目くらましの道/ヘニング・マンケル
イースタ署のヴァランダー警部は、夏の休暇を楽しみにしていた。つきあっているバイバと旅行に行くのだ。そんな平和な夏の始まりは、一本の電話でくつがえされた。不審な女性がいるとヴァランダーが呼ばれて行った先の菜の花畑で、少女が焼身自殺。身元も自殺の理由も不明。目の前で少女が燃えるのを見たショックに追い打ちをかけるように、事件発生の通報が。殺されたのは元法務大臣。背中を斧で割られ、頭皮の一部を髪の毛ごと剥ぎ取られていた。これがすべての始まりだった。
CWAゴールドダガー賞受賞の傑作。スウェーデン警察小説の金字塔。
相関図
【感想】
警部ヴァランダーのシリーズ5作目。英国推理作家協会賞(CWA賞)最優秀長編賞。友人が関わった故,いろいろと悩みつつも刑事職に復帰し,事件を追うことになる。スウェーデンの警察機構の変化,新署長との関係など,変わりゆく社会環境も描いている。花畑での少女の焼身自殺,頭皮を剥がれた男の死体と,事件は派手だ。下巻へ
以前の事件で知り合ったラトビアの殺害された刑事の未亡人妻との関係がどうもピンと来ない。ラトビアの刑事とは一緒に捜査をしたものの2週間くらいで,そんなに親しくはないし,妻ともそんなに交流があったわけでもないのだが,なぜこんなにヒロイン扱いになるのか?どうも強引な設定だ(*´ー`)。推理劇としてはそれなりに読ませる。もったいつけて周りに推理を話さず,休暇を待ちぼうけさせた未亡人に言い訳をせず,もやっとした生き方だが,やはり悩みながら少しづつ進んで行く警部の姿に読者は惹かれるのだろう。
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