東大SPH入試体験記(2021年実施)~IELTSを選んだ理由~

はじめに

東大SPH (2年コース)に合格しました!ので、波乱万丈の入試体験記録を残したいと思います。誰かのお役に立てれば幸いです。まずは、英語から...

今年(2021年)の東大SPH入試では、外部英語試験としてTOEFLまたはIELTSのスコア提出が求められました。どちらを受験するか悩んだ末、私はIELTS(コンピューター受験)を選択し、Overall6.5のスコアを提出しました。

具体的なIELTS対策について述べる前に、

・なぜIELTSを選んだのか

・実際に受験してみてIELTSを選んで良かったと感じたポイント

についてまとめておこうと思います。この記事を読んで、自分もIELTSを選択する可能性があると思った方は、次のIELTS対策記事をお読みください。

ちなみに私は2年半前に1度、TOEFLを受験しています。テストの特徴や流れが分かっているTOEFLを受けた方が有利かとも考えましたが、受験経験というメリットを捨ててでも、一発勝負を初受験のIELTSにかけることにしました(受験経験があったからこそ、TOEFLのマイナス面が分かっていたともいえますが...)。

なお、TOEFLとIELTSの比較についてはGoogle先生に尋ねればいくらでも答えがでてくると思います。この記事では、あくまでも東大SPH突破を目的として、私見をベースに比較した結果をまとめます。

IELTSを選んだ理由

それは、TOEFLと比較して低い点数が出にくいと考えたから、です。

今回の入試では、5月末に公表された募集要項の変更で、7月末日必着での外部英語試験のスコア提出が告知されました。つまり、準備期間はどんなに長くても1ヶ月半です。1ヶ月半で英語力が伸びる訳はないので、今ある英語力で確実に点を取り他の受験者から引き離されないこと、高い点を目指すのではなく、いかに低い点をとらないか、ということを重視しました。

その上で、IELTSの方が低い点数が出にくいと考えた理由は下記4つです。

① リーディングが比較的解きやすい

これは、超主観です。夫が持っていたIELTSの公式問題集を何問か解いてみてこう感じまた。

TOEFLのリーディングって、各学問領域から結構専門的な内容が出題されますよね。すっごく辛かった記憶があります。天文学とか、考古学とか...チンプンカンプンで...

IELTSでも同様に、ある学問領域における課題や歴史、調査結果などの文章が出題されます。が、TOEFLより読みやすい&解きやすいと感じました。その理由は、

・分からない単語があっても何とか類推できるレベル

・本文の流れ通りに問題が出題されるので、一部が分からなくても、別の問題は解ける(例えば、第1段落はチンプンカンプンでも、第2段落はだいたい読めればここに対応する問題は解けちゃう。)

・40問中12,3問程度出題される穴埋め問題は、本文中に絶対答えが書いてあるので点が取りやすい(コンピューター受験ならコピペ可)

です。

② ライティングとスピーキングで、リスニング能力があまり求められない

TOEFLではライティングとスピーキングの問題を解くために、問題文を聞き取る必要があるので、リスニングができなければ、詰みます。

一方、IELTSでは、ライティングに関してはリスニング要素ゼロです。さすがに、スピーキングは問題文を聞き取る必要がありますが、TOEFLのように長文を聞く必要はなく、試験官による単文の質問のみです。また、試験官と1対1の対面式なので、聞き取れなければ再度聞き直すことができます(聞き直しによって減点されるかは不明です)。

③ スコアは4技能の平均点でかつ切り上げ

TOEFLのスコアは単純に4技能のスコアの積み上げですが、IELTSはバンドスコアという方式なので4技能の平均点がスコア(Overall)になります。

具体的には、4技能それぞれを0.5点刻みの9点満点で評価し、この4技能の平均を算出します。このとき、小数点は0.5ごとに切り上げされます!!!(4技能の平均が6.25なら6.5!)

切り上げの対象になるかは結果次第ですが、対象になればラッキーです。

③ コンピュータ受験なら結果が出るまでの日数が短い

TOEFL(iBT)の場合、スコアレポートをダウンロードできるのは、受験から8日後ですが、IELTS(コンピューター受験)の場合は、最速で5日後に手元に届きます。

わずかな差ですが、受験可能な試験日も考慮するとIELTSの方が遅い日程で受験することができ、その分、準備期間を引き延ばすことができました。

IELTSを選んで良かったと思ったポイント

実際にIELTSを受験してみて、心底IELTSを選択して良かったと思いました。そう感じたポイントをまとめます。

① 静かな環境で受験できる

TOEFLではPCが並んだ部屋で、受験者が各自のペースで解き進めていきます。(少なくとも私が受験したときはそうでした。)そのため、自分がリーディングを解いているときに隣の人がスピーキングを解いていることがあります。ただでさえよく分からない長文を読んでいると、かなり集中に支障をきたします。

IELTS(コンピューター受験)では、スピーキングは面接官と対面式で行い、PCを用いるリーディング、リスニング、ライティングは各技能で時間を区切って、一斉に解答開始・終了します。つまり、リーディングを解いているときに、隣からスピーキングの話声やリスニングの音漏れ、ライティングのキーボード音がすることはありません。とっても集中できました。

② スピーキングが対面式で柔軟

TOEFLのスピーキングはマイクに向かって録音する形式ですが、IELTSでは面接官と1対1の対面式で行われます。そのため、

・問題文が聞き取れなければ、何度も聞き直すことができる。

・面接官の表情が見える(相槌をうってくれる)ので、話しやすい

・得意な話題で長く話して、試験時間をつぶすことができる(テスト時間は15分と決まっているので、得意な話題でベラベラしゃべって尺を取れば、問題数を減らしかつ高評価が狙えます。)

などの利点があります。

③ 目薬持ち込み可

私のようなドライアイ持ちには超重要なポイントです。(笑)

TOEFLを受験した時は、受験会場(PCのある部屋)への持ち込みは禁止でした。眼球バッシバシになりながら、なんとか持ちこたえた記憶があります。

一方、IELTSでは受験会場への持ち込みが可能でした。ただし、試験官が預かっているので、各技能の合間に手を挙げて、「目薬ください」というスタイルでした。そんなことをしているのは私だけでしたが、おかげでベストコンディションで受験できました。

IETLSを選ぶときの注意点

ここまで、IELTSを激推ししてきましたが、以下のような人はIETLSを選択することはオススメできません。

・IELTSが利用できない留学や博士課程への進学を検討している人。

特に日本の博士課程では、外部英語試験としてはTOEFLのみを認定している大学が多いように見受けられます。将来的にTOEFLが必要になる(可能性がある)なら、最初からTOEFLに打ち込んだ方が良いかもしれません。

・アメリカ英語に慣れ親しんでいる人。

TOEFLはアメリカ英語、IELTSはイギリス英語で、特にリスニング違いがでます。アメリカ英語なら粗方聞き取れちゃうくらいの人がわざわざイギリス英語のIELTSに挑戦するメリットは少ないと思います。私は、その違いがほとんど分からないくらいのレベルなので気になりませんでした。(泣笑)

・高得点が欲しい人

人から聞いた話と主観による意見で、エビデンスはないですが、TOEFLと比較してIETLSの方が高得点は出にくいと思います(つまり高得点も低得点もでにくい)。

難しい問題は解説を読んでも「それは無理だわ」という問題もありますし、ライティングとスピーキングは一定以上の高評価はでにくいようです。また、バンドスコアの特性上、ある得点幅は同じスコアに丸められてしまうので、一つ上のスコアを目指すのは難易度が高そうです。その点、TOEFLは各技能の足し算なので、1点でも高い点数をとって英語で勝負するという人は、TOEFLの方が適しているかもしれません。

さいごに

IELTSのメリットを並べましたが、決してTOEFLは不利だとか、TOEFLを選ぶことは間違いだとかいう意図は一切ありません。それぞれメリットデメリットがあって、受験者ごとに合う合わないがあると思います。

ただ、今年の東大SPH受験に際して、私個人としてはIELTSを選択して良かったということとその理由を実体験からまとめました。

外部英語試験を受験する際の参考になれば幸いです。

次記事で、実際に行ったIELTS対策についてまとめます。IETLSを受験する可能性がある方は、お目通しください。



いいなと思ったら応援しよう!