旧約聖書物語 2
民族の誕生
アブラムの出発から
エサウとヤコブの物語まで
目次
1 アブラムの出発
2 アブラムの出発 その2
3 ソドムとゴモラ
4 ハガルとイシュマエル
5 ハガルとイシュマエル その2
6 アブラハムとイサク
7 アブラハムとイサク その2
8 イサクの嫁リベカ
9 イサクの嫁リベカ その2
10 エウサとヤコブ
11 エウサとヤコブ その2
1 アブラムの出発(創世記 11~12)
ノアの長兄セムは
百歳の時アルパクシャドを得
それから五百年を生き、そして死んだ。
その後セムの家系は
アルパクシャドからシェラ
シェラからエベル
エベルからペレグ、ペレグかレウ
レウからセルグ、セルグからナホル
ナホルからテラへと受け継がれた。
そしてテラは、アブラム
ナホル、ハランを得た。
テラとその一族はその頃
恵の大河、チグリス
ユーフラテスの河口
豊なカルデア地方の要
ウルの街に居たが
テラはある日
息子アブラムとその妻サライ
そして若くして死んだ息子の
ハランの子、孫のロトを連れて
そのウルを出、河に沿って北西に上り
カナンの地を目指したが
途中ハランまで来ると
そこにとどまりそこに住んだ。
さてアブラムが
そのハランの街にいた時のこと。
神がアブラムに言った。
生まれ育ったこの地を出よ。
父のもとを離れ
そして私が示すところまで行け。
そこで私はお前を大いなる民の長とし
その名を護り高めよう。
アブラムは、神の言葉に従い
妻のサライ、甥のロト
持てるかぎりの財を携え旅立った。
アブラムの七十五歳のことだった。
こうしてハランを出て
カナンに向けて旅立った一行が
カナン人の地シケムの
モレの樫の木のあるところまできた時
神がアブラムに言った。
この地をお前とお前の子孫に与えよう。
アブラムはそこに天幕を張り
自分に現れた神を讃えて祭壇を造った。
旧約聖書はここからユダヤ民族の歴史を語り始めます。ノアの長男のセムの子孫のテラの3人の息子の長男のアブラムが、ここで神から直接、言葉をかけられ、アダム、ノアと並んで神に選ばれた民族の祖先となることが告げられます。
ところで、どうしてアブラムの父のテラが、チグリス川、ユーフラテス川の恵みを受けるメソポタミアの豊かな都市、現在のバグダッドの南のバビロニアのウルを出たのかは旧約聖書に記載されていませんのでわかりませんが、その時期はおよそ紀元前2000年頃だったようです。
なお神から与えられたカナンは、これから先ユダヤ民族にとって極めて重要な場所となりますけれども、ただカナンは、現在のシリアからイスラエルに至る地域ですが、そこにはすでに住人がいました。けれども、神のお告げによってアブラムたちはそこを自分たちの土地とするわけです。今日まで続く複雑な争いの種がここで撒かれたたとも言えます。
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