世界の街に黄色の「M」
日本と同じチェーン店なのになんだかおしゃれ、それに見たことがないメニューもある。
初めての海外旅行でちょっとした感動を覚えて以来、さまざまな国で店を訪れ、日本との違いを楽しんだ。トレーに敷かれたシートをお土産に持ち帰った国もある。こちらはフィンランド。卒業旅行で店に立ち寄った。
今回はマクドナルドについて、思い出をあれこれ。
フランス
パリから夜行列車で到着したアヴィニョン。さすがマクドナルド、早朝から開いていて、朝食セットを頼んだ。パンケーキとマフィン、それにオレンジジュースとコーヒーがついていた。このコーヒー、高さ3~4センチくらいのとても小さな紙コップに入っていて、エスプレッソコーヒーだったように記憶している。ものすごくおいしいコーヒーだった。
いまでこそ、日本のマクドナルドでもコーヒーをウリにしているが、20年ほど前は、「薄くて熱くて味も香りもしない」印象だった。なので、とても驚いた。
シートには、日本にはないメニューが色々載っていて、いま見てもとてもおいしそう。
メキシコ
コーヒーについてきたミルクが、三角形の紙のパックに入っていた。それもとても小さくてかわいらしい。ただし開けづらかった。
カナダ
カナダでは、マフィンが充実していて驚いた。
ソフトボールくらいの大きなサイズだった。種類もたくさんあって、いま日記を見返すと「キャロットマフィン、チョコチップマフィン、チーズマフィン」などを食べていたらしい。
ちなみに私の記録が正しければ、「ビックマックとキャロットマフィンで3カナダドル」とのこと。…20年以上前なので、日本円で240円くらい。え、安すぎないか?
カナダ・マックではマフィンを本当によく食べた。
こちらの写真は別のときにカナダを訪れたShokoによるものだが、「M」に赤い小さなメープルリーフが!私が訪れた際にはあったのかどうか、記憶が定かではない。カナダではいつからこのデザインなのか、今回調べたがわからなかった。
オーストリア
こちらも「いまでこそ日本も」だが、歴史的景観を損なわないよう配慮された外観に、感心した。冒頭の、トラックの写真も、オーストリア・マクドナルドた。
テイクアウトしてマフィンとサラダを食べた。サラダが大きな紙のパックに入っていて、いったい何人分だろうかと思ったが、ふんわり入っていたのであっさりと完食。それにしてもマクドナルドに入っておきながら、ハンバーガーよりもマフィンをよく食べている。
ギリシャ
特に空腹ではなかったが、トレーのシートが欲しいためだけに入店、コーヒーとポテトを頼んだ。目新しいメニューはなかったように思う。「コーヒーがまずくて気持ち悪くなった」と日記に書いてあった。
イギリス
ロンドン中心部、ピカデリーサーカスのマクドナルドに何度か入った。それは、街歩き中にトイレを借りるため。なのでここでもハンバーガーは食べず、オレンジジュースやコーヒーだけ飲んだ。
客席が地下にあって、常にぎゅうぎゅう詰めだった。
さすが国際都市ロンドン、聞こえてくる言葉もほんとうにさまざまで、大都会とはいえ東京とは違う、としみじみ思った。
香川県・直島
2001年に瀬戸内海の小さな島・直島で開かれた展覧会を訪れた。
そこには、作品のひとつとして、黄色の「M」の字の巨大なモニュメントがあった。
なんの説明もなくても、ああ、あの店ね、と誰もがわかる。たとえそれが、のどかな島であっても。
そんな、かの店でも、国によって、ちょっとずつ表情が違う。そうしたほんのちょっとの違いを見つけて小さく喜ぶのが私は好きなのだろう。
上のシートは、父が中国旅行した際のお土産。何も食べずにシートだけ持ち帰ったそうだ。相当面倒くさいお土産をリクエストしてしまった。
最近の私の旅では、マクドナルドに立ち寄ることがなくなってしまった。
次回海外旅行にでかけたら、行ってみよう。
昔訪れたマクドナルドでおいしいコーヒーに驚いたように、日本より一歩進んだ何か、そして小さな喜びが見つけられるに違いない。
(text:Noriko,photo:Noriko,Shoko)©elia