東大SPH入試体験記(2021年実施)~専門科目対策~
1.はじめに
入試体験記の最後に専門科目の対策についてまとめます。
今年、初実施されたオンライン試験では、公衆衛生基礎から25問、統計学から15問出題されました。公衆衛生基礎については、出題範囲は例年通りだが選択肢が例年よりややこしい、統計学は計算機持ち込み不可ということもあり、例年より易しいと感じました。
過去問の感触だと、40問に対して60分の試験時間は余裕があるように感じていましたが、実際はカツカツでした。公衆衛生基礎の選択肢で悩んでしまったこと、統計学の暗算に時間がかかったことも要因ですが、オンライン試験だと1問ごとにマウス移動やスクロールの手数が生じ、操作のための時間がかかりました(選択肢絞り込み機能を使うと特に...)
では、私の行った対策を振り返ります。公衆衛生基礎については、目新しいことはしていないので後回しにします。
2.全体感
過去問は10年分(2011~2020年年度)を準備しました。途中血迷って統計検定を受けたりしながら、時系列でいうとこんな感じで勉強しました。
1~4月:過去問を1周(自分なりの解答ノートをつくる)
5月:統計検定2級を受ける
6月~7月中旬:小論文&IELTSに全集中していたので専門科目はノータッチ
7月後半~8月中旬:過去問の専門科目(択一式)を3周(最後の1周は間違えた問題のみ)
3.統計学
使用した参考書等は、下記の通りです。
①「東大SPHを目指す貴方へ」の過去問解説
https://ameblo.jp/tootsieroll-29/
② 統計学演習(培風館)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/asin/4563008702/s0a6e-22/
③ 統計学の時間(統計WEB)
https://bellcurve.jp/statistics/course/
④ 統計検定2級過去問
1~4月は、統計学演習の例題を一通り解いてから、過去問1周目に取り掛かりました。過去問の解答は①の「東大SPGを目指すあなたへ」の過去問解説を参考にしつつ、計算手順や不明点に関するメモをまとめた、自分なりの解答ノートをつくりました。
統計学演習はやはり、やって良かったです。統計学演習で練習できる基礎的な部分は、忘れていたり、実は理解できていなかったりするので、良い準備運動になりました。いきなり、過去問を始めていたら、おそらく全然解けなかったと思います。
それから、春ごろ少々迷走しまして(笑)、5月末に統計検定2級を受験・合格しました。前年度同様、コロナの影響で書類&面接のみの試験になるなら、活動報告書に記載するために統計検定2級があった方が良いのでは?!と思ったのです。結果的には、入試案内に「統計に関する能力については記載不要」とはっきり明記されてしまったので、書けなかったんですけど...
しかし、オンライン試験まで終わってみると、統計検定2級は受けておいてよかったんじゃないかと思っています。
主観ですが、統計検定2級の内容を理解していれば、専門科目の統計の問題は8割方解ける(理解できる)、からです。残りの2割は生存率など医学関連の考え方(?)や単純に範囲外の内容です。
もちろん、統計検定2級と東大SPH入試では、同じ内容でも問題の出方は違うので過去問でアウトプットの練習は必要です。
その他にも
・PC環境で統計の問題を解くリハーサルになる
・私のように統計検定2級を持っていることが職場での評価につながる、もしくは今後の就職活動で有利になる場合(履歴書に書けるので)は、とっておいて損にならない
という利点もあります。統計の基礎固めがしたい、かつ時間的余裕があるなら統計検定2級にチャレンジしておくのもアリだと思います。
具体的に、5月の1ヶ月間に行った統計検定2級の対策は下記の通りです。
過去問(6回分)1周目
→③統計学の時間の解説を読む&練習問題をといて理解が曖昧な部分を消す
→過去問2周目
③統計学の時間には統計検定2級に必要な知識が非常に分かりやすくまとめられています。また、過去問の解答解説も掲載されているので、過去問の解説だけでは理解できないときは、参考になります。
しかしまあ、統計検定2級を受ける数日前に、募集要項の変更があったので、絶望しながら受験しました...(泣笑)
そして、小論文提出とIELTS受験を経て、過去問の勉強に戻ったのは。約1ヶ月半後の7月下旬です。しかし、統計検定のおかげで基礎固めはできていたのか、過去問の統計学の問題は1周目のときほど苦労しませんでした。新たに2周サクサク解いて、すべての問題を迷いなく解けることを目指しました。それでも公式が覚えられなかったり、解法に自信がないものは最後にもう1周確認しました。
4.公衆衛生基礎
特に変わったことはしておらず、とにかく過去問を解いて、その周辺情報を頭に叩き込みました。
使用した参考書&ツールは下記の通りです。
①「東大SPHを目指す貴方へ」の過去問解説(再掲)
② 公衆衛生がみえる
③ Quizlet(暗記アプリ)
https://quizlet.com/ja
1月~4月に過去問10年分を1周しました。①「東大SPHを目指す貴方へ」の解説や、② 公衆衛生がみえるを参考にしつつ、自分なりの解答ノートをつくりました。このときは、問題を読んで、解答根拠を探し、まとめることに精一杯で覚えるということまではできませんでした。
そして、IELTSを受験した後、7月下旬にようやく公衆衛生基礎の勉強に戻り、過去問を新たに3周(2~4週目)しました。ただし、4週目は、間違えた問題のみです。
具体的には、2周目で、
ある1年分を解く→解答の関連情報をQuizletに登録、
を10年分行い、同時並行でスキマ時間にQuizletで暗記をしました。
あとは、3周目→4周目とひたすら問題をときながら、Quizletを何周もして、登録した内容を完璧に覚えることを目指しました。
Quizletでは、1年分ずつ単語帳を分けました。異なる年度で類題が出題されている場合は、何度も出会うので頻出の問題ほど頭に叩き込まれます。
また、Quizletに登録する内容は、② 公衆衛生がみえるをベースにまとめました。② 公衆衛生がみえるに該当箇所がある場合は、そこに掲載されている内容に限定し、該当箇所がない場合のみネットで調べました。すべて、ネットで調べているとキリがないので...
そして、声を大にして伝えたいのは、統計データは直前に最新の数値に更新して覚えること!です。私も② 公衆衛生がみえるに掲載されている数値について、行政機関や国がん等の信頼できるソースから最新版に置き換えて暗記するようにしていたのですが、漏れがあって、1問落としました...
5.さいごに
今年は初めてのオンライン試験でしたが、対策自体は例年と変わりないかと思います。参考になれば幸いです。
書き忘れていましたが、私の勉強時間は4月以降、2~3時間/日です。基本的には、子供が寝ている間に勉強していました。Quizletは授乳中に眺めていることもありました(目をつぶって大人しく飲んでいるときのみ)。
オンライン試験の準備(備品、ネット環境、トラブル対応の予習など)はそれなりに大変でしたし、ちゃんと受験できるか、最後まで不安が消えませんでしたが、個人的にはオンラインになって助かりました。
乳飲み子を抱えている身としては、分散してもいいから、少しでも1回の所要時間が短い方が助かるからです。従来の会場受験スタイルであれば、丸1日子供と離れる必要があるので、私の場合、まず受験できるかという問題をクリアする必要がありました。しかし、外部英語試験(半日)+オンライン試験(1.5時間)になったことで、なんとか受験することが叶いました。
これは想像ですが、遠方からの受験者にとってもメリットが大きいのではないでしょうか。試験前日に移動・宿泊する必要がなく、東京近郊在住の受験者とフェアな条件で戦うことができると思います。
何が言いたいかというと、オンライン試験のおかげで新たにチャンスを得る受験者がいるのではないか、ということです。
コロナ禍でも新たな試みでチャンスを与えてくれた東大SPHの先生・事務方の皆様にはすでに感謝の気持ちでいっぱいですし、そんな大学院に合格できたことを心から嬉しく思います。
入試体験記(終)