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DIC川村記念美術館に行ってきました

大好きな美術館が来年の1月に休館するというニュースに驚き、慌てて友達と連絡を取り合って、9月16日に行ってきました。月曜日、敬老の日でした。

秋の気配を探すのもそこそこに、深い考察はまた別の機会にしますね。誰かのお出かけの参考になればと思ってしたためるメモですが、お天気や混雑具合や体調加減など、タイミングや条件が違うと全く違う体験になるかもしれません。



1. 訪問の予習には、公式HPが最適です

① 公式HPトップページ

ここで池と噴水の画像を見るだけでも、なんだか和むのが不思議。
必ず休館日を確認してからスケジュールを立てましょう。

② 交通アクセス

アクセスの方法が丁寧に紹介されています。

③ 鑑賞マナー

お互いに気持ちよく鑑賞するために、事前にチェックしておきましょう。


2. 公共交通機関でお出かけしました

DIC川村記念美術館は千葉県佐倉市にあります。緑豊かな北総台地のロケーションなので、交通の便に関しては、都会の真ん中の美術館に出かけるのとは違います。
私は車の運転があまり好きでないので、公共交通機関を使うことにしました。

① 京成佐倉駅へ

東京メトロ東西線を使って千葉県深部へと進んでいきます。
西船橋駅から直通で乗り入れている東葉高速鉄道の終点の東葉勝田台駅まで行き、駅構内で間近につながっている京成線勝田台駅の改札に向かいます。

10両編成のメトロの進行方向一番前の車両が便利です。

勝田台駅で京成本線に乗り換えて、京成佐倉行きの快速に乗りました。成田空港への行き帰りには通過していく京成佐倉駅が目的の駅です。

なお、京成佐倉駅ではトイレがプラットホームにあります。女性用の部屋数は1つです。(故障中の部屋が1つあった)

② 美術館の無料送迎バス

京成佐倉駅の南口から、美術館が運行している無料送迎バスが走っています。

HPに目印として書いてあった”南口「シロタカメラ」前”にあるというバス停を探し出せなくて、駅前の交番でお尋ねしてしまいました。交番のお巡りさんは、どうやら頻繁に尋ねられるらしく、わかりやすく親切に対応してくださいました。

シロタカメラ、という店の看板を探せなかったのが主な原因ですが、シックなデザインのバス停看板を視覚情報として受け止めきれなかったのも原因の一つじゃないかと思われます。「バス停とは、こんな色合いで、こんな形なものなの。」という自分の中に刷り込まれていた先入観の強さに、ちょっと驚きました。

交番の隣に公衆トイレがありました。使いませんでしたが、こちらは何部屋かありそうです。

バス停は、この辺りです。見苦しい画像でスミマセン(笑)

このバスは京成佐倉駅前で乗客を乗せてから、約10分走った先のJR佐倉駅前でも乗客をピックアップして、そこから美術館まで行きます。
私が乗ったバスは9時50分発でしたが、JR佐倉駅で待っていた乗客たちを全員乗せることができませんでした。友達はここで待っていたのですが乗れませんでした。臨時便を増便して対応してくれました。


3. 美術館で

① 入場券

満員のバスは初秋の気配を秘めた北総台地の広々とした風景を走り、森の中の道へと進んでいきます。ああ、この道が大好きです。そして、美術館に到着します。

現金で普通に入場券を買う券売機と、優待などを使う人に係員が応対してくれる窓口があり、2列に分かれて購入します。

どちらにも、そこそこの列ができていました。

券売機は新紙幣には対応していないので、諭吉・一葉・英世チームを持っていってください。私は券売機で、後からやってくる友達の分まで買いました。

② ランチをどうするか問題

美術館には素敵なレストラン「ベルヴェデーレ」が併設されていて、ここでの食事も楽しみの一つなのですが、予想通り大変な混雑でした。

友達を待つ間に予約を入れようとしたのですが、10時30分に店頭の予約用端末を覗き込んだら、すでに12組が予約登録していて約165分待ちとのことでしたので、レストランでのランチは諦めました。

モタモタしているうちに、待ち時間はどんどん増えていく。

③ キッチンカー

10時45分頃に友達と合流し、ランチ難民化回避策として先に腹ごしらえをすることにしました。

敷地内の「テラス」付近にキッチンカーが出ているとの情報を公式HPでチェックしてあったので、ヘンリームーアの《ブロンズの形態》を見ながらカレーライスをいただきました。ここで「佐倉市から美術館を移設しないで」の署名をしました。

テラスには室内もありますが、室内の席数は20席くらい。雨天には困りそうです。


チキンカレー。多古米、普通盛り。梅ソーダと。
ヘンリー・ムーア《ブロンズの形態》 1985-86年 442.0 × 240.0 × 76.0cm

④ 飲料水

実は、当日、飲料水の補給にあまり心を砕いていませんでした。どこに行ってもボトル入り飲料の自動販売機がある世界に住んでいるせいで、この便利なシステムに馴化しすぎでした。送迎バスに乗り込む前にペットボトルの飲料を入手しておくことをお勧めします。散策マップには「多目的グラウンド」の「ラウンジ」近くと「テラス」の近くに自動販売機のピクトグラムがあるのですが、公式HPのマップにはそのピクトが無く、現場でも探せませんでした。

庭園内ギフトショップでおしゃれなスペイン製のボトル入りの水を売っていたので渇きに苦しまずに済みましたが、油断な自分を自覚することになりました。
1階の奥に「茶席」があるのですが、ここでも入場を待つ観客が長蛇の列を作っていました。

ボトルはお土産として持ち帰り、花瓶にしてみました。

⑤ お手洗い

美術館の館内には、立派で清潔なお手洗いが完備されています。安心です。


4. 混んでいました

タイミングにもよるのでしょうけれど、混んでいました。
この美術館への人々の想いが溢れている感じでした。

最初の部屋にはモネやルノワールやピカソやシャガールなどがあり、ここは、まだ観客が鑑賞のペースを掴みかねているエリアなので仕方ありませんが、渋滞
そして、他の部屋も混んでいました。

単独行動中の2周目にロスコ・ルームを訪れた時には、入場制限がかかっていて残念ながら入室できませんました。
もっとも、友達が行ったときも入場制限中だったそうなのですが、
これが最後かと思うとパスできなかったの」と、頑張った甲斐があって、
すぐに入室できたとのことです。

大好きなジョゼフ・コーネルをこの美術館の冷房の効いた静かな部屋で鑑賞すると、その閉じた世界の内側から微かな声が聞こえてくるような気配を感じます。
その感じに毎回痺れるのですが、今回はびっくりするほど賑やかな室内でした。
おかげで、展示作品の印象は、前回とはだいぶ違って見えました。
私にとっては新発見の「ノイズの中の静謐」です。

そうそう、公式HPの展示室紹介ページが秀逸です。コレクションを活かすために作られた展示室、という究極の贅沢を体感できるのもこの美術館の魅力です。

ミュージアムショップも、めちゃくちゃ混んでました。
経営価値の創出にちょっとでも役立つなら、買い物もしちゃうぜ、的な、
なんとなく通常とは違う熱気がこもっていました。


5. 帰る方法と、滞在時間をどう過ごすか

友達は美術館を15時29分に出発する東京駅までの直通バス(有料)で帰ることにし、私は15時20分出発の京成佐倉駅への無料送迎バスで帰ることにしました。

混雑具合が心配だったので、14時50分にはバス発着エリアに出向き、ベンチでおしゃべりしながら待っていましたが、15時05分頃に自然発生的に行列が形成されたので、そこで友達とお別れして、それぞれの列につきました。
LINEで交信しつつ、滞在時間を振り返りました。

10時頃に美術館に行き、15時半頃に退出する、ざっくり半日のコースでした。

私たちは、久しぶりのリアル対面を喜んで、敷地内のベンチでおしゃべりする時間もたっぷりと満喫したので、レストランでの食事や茶室での喫茶がなくても充実した時間を過ごすことができました。
展示の見学、ミュージアムショップのチェック、庭園内の散策、食事、休憩、などをどうするか、事前にあらすじを考えておくのがいいと思います。
佐倉市内の施設と組み合わせたプランも、楽しいかもしれません。
行きづらいけど、美術が好きなら、なんとしても行っておきたい美術館
なのですから。


6. 最新情報をチェックしましょう

①庭園内のギフトショップが休業ですって

この記事を書くために公式HPを読んでいたら、

庭園内にあるギフトショップは、諸般の事情により当面の間休業いたします。
再開時期は本ページにてご案内いたします
(10月下旬以降の再開を目指しております)。

なお、館内のミュージアムショップを含む、そのほかの施設は営業いたします。

ご来館をご予定のお客様には大変ご迷惑をお掛けいたしますが、
ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

公式ホームページより(改行by筆者)

とのこと。訪問した日も店内が混雑していてとても大変そうでした。
来店客の数とショップのキャパが釣り合っていないようでした。
とにかく、非常事態に直面していらっしゃるのだと思われます。
こんな時に外野からヤイヤイ言うのも申し訳ないようですけど、
ここは挫けずに、頑張ってほしいです。


②秋祭りのため、送迎バスがルート変更ですって

10月11日(金)、12日(土)、13日(日)佐倉の秋祭りのために無料送迎バスのルートが変更されるお知らせが、公式HPに出ています。車でアクセスする人も、交通の状況がいつもとは違うことを頭に入れておくと良さそうですね。


7. しつこいようですが、美術館ではマナーの遵守を

公式HPに書かれている通りです。とてもセンスの良い注意喚起です。
やっぱり事前に気持ちを整えてから入場するのがいいと思います。

鑑賞中に、館内アナウンスがありました。

本日、接触事故が多数発生しております。
どうぞ十分注意してご鑑賞くださいませ。

出典:記憶

・デリケートな展示物の周辺で興奮して駆け回っている小学生くらいの子供を、
 係員が優しくキッパリと制止して、保護者にも注意するシーンを見ました。

・携帯電話の(多分メッセージ系アプリの)着信音があちこちで鳴っていました。
・ポケットに手を突っ込みながら急に向きを変える人が何人かいました。危ない。

・ピカソの前で「明日歯の治療に行くの」と大きな声で話している人がいました。


優れた美術館で、だからこそ、できる経験があります。
美術品の前に立ち、その存在感を感知することで、
芸術家と自分との間に時空を超えて存在する空間に足をかけて、
心のアンテナをそろそろ動かしながら、見えないその芸術家と密かに交信して、
息遣いをそっと共有する、時に圧倒される、
時に自分の心の奥底のボタンが押される、そんな経験をすることが、可能です。
だからこそ美術館に行くのですが、それは、稀有な時間であり稀有な経験です。

そうして成立させた交信の現場では、ノイズになりうる行動をできるだけ避ける。
それは、洗練された大人がとるべき普通の行動だと思っています。

8. 感謝します

混雑していたにもかかわらず、美術館の係員の皆様はいつでも本当に感じよく対応してくださいました。
バス発着エリアにいらした方、バスの運転手さん、券売機の近くにいらした方、美術館の受付の方、ショップの方、警備員の方、レストラン入口にいらした方、キッチンカーの方・・・。
今回接触した方々のどなたも、爽やかでテキパキと、感じの良い仕事をしていらっしゃいました。

感謝します。また行こうと思っています。

フランク・ステラ《リュネヴィル》 1994年。717.0 × 640.0 × 609.0cm

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