不破遥香の炎上と時代性

フワちゃんという芸人がSNSで暴言を投稿した事により、多方面からキャンセルを食らっているらしい。
私はテレビを観ないので、それほど見知った人物という訳ではないのだが、彼女が彗星の如く現れた時に少し動画を観たことはあり、言動がいかにもADHDのようだと思った事はあった。

ただ、ひとつ気になっていた点があり、彼女の言動や雰囲気が、当時の職場にいたアッパー系コミュ障と非常に似通っているのだ。

もっともアッパー系コミュ障の方がより症状が強く、喋り始めて3分以内には障害を確信するほど重度だったのだが、フワちゃんからはそこまで感じられなかったため、帰国子女ならば文化の差によってそう見えるだけなのだろうと、そこから注目する事はなかった。

数日前までは。

それまで「テンション高めのADHDが傍若無人さをウリにしながら、道を外れる事なく数年に亘って活躍しているのは珍しい」などと感心していたのだが、どうやらたまたま表に出ていなかっただけらしい。

テンションの高いADHDは9割9分要注意人物だと考えていたのだが、やはり彼女も例外ではなかったのだ。

アッパー系コミュ障は多動性+衝動性が強いタイプなのだが、フワちゃんは注意散漫+衝動性タイプなのだろう。そのため、アッパー系コミュ障ほど重度には見えないのだが、言動から察するに思考が近いのではないかと推測する。

であれば、彼女がやす子という芸人にネガティブな感情を抱く理由は非常に明快で、

・見た目が地味である。(=奇抜さやスター性、強い権力を好む)
・健康的で明るい世界観(=冷笑的で他者信頼が薄い)
・比較的自然なキャラクター(=天然そうに見せているがかなり作っている)

…という辺りがどうにも癪に障るのだろうと思う。

言ってしまえば「自分は努力して愉快なキャラクターを作り、大衆にウケているが、やす子が自然体でウケている事が許せない」のであり、要するに嫉妬しているのだが、多分本人はそのように認識してはいないだろう。

そして、おそらくは当のやす子からそれほど認められてはおらず「(自分に対して)フローのみで会話している」などと発言している事から、「自分より下の人間から見くびられている(私はおまえに嫉妬しているのに)」…と感じていたのではないのか。

彼女の奇抜性は「私に注目して欲しい」というアピールであり、自身を軽く見られる事にはとても耐えられないのだ。

…まあ、これはアッパー系コミュ障の考え方なので、フワちゃんも同じであるかどうかは定かではないのだが、服装やコミュニケーションの手法を見ていると同類なのだろうと思う。
このタイプは発達障害であっても空気は読めるので、一見、傍若無人で空気が読めない天然キャラのように見えるかもしれないが、実のところ他者の視線には敏感であり、どこまで許容して貰えるのか常に測りながらコミュニケーションを取っているため、アスペルガー障害の人が失言するのとは全く異なる。
彼らは十分解ってやっているのだ。

ただ、以前にも書いていたが、世の中多様性と言いながらも実のところ許容値はどんどん下がっており「死んでください」は冗談でも許されなくなってきている。
人間関係における「空気」は読めても、時代性は読めなかったのだろう。


(追記)松本人志という人もそうなのだが、彼は常々自分はやらかしキャラであり、叩けばいくらでも埃が出る人間である…という事を吹聴し、スキャンダルがあったとしても許容されやすいキャラクター作りをして自らの身を守っていた。
が、世の中が急激にクリーンになっていった事で、やらかしキャラが本当にやらかすのは許されなくなり、当初は本人も大変困惑した事だろう。
時代に適応出来なかったのだ。

フワちゃんも自分の性格の良くなさを自覚していたのだろう。常々予防線を張りながら、やらかしても許されるキャラ作りをしていたはずなのだが、一夜にしてひっくり返ってしまった。

岡田斗司夫が、今の時代は「いい人戦略」をした方が良いなどと言っていたが、自分の瑕疵を曝け出して予防線を張るという従来の戦略は、(個人レベルでならともかく)もはや通じない世の中になっている。

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