの名曲が並んでいました。
普段J-popを聞く機会がないので、とても耳新しかった。
この記事に取り組む前に、AppleMusicでプレイリストにしました。
全然、宝塚っぽくないプレイリストになりました。
コンサートのタイトルは「ANTHEM-アンセム-」。
まさに応援歌集です。挫けそうになった時にも、聞きます。
ステージナタリーにセトリが掲載されているので ↓ 引用。
次の星組公演は、礼真琴さんの退団公演です。
チケットが手に入る気が、しない。
仮にクロスロードで悪魔と取引したくても、
私が提供できるものは悪魔が欲しいものではなさそうだし・・・。
プラチナどころかレアメタル・チケットだけど、観たいと願い続けてみます。
配信のある日には、他の予定を入れません。
礼真琴さん、どうぞご無事で、
タカラジェンヌとしてのゴールまで駆け抜けてください。
そこから先の礼真琴さんの道が、光り輝いていますように。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。