ワーキングプアの田舎暮らしが駄目な理由

ケースバイケースではあるが、年収300万独身会社員賃貸でひとり暮らし…のような人が過疎化著しい田舎で暮らし、そのまま老後を迎えるとかなりの確率で人生詰むのだが、その話を該当者にしたところ大変怒られた事がある。
当然と言えば当然なのだが。

だが、過疎化の激しい田舎で十分な基盤を持たず老いると、バス・電車などの交通網はどんどん途絶えていく上、年月と共に物価の上昇は絶対に進み、さらに田舎でちょっとしたサービスを受けたいと思っても競合すら存在せず、都市部より高額になる可能性が高い。
さらに日本自体が貧しくなりつつあるため、都市部を最優先し、田舎には十分な補助が下りず、都市部に住む貧民より田舎に住む貧民の方が公的サービスを受けにくく、より貧しい生活を強いられる。

若い頃は都市部で働き、ある程度以上の資産を得てから田舎で暮らすのであれば問題無いのだが、不十分な給与で生き、そのまま老いるのは悪手と言わざるをえない。
生涯田舎で「普通に」生きていくつもりであれば、おそらく最低でも田舎の上位30%あたりを目指さなければならないと思うが、何故かスローライフとか、田舎でまったり暮らすとかいった自爆ブームが起こっており、それはむしろ今だけを見据えた刹那的な生き方ではないのかと思う。

もちろん、生活費月10万以下のミニマルライフが出来る人は問題ないのだが、そういうのを目指しているのかと訊くと大半はNOと言う。
それならば上を目指すのかというとそうではなく「それほど野心を持っている訳ではなく人並みに生き、人並みの老後を…」などと言うので首を傾げてしまう。
想定している「人並み」は今の基準での「人並み」であり、この先の人並みとは貧困生活になるという事を予想出来ていないのではないか。
しかしその事を指摘すると「自分は今でも十分うまく生活しており、毎月多少の貯蓄も出来ている」と反論される。

しかしながら、バブル以後30年平均年収は減り、物価は上がっている。年収が下がることはあっても物価が大きく下がることはないのだ。

これを説明してもあまりピンと来ない人が多いのだが、世界的な傾向としては、年々収入も物価も上昇している。
世界平均年3%物価が上昇していると言われており、20年経過すると約1.8倍。翻って、日本は2000年から収入および物価が1.8倍も上がっているだろうか。

今はまだ良いのだが、ここから20年日本がこのままの状態であった場合、物の原価がとんでもなく上昇し、原価につられて物価も上昇するのだが給与はあまり増えておらず、同じ収入額であっても買えるものがどんどん少なくなっていく。
現在は老後2000万問題と言われているが、20年後には老後5000万問題になっている可能性が少なからずある。(というか確実に今よりコストがかかる生活になるのは間違いない)
日本に本当の貧困が訪れるのは、それほど遠い未来ではないのだ。

もし上記に該当するワーキングプアがこれを読んだなら、都市部に出るか、どうしても田舎で暮らしたければ家を確保する事(家賃15年分以内で)と家庭菜園を持つ事をおすすめしたい。
おそらく老後の生活がだいぶ変わるだろう。

まあ…そういう前向きな対策の話をしても、やはり人には怒られるのだが。

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