服は趣味ではないという話
年末帰省して昔の仲間と色々話しました。かつて声優現場の話しかしなかったオタクでも歳を取れば仕事、結婚、趣味、投資に話題がシフトしていて大学を出てから3年地方で独り身修行パートをしている僕は心の中でおんおん泣いていました。マジで女っ気ない。
さて、昔は共通の趣味が声優ライブやゲームだった彼らはほぼそれらを卒業していて、休日やることが無くて困っていると。恋人がいる人は恋人と過ごせば良いのですが、それは周囲では少数派()()なんですよね。かくゆう私も趣味という趣味を持ち合わせていません。
仕事が終わると友達とアニメを毎クール10~15本ほど見て、休日は車で遠出して服を買ってラーメンを貪りサウナで整う生活をしてますが、これらは正直趣味と言うには少し弱いです。休日のラーメンなんて高校生の頃からずっとやってるので趣味とも思わないですし、男性のサウナ趣味なんて女性のカフェ巡りくらいおもんないです。アニメは俺の見方やポイントがオタクすぎて話題を広げられません。趣味は自分自身楽しむためにあると同時に他者との話題でもあると考えています。インターネットを見てると趣味はゲームとかサウナで充分通じるとかありますが、ゴルフ含めスポーツやキャンプ、釣り等の人にも話しやすく、興味を持ってもらいやすい物がベターです。サウナは余りにも人口が多いので共通する人には良いのですが、そうでない人からすると本当に興味が出ません。それはそう。
さて、私はここ5年程 「服」「ファッション」という領域にどっぷり浸かっております。収入の3分の1~4分の1を使う時もありますし、旅行先でも必ずお店をチェックします。そもそも、半分はそれが目的です。
社会人になって服装に気を使う場面が増えてきました。私は職業柄殆ど仕事で服装を考える場面は無いのですが、オフィスカジュアルとかだと何も知らないと難しいですよね。身内からその辺の服装に関する質問を受ける頻度が上がってきて度々嬉しく思います。というのも、「服装に気を使う」「古着を見るようにになった」レベルの人はかなり増えてきて、1着1万そこいらの服に出すようになりました。しかし、スーツのような一張羅でもない日常着に数万~2桁出すような「趣味」のように服を楽しんでいる人はほぼ居ません。
私は大学の途中から服に興味を持ち始め、最初は服装に気を使えるようになる 程度のつもりでしたが、ここはオタクが沼に浸かる要素が多分にありまして、大学3年の後半からはドメスティックブランドを買うようになり、社会人1年目からはセレショや古着で買い漁るようになりました。
客観的に見ると増えた収入で自身の好きな物を買う趣味に見えますが、私は服に関しては趣味ではないと考えています。
かなり前置きが長くなりましたがここから本題です。
そもそも服って社会生活で常に身につける物です。服を着ずに外には出れません。UNIQLOやGUのような最早インフラとも呼べる低価格の量産品で事足りるのに、高いお金を出してそれ以上の買い物をしているから趣味だと捉えられるのでしょう。しかし山本耀司さんがこんな事を仰っています。(超超超有名)
まあ擦りに擦られてますし、私もこの領域までは全然達していません。まだ5年ですからね、なんなら3年くらい。10年しっかり向き合ってようやく1つ考えが成熟するかどうかという世界なので。
服を選ぶことは生活を選ぶことです。服の選択にライフスタイルとセンス、教養が出ます。
服装がオシャレな人って車も家もカッコイイです。イケてます。車だけカッコイイとか家だけ立派は居ますけど、オシャレな人は全部イケてる印象です。
物事の取捨選択、お金の使い道、お金を落とす所全てにその培ったセンスや教養が出るんですよね。お金は持ってる人がハイブランドに身を包んでるけどカッコ良くない事があるのは、そこのセンスや教養を身につける時間を経てないだけだと思います。これは一朝一夕では身につきません。色んな物を手に取って、何回も決断して身につけてを繰り返さないと養うことは出来ないと思います。その時間の中に人それぞれのバックボーンがあり、それがスタイルに反映します。音楽が好きな人は好きなアーティストのスタイルやそのカルチャーのスタイルが混ざりますし、映画が好きな人はインスピレーションを受けたりします。ブランドが好きな人はスタイリングに意識が現れたりします。
時間をかけて、足を運んで、身につけていくのを繰り返さないとスタイルは出来ませんし、スタイルが出来なくとも自分の好みや軸が分かりません。自分は何が好きなのか、今何が気分なのか、それが分からないと買い物って難しいのです。その軸によって生活が成り立っていくわけですから。
逆に、これが少しでも見つかると彩りが出ますよね。クローゼットも部屋も統一されて、車のような私物も洗練されていくと思います。物だけお洒落でもあまり意味は無いのです。結局着てる服、乗ってる車、聞いてる音楽、だけではセンスがある人にはなり得ません。全部トータルなんですよね。カルチャーやバックボーンがあるとかないとかは関係ないので、その人がどれだけ自分の軸を持っているか、その軸が磨かれているか、そのアウトプットによって判断されるのみです。
私もUNIQLOもGUも買います。良いなぁと思えばぱって買っちゃいます。最近は部屋着と下着と特別コレクション以外は殆ど買わなくなりましたが、それでも他人にお勧め出来るような完成度の高いアイテムは沢山ありますね。でも生産背景や先のことを考えるとあまり所有したいとは思いません。お金が無いので消耗品はオールUNIQLOですが……… 服の価格とレベルを圧倒的に押し上げましたし、街の人々の服装レベルも格段に上がったと思います。いわゆるステレオタイプのチェックシャツ➕ジーパンのオタクファッションはどこにもありません。 UNIQLOが元々アメリカのアイテムを扱っていて、それをサイズ感や色合わせ、センスのないままに身につけて失敗していた例がオタクファッションでした。今のオタクは黒パンにモノトーンかアースカラーのトップスです。コートもUNIQLOでマトモなシルエットのチェスターコートやバルマカーンコートが買えます。どう買って着てもヤバい服装にはなりにくくなってます。これは相当な企業努力です。素晴らしい。
でも衣服に対する金銭感覚が下がりすぎたのはある種問題とも言われていますし、そこは自分も思うところがあります。もう正直、UNIQLOって卒業しなくていいんですよね。高品質で長持ちするような造りなので、特に12900位のコートはずっと使えると思います。虫食いするような生地でもないですし。UNIQLOもだいぶファッショナブルでだいぶ感度が上がってきてるので、程々にUNIQLOを買い続けていればサイズ感もそこそこに今っぽくなります。所謂オーバーサイズです。意識せずとも街中に出てる服を新品で買えば勝手にオーバーサイズになるようなサイズ感です。
こうなると本当にUNIQLOで良いんですよ。本当に。小物だけPRADAとかCOACHとかで揃えて靴はニューバランスでも履きましょう。
そうなると、日常着の中でも少しお金を出して服を買う行為自体が趣味の領域なんですよね。逆にお金ある人はステータスの意味でもラグジュアリーブランドを買うのでますます中間層が居ないわけですよね。
日本のセレブや経営者でハイブランドやラグジュアリーブランドを着こなしている人って凄く少ないですよね。海外のセレブは様になってますよね。勿論日本のブランドじゃないとか日本人の体型の傾向とかもありますが、日本は教育課程や家庭の教えで被服に関する教養やセンスを身につける機会がほぼありません。これもありますね。もっと勉強するべきです。余りにも工業製品として、生活必需として消費されるだけなのが日本の洋服なので、もっとこの世界を知ろうとするべきだと思います。
そうすれば服を買うこと、楽しむことが趣味なんて言われなくなると思います。趣味の側面が全くないと言いませんが、自分にとって服を買うことは、自分のスタイルに向かって足りないピースを常に探し続けたり、経験や知識を得ようとする事です。
ちなみに私こうやって大きく語ってますが、被服費全然かけてません。20歳位でBALENCIAGAとかDRISとか着てる人見ると本当に凄いなと思います。私はAURALEEやNIGEL CARBOUNで精一杯です。とはいえ、これらのブランドを本当に素晴らしいと思って着用しているので何も言うことはありません。
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