推しが解散した芸人オタクはヒプステを見て一緒に泣こう
初めまして。推しが解散した過去を持つ芸人オタク兼若手俳優オタクです。普段はライブへ行ったり、舞台を見に行ったりした感想を垢分けしてツイートしているのですが、舞台『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3-(通称ヒプステ)に、若手俳優オタクとしてではなく、芸人オタクとしてボロ泣きしてしまい、この熱い気持ちを残したくてnoteを書く事にしました。
開演前は呑気に荒牧簓の個ブロにはしゃいでいたのに、いざ始まればフェイスシールドが曇るほど号泣し(※ヒプステは全席フェイスシールド着用必須)、終演後はコメダ珈琲へ殺到するナゴヤの女達を尻目に、「我々のコメダは神保町にある」という思いで水道橋から神保町まで歩き、旧神保町花月(現よしもと漫才劇場)の特徴的な建物を拝みながら、この場所で行われた推しの解散発表後1発目のライブで「推しの解散は確定事項なんだな」と絶望した時の気持ちを思い出して、青春を噛み締めてました。それくらい(?)、ヒプステは推しが解散した芸人オタクには刺さる内容でした。だからこそ、二次元や、舞台に興味の無い芸人オタクにもヒプステを見てもらって、一緒に泣こうや……と思う訳です。
※注意※
芸人オタク向けの内容になるので、簓・盧笙・道頓堀ダイバーズ(特にハル)中心の記事になります。また、解説等もあくまで芸人オタクに分かりやすい表現を用いております。ご了承ください。
そもそもヒプマイって?
武力による戦争が根絶され、女性が覇権を握るようになったH歴。男性を完全排除した中王区(ちゅうおうく)と呼ばれる区画で、女性による政が行われるようになった。そこで定められたH法案により、人を殺傷するすべての武器の製造禁止、及び既存の武器の廃棄が命じられた。しかし、争いは無くならない。争いは武力ではなく、人の精神に干渉する「ヒプノシスマイク」にとって代わった。このマイクを通したリリックは、人の交感神経・副交感神経等に作用し、様々な状態にする力を持つ。兵器ではなく言葉が力を持つことになった世界で今、男たちの威信をかけたテリトリーバトルが始まる。(ウィキペディアより)
まあざっくり言うと、イケメンがチームを組んで、ヒプノシスマイクという不思議なマイクを使い、ラップバトルをしてテッペンを決めている世界の物語です。ラップ版M-1ですね。ヒプステは、その舞台化作品で、所謂2.5次元と呼ばれるものになります。見慣れていない人は、コスプレはちょっと……となってしまうかもしれませんが、そこさえ乗り越えれば、M-1並の、相方との絆が織りなす熱い人間ドラマが待っています!! しかも、track.3は過去2作のストーリーとは独立しているので、いきなりtrack.3を見ても大丈夫なんです!! KOGU維新を楽しんだ後に流れでヒプステの配信を見ちゃいましょう!! どっちもHuluで見れます!!
あらすじ
オオサカ・ディビジョン『どついたれ本舗』のリーダーで売れっ子ピン芸人の白膠木簓は、過去に漫才コンビを組んでいた。彼の相方だった躑躅森盧笙は芸人を引退し、今は高校教師をしている。
ある日、簓はロケ中に、盧笙の学校の男子生徒2人と出会う。彼らは幼馴染で、もう1人、中学で出会ったハルという少年を加え、道頓堀ダイバーズという漫才トリオを組んでいる。しかし、最近ハルは幼馴染達と距離を取るようになり、遂には行方知れずになってしまった。仕方なく道頓堀ダイバーズは、幼馴染2人だけでネタを披露するが、ツッコミのハルがいない為なかなか上手く行かない。
そんな中、ハルの失踪に違法マイクとカルト教団が関わっている事を知った簓や盧笙達は、カルト教団の総本山であるキョウト・ディビジョンへと向かう。道頓堀ダイバーズのツッコミを奪還する為に───
ここまでが、ものすごーーーーーーく偏ったあらすじです。他にも詐欺師とか僧侶とかV系バンドマンとか弁護士とかも出てきますが、前述の通り割愛させていただきます。とりあえずフィーリングでOK。
次に、ヒプステの刺さったポイントを、2つのセリフを挙げて解説します。
「相方は家族」
これは道頓堀ダイバーズの子達のセリフです。現実の芸人さん達もよく言うフレーズですが、高校生でこの境地に到達しているなんて、それだけで応援したくなります。
また、ハルは中学時代にいじめられていましたが、幼馴染達にツッコミの才能を見初められた事がきっかけでいじめがなくなります。加えて、両親を亡くしているハルにとっては、相方という存在は家族に等しいでしょう。
正直私は、幼馴染+αのトリオが解散した事例を知っているので、道頓堀ダイバーズが同じ編成と分かった瞬間は、解散しちゃう!! と怯えたのですが、相方を家族のように大事にしている道頓堀ダイバーズならきっと大丈夫でしょう。ハイスクールマンザイ、頑張って欲しい。出るのか知らないけど。何より、こんな熱い相方同士の絆を見せられて、応援しない芸人オタクはいないはずです。
「相方だからこそ言えない事もある」
これは盧笙とのコンビを解散した過去を持つ、簓のセリフです(※劇中では関西弁です)。普段飄々とボケる簓ですが、道頓堀ダイバーズの『相方』という言葉につい反応するのです。簓は、元相方の盧笙に未練タラタラ。ラップチームを組まなくてはならなくなった時、簓はチームメイトとして真っ先に「アイツしかおらん」と盧笙を挙げます。そして、盧笙といる時の簓は、盧笙にツッコまれたくて、ずっとボケ続けています。ただ一方で簓は、解散間際に悩んでいた盧笙の気持ちを汲めなかった事を今でも後悔している部分もあるのです。
相方は唯一無二の大切な存在。だからこそ、隠したい気持ちもある。でもそんな気持ちのせいですれ違い、相方を失ってしまった簓。それでも簓は、盧笙という相方を今でも諦めきれず、サンパチマイクからヒプノシスマイクに武器を変えてでも、盧笙と一緒にいようとします。
現実世界において、解散したコンビの末路は色々です。その中で、簓と盧笙の様に、片方だけお笑いを続けるケースはかなり多いと思います。とはいえ、その場合は、相方への未練を語る事はあっても、簓のようにあからさまに未練タラタラ、そして別の形だとしても再結成を目論む、というのは稀有ですよね。特に、私の推しの場合、解散後も2人ともお笑いを続けていますが、共演NGなので、解散してもお互いを思いやる簓と盧笙はファンタジーにしか見えません。とはいえ、そんなあり得ない様子こそが、推しが解散したオタクがずっと抱えている虚しさを埋めてくれるのです。過去に、短くない時間を推しに割き、いつか売れると信じていたのに、そうした時間や想いが、『解散』をきっかけに全て水の泡となってしまったかのような感覚は、解散して何年経っても拭えません。こんな感覚は、オタクのエゴが勝手に生み出したものです。それでも、エゴと分かっていても、虚しいものは虚しいんです。簓と盧笙は、オタクが夢見る『こうだったらいいのにな』という空想の具現化なんですよね。そんな空想を生身の人間が演じるなんて……! 泣く以外の選択肢がありません。
こんな感じでヒプステは、『相方』がメインテーマの1つとして進んでいく物語なんです。何回も相方という言葉が出てきます。もしこの記事を読んで、ちょっとでもヒプステに興味を持った方がいれば、配信を見てみてください。月額見放題サービスに登録しなくても購入可能です。
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さて、私は円盤の予約をしてきます。