捕虜収容所の死/マイケル・ギルバート
第二次世界大戦下、イタリアの第一二七捕虜収容所でもくろまれた大脱走劇。ところが、密かに掘り進められていたトンネル内で、スパイ疑惑の渦中にあった捕虜が落命、紆余曲折をへて、英国陸軍大尉による時ならぬ殺害犯捜しが始まる。新たな密告者の存在までが浮上するなか、果して脱走は成功するのか? 英国ミステリの雄が絶妙の趣向で贈る、スリル横溢の独創的な謎解き小説!
相関図
【感想】
収容所の中と脱獄用トンネルの中に置き去りにされた死体,二重の密室状態の殺人で,設定はすごく魅力的だ。場所はイタリアの設定である。映画「大脱走」が好きな人は,脱出トンネルがどんなものかすぐ想像がつくだろう。脱走劇から,イタリアの山の中の逃亡劇と終盤は移っていっている。舞台がいいだけに,最後の謎解きはあっさりかな。もう少し劇的でもよかったが。だが,「大脱走」も最後は逃げた兵士の行方をさらっと追って終わる形だった。やはり敵を欺いて脱出するまでがいいところになるのだろう。