みんなで作りあげるアイテムを。おやびんと呼ばれて。グッズを愛してもらってクラブも愛してもらえるように【#私とエルフェンvol.2 グッズ担当:袴田有菜 後編】
クラブ内外の多くの人が関わることで展開されるサッカークラブ事業。
「#私とエルフェン」は、クラブと接点のあるさまざまな魅力溢れる人たちにお話を伺い、ご紹介していく企画。
第二回目はクラブの「なかの人」にフォーカスしました。インタビューに答えてくれたのはエルフェンのグッズ担当 袴田有菜(はかまた ゆうな)さん。
<前編>はこちら⬇️
【後編】のこちらでは、商品化されるまで9ヶ月かかったというエルルンぬいぐるみキーホルダーの製作秘話から、仕事をする上で大切にしていること、そしてクラブへの想いなど、袴田さんをさらに深掘りさせてもらいました。
インタビュアーは、袴田さんとはフロント部隊として共に働いている運営・社会連携部 伊藤です。
4度目の正直。晴れて誕生したエルルンぬいぐるみキーホルダー。
ー早速ですが、商品を作ろうとしたきっかけを教えてください。
袴田:エルルンの着ぐるみが先にできるという話があって、その中でやっぱりぬいぐるみがあるとお土産にもなるしクラブを象徴するものにもなるので、キーホルダーを作りたいなと考えたのがきっかけです。まず製作してくれる業者さんを決めて、エルルンの着ぐるみの絵を見ていただくところからスタートしました。それでサンプルとして1つ目であがってきたものが、なんと言いますか、とても人間味のある形をしていたんですね。親しみを持ってもらうならもう少しサイズを小さくしてとか、ちょっと目は大きくしたりとかマスコット感があるようにした方が良いなと思ったので、それをお伝えして、2つ目を送っていただいて。
ーパッと見た感じはもう完成形に見えてしまうけど。
袴田:頭の形がちょっと気になるなぁというのと、髪の毛のボリューム感や尻尾の形だったり、どこを特徴として目立たせるかみたいなところが、まだ改善できそうだったのでまたやり取りをさせていただいて。それで3つ目では髪の毛や頭の形を整えてみたり、尻尾も少し大きく変えてみたんですが、よく見ると尻尾がペラペラして下に下がってしまうからくっ付けようとか、刺繍の目の色は他のぬいぐるみでは茶色が多く使われているからという話で変更したりして、結果的には4つ目で完成品の形になりました。
ーそのやり取りで9ヶ月かかったんですね。
袴田:かかりました。やっぱりクラブとしても、エルルンのデザイナーの方も、製造業者さんもこだわりは当然ありますし、こだわらなくちゃいけない中で、私が3者間の仲介としてやり取りさせていただいたんですけど、意見をすり合わせていくのは時間がかかりました。業者さんにとっては何度も戻されて作り直す作業は簡単なことではないと思うんですけど、理想を追求する中でそこも理解していただいて。私も何回もこれで良いんじゃないかと妥協もしたくなりましたけど。
ーお互いプロだから当然に意見のぶつかり合いもありますよね。
袴田:はい、なので3社で本当にこだわり抜いて作った感じはすごくありますね。
ーでは4つ目が出来上がってサンプルを見た時の印象は?
袴田:「これでいける!!」と思いました。子供に親しみがあるし、大人の方でもかわいいと思ってもらえるようなものを作れたなと思いますし、やっぱりエルフェンの象徴となるアイテムになるので、それが世に出回っていることがすごく嬉しいなと思います。
コミュニケーションで大切にしていること
ー選手とのやり取りで印象残っているエピソードはありますか?
袴田:「GO ELFENフォームフィンガー」を新しい応援グッズとして作りたいなと思ったときに、歩加さん(大沼歩加選手)が昨年の宣材写真でこのポージングをしていて、商品を作ってPRするときにこの指をつけてもらうのはもう歩加さんしかいないと。ぜひお願いしたいなと思って、プロモーションを手伝ってもらいました。
ーあのInstagramの動画の歩加ちゃんととっちー(栃谷美羽選手)のやり取りも面白かったよね。
ーホームゲームでグッズ販売のブースに行くとはきゃが頻繁にお客さんと話している姿や、仕事をサポートしてくれるコンシェルジュさん(ボランティアスタッフ)との和やかな雰囲気を目にするけど、コミュニケーションはどんなことを心掛けていますか。
袴田:やっぱりお客さんが欲しいっていうアイテムを売りたいと思っていて。私自身もサッカーを見に行ったときに欲しいって思わないと買わないので、今何が必要とされているのかはお客さんの生の声を聞くことが作る過程では一番必要になるなと。グッズを見て悩まれている方に、何か悩まれていますかとか、他にはどんなアイテムがあったら嬉しいですかとか、そういうのもちょっと聞いてみたりとか。
あとはSNSを活用して、欲しいグッズありますかというのをファン・サポーターの人に教えてもらっています。実際にニット帽は、冬場に頭と耳を隠せたらいいなというご意見があったので、今年の冬は出そうと思って計画して販売しました。
ー自身がサポーターだったという過去の経験が活きていそうだね。
袴田:今グッズ担当をしていて、アイテムでこれが良かったなとか、過去の経験で引き出しを増やせているから(お客さんに)寄り添えるかなっていうのは思いますね。この仕事のやりがいじゃないですけど。
ーコンシェルジュさん(ボランティアスタッフ)からは何て呼ばれているんだっけ?
袴田:えーっと、『おやびん』です。
ー親分のおやびんだよね?(笑)
袴田:いつの間にかそうなっていて。コンシェルジュさんから「おやびんのためなら働きまっせ」とか言われて(笑)。最初から今のように話す感じではなかったんですけど、「グッズってどういうふうに作ってるの?」とか皆さんが興味を持ってくれたことがきっかけになったのかなと。私も「なんでコンシェルジュさんになろうと思ったんですか?」とか、知りたいっていうのもありましたし、それもあってよく話すようになって、皆さんと良い関係になっていったと思います。
ーチーム袴田が結成されているもんね。
袴田:みたいな感じになっちゃいましたね。よく「自分のグッズ作れ」って言われるんですけど、「売れない売れない」って(笑)。
ーおやびんキーホルダーとか(笑)いつか出るかも!?
袴田:いやぁ~。でもいつかスタッフのそういうものがあっても面白いですよね。
ーいつかやってみたいね。
はきゃは自分の性格ってどういうふうに思ってる?行動力があって、自分の意思がしっかりあって、そこに突き進もうとする人なのかなって見てて思うんだけど。
袴田:イメージしていただいてるような感じかと思います。信念曲げたくないみたいな、貫くし、やりたいと思ったらやる。あとは真面目すぎちゃって、業務に関してもそうですけど、結構細かくなったりするところが良くも悪くもだと思うんですけど。小学生の頃からそんな感じかもしれないですね。
描く未来
ーこれからの目標を教えてもらってもいいですか。
袴田:グッズとしては、お客さんが新しく来たときに買いたいというアイテムを作り続けなきゃいけないと思っていて、その中でも話題のあるアイテム、ちょっと面白いユーモアもあるアイテムが売れたりとか、グッズを買ってくれる層を増やしていきたいなと思っています。そのためにも今あるアイテムの魅力をしっかり伝えていくことが必要だと思いますし、お客さんもぜひいいなと思うアイテムがあれば、SNSに投稿してもらえると今の時代は拡散の時代でもあるので有り難いなと思っています。
「#エルフェングッズ」というように、このアイテムすごい良かったよとか、この商品届きましたとか、商品を身につけている写真もぜひ投稿してくれたら嬉しいです!
グッズを作るプロセスとしては、クラブのグッズを私1人で作るアイテムではなく、みんなで作り上げるアイテムとしてこの3年間ぐらいやってきたつもりなので、その裾野が広がればいいなと思っています。今後はその経験をもとに、グッズを絡めたイベントとかそういうこともやっていきたいなと思っていますし、このクラブでより一層愛してもらえるような、グッズを愛してもらってクラブも愛してもらえるような、そんなふうになっていけたらと思っています。
ー社会人として、どのような人になっていきたいですか。
袴田:そうですね、今このクラブの中だと若手というところでサポートしてもらえたり、助言をもらえる立場ですけど、もうあと2年ぐらいすれば年齢的に中堅層になってくるので、マネージメントもできるような言葉遣いとか、業務のところももう少し広く見れて、もっと成長したいなっていうのは思っています。
自分が培ってきた経験を次に繋げることも必要だし、人に教えるという経験は(それができたら)一人の人としての価値を高めることにも繋がると思うので、今は目先のことしかできていない状況ではありますけど、年下も増えてくるのでしっかりサポートして、共により良いものを作れるような人になりたいなと思っています。
でも全然時間はかかると思うし、まだまだ業務に限らずメンタリティのところとか、本当未熟だなって思うところはすごくあって。
ー具体的に言うと?
袴田:伝えたいことがうまく通じなかったときに、なんでそうじゃないんだとか、なんで伝わらないんだっていうのは、自分の言語化のところが足りていなくて、それは社会人になってからも悩んでたところです。元々言語化が苦手で、面接とかそういうのが得意な方ではなくて。社会に出ていろんな人と話をすると言葉に強い方もいるし、解釈は人それぞれでもあるので、自分がしっかり伝えなきゃいけないと感じて。そういう言葉のところと、気持ちの部分がまだ成長できてないというか、そう感じますね。
ーでは成長できたと感じているところは?
袴田:学生の頃や社会人1年目に比べたらコミュニケーションは、人に話しかける、コミュニケーションを取るということは伸びたんじゃないのかなと思います。あとは業務的な話になりますけど、しっかり企画書を作って順序よく物事を進められるようになったというのは感じますね。
ーさらに働くことについて聞かせてもらえたらと思いますが、それでは、はきゃにとって「働く」とは?
袴田:私にとってはそうですね、人のためになることをしたいって思って仕事をしています。やっぱりサッカークラブなので、自分が中学生のときに思い描いた、クラブのスタッフやボランティアさんが選手のため、ファン・サポーターのために働いてるっていう姿を見て、自分も働くっていうことはそういう人のためになることをしたいって思ってやっていたので、そこは大切にしています。
なので商品が出て、ファン・サポーターの方から「この商品は本当にいいよ」とか、「この前あの商品届きました、ありがとうございます」とか、そういうちょっとした言葉をもらえることもすごく嬉しいです。
ーそういう会話がはきゃの原動力にもなっているんですね。
袴田:そうですね。その言葉を聞いてもうちょっと頑張ろうとか、今度はこういうアイテムを作ってみようとか、言葉をもらって動けるというのもありますね。
ー2025年になりました。せっかくなので、仕事以外の抱負も聞かせてください。
袴田:Jリーグの試合をもっと観に行きたいっていうのは毎年思っています。
ー仕事だ!
袴田:いやぁ、本当に好きなので。学生の時はこのクラブの象徴となる選手はこの人みたいに名前を覚えるぐらい好きだったんですけど、それが今はないので。あとは願わくは谷口さん(谷口彰悟選手)が復帰する姿を見届けたい、生で観たいです。もう長年ずっとできていないから。
ー推しが熱いですね。もし、試合を観に行けて谷口選手が10mくらい先にいたら叫んじゃう!?
袴田:いやでも自分恥ずかしくてそういうの行けないタイプで・・。言えても(小さな声で)「頑張ってください」くらいしか。もう緊張しちゃって。
ー恥ずかしがり屋さん!
谷口選手に届くかどうかは分かりませんが・・メッセージを伝えるとしたら?
袴田:戻ってきてまた代表戦のセンターバックで、チームを後ろから支える姿を見たいと思ってます!頑張ってください!と伝えたいです。
ー谷口選手に届きますように!
いよいよインタビューもラストに近づいてきました。
今年、はきゃは入社4年目を迎えようとしていますが、エルフェンというクラブはどんなクラブだと感じていますか。
袴田:このクラブに初めて来たときも思ったんですけど、事務所と練習場、選手がいる活動場所がフロントの人たちと一緒ということはすごく重要なことだなと思います。すれ違って挨拶する関係ですし、何かあればコミュニケーションも取れますし、すごく距離が近くて相談し合えるクラブだなっていうのを感じます。あとはやっぱり選手が優しくて、(プロモーションの活動に)積極性もあって、すごい仲の良いクラブだなって思っていて。私自身がもともとクラブと関わりのある人間ではなかったので最初は不安もありましたけど、気にかけて話しかけてくれる選手がいてすごく有り難かったですし、外部からでも入りやすかったですね。
あなたにとってエルフェンとは
ーそれでは、あなたにとって、エルフェンとは?
袴田:本当にもう、人生の一部かなと思います。ここでいろんな経験をさせてもらってるし、人との付き合いも、コンシェルジュさんとかもすごい良い方と巡り合えてるし、社内の方も相談に乗っていただけるような人と出会えてるし、このクラブに入って仕事や生活ができていることはすごく、まだ23年しか生きていないですけど、よかったなと思っています。
いろんな大変なことももちろん多いし、挫折したこともいっぱいあるんですけど、その中でもやっぱり支えてくれてる人が多いので続けられてるなと思います。
仲間の存在
ー同期入社の、のりちゃん(松本訓子さん:チケット・ファンクラブ・広報担当
)の存在は大きいですか?
袴田:専門学校のときから知っている間柄ですけど、年齢も上なので、教えてもらうというか支えてもらう、何かわからないことがあれば意見をもらえる、一番近い存在です。自分もまだ経験値が浅くて、変な発言じゃないですけど、ちょっと馬鹿っぽい発言もしてるかもしれないですけど、それをうまく直してくれたりもします(笑)。訓ちゃんがいなかったら続けてられていなかったって思うくらい、いろんな相談もしたし本当に有難い存在です。
袴田さんには内緒で、そんな松本さんに、袴田さんの印象を聞きました!
(みなさんご協力ありがとうございました!)
袴田さんの上司、セールスプロモーション部部長、白河さんにも聞きました!
運営・社会連携部部長、竹内さんにも聞きました!
応援レンジャー又吉さんにも聞きました!
袴田さんの唯一の年下、広報担当山本さんにも聞きました!
よくグッズを購入してくれているという浅野菜摘選手にも聞きました!
ー最後に何か伝えたいことはありますか。
袴田:幼少期の話でそういえばなんですが、実は小学生の時にサッカーをやろうと思って、近所の男子サッカークラブに体験に行ったことがありました。
ーえっ、そうだったの!?
袴田:でも女子チームが私の地元はまだあまりなくて、男子に混ざってやることは初心者の私にとってはすごく大変できつくて、3回くらい行って辞めてしまいました。(松本山雅を)応援するようになったというのもあるし、体を動かすことはすごく好きだったので本当はサッカーをやってみたかったんですけど、自分がやれる環境がなかったので、いまのマリ(下部組織のちふれASエルフェン埼玉マリ)の子とかを見てるとすごく良い環境でサッカーをやれていていいなぁといつも思っていて。部活でやったバスケもテニスもすごく楽しかったんですけど、サッカーもやってみたかったなっていう想いはありました。そういう意味でも、女子サッカーの発展というのがこのエルフェンを通じてもっと良くなればいいなとも思っています。
ーそんな実体験があったんだね。私たちにできることはまだまだ沢山ありそうですね。貴重なお話、ありがとうございました!
文・写真・編集:伊藤香菜子
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