何かにどっぷりつかること。それにおぼれてしまう恐怖を乗り越えられるか、が自立への第一歩。そのために必要なもの、信頼。
河合隼雄先生(心理学者)の本「こころの処方箋」を見ていると、「どっぷりつかったものが本当に離れられる」というタイトルのエッセイに心が引っかかっりました。
先生曰く「しがらみから離れようと無理をしすぎたため、表面的には自立しているように見えても、深いところでは引っ付いていたり、ともかくべたべたと引っ付くことを期待していたりする」
この言葉は確かに僕の経験でもいえることでした。確かに自立しようといくら頑張っても謎の依存したい気持ちが出てきてうまく自立できないのです。こころの奥底ではべたべたの関係を望んでいるみたいに・・・
表面的には自立したい。奥底では甘えていたい。このギャップが僕を苦しませていました。そしてなにもできなかったです。これも統合失調症になった一つの原因かもしれない・・・
こんな時どうすればいいのでしょうか?
河合先生曰く「本当に離れるためには、一度どっぷりつかることが必要である。そうすると、適当な距離を取れるようになる。中途半端なことをすると、『心残り』がするのである」
これも確かに言えてるなあと感じた。僕も信頼できる恩師に巡り合えて、そこから一度人間関係の心地よさにどっぷりハマりました(笑)。
自分でも抑えられないくらいいろんな人に甘えてしまった。でも確かにその経験が、今のなんとか自立できている状態を作り上げたのかもしれないなあ。
また、逆に何か(人間関係、趣味など)におぼれてしまう人間もいるそうで、それはそれで大変だろうと思いました。おぼれてしまえば、あちこちにしがみつこうとするが、そこから離れることはできないみたいです。これはどっぷりから離れようとする人の反対ですね。
河合先生曰く「『どっぷり』体験をするには、そこに人間の信頼ということが存在する必要があるようだ。」
これも、僕の体験に当てはまりました。確かに自分以外の他者への信頼がなかったら、あんなに安心して人間関係にどっぷりつかれなかったです。
このどっぷり体験が幼少期に母親との間でできている人もいるみたいです。こういう人は幸運ですね。でも、安心してください。人間はその後の人間関係や、その他との関係でどっぷり体験をすることができます。
僕のプロフィールに具体的な体験が詳しく書かれていますので、よかったら見てくださいね!
河合先生曰く「『どっぷりつかる』と『おぼれる』は似ています。どちらも恐怖体験が伴うことがあります。でもそこを通過しないと、前へ進んでいけません。『どっぷり体験』をしようとする人は、恐怖を乗り越える点でも意味があるとも考えられる。」
この文でこのエッセイを締めくくっています。
これも確かにそうで、この恐怖を自覚して初めて道が開けるのかもと思います。僕はこの恐怖を乗り越えるには、恩師からの応援が必要不可欠でしたから、個人の力だけでは、乗り越えられるものではないのかもしれません。
でも究極のところまで追い詰められたら、人は「助けを求める」か「死ぬ」かしかなくなる場合もあると僕は経験してきました。
どっぷり体験への恐怖を乗り越えて、助けを求められる人が増えるためには、信頼がカギになると思わずにはいられません。
さらにそこからどうしたらいいかは、その人個人によって方法、過程は異なると思うので、その人に合わせた何かしらの支援が必要だと思われます。