特捜部Q―アサドの祈り―/ユッシ・エーズラ・オールスン
キプロスの浜辺に、難民とおぼしき老女の遺体が打ち上げられた。新聞で「犠牲者2117」として紹介された彼女の写真を見たアサドは慟哭し、ついに自らの凄絶な過去を特捜部Qのメンバーに打ち明ける。彼女は、彼が生き別れた最愛の家族とつながりを持つ人物だった。一方、Qには謎の男から殺人予告の電話がかかってきた。Qの面々は男が凶行にいたる前にその所在をつきとめられるのか?
コペンハーゲンの特捜部Qでは謎の男からの度重なる殺人予告の電話に、メンバーたちが対応に追われる。一方アサドは、イラクで生き別れた妻子が囚われ、欧州に連れてこられたことを知る。アサドの家族を人質にしていたのはかつての宿敵、ガーリブだった。ガーリブは妻子を囮にアサドをおびき寄せようとしていたのだ。宿敵との闘いの火ぶたがベルリンで切られる!
特捜部Qファン必読のシリーズ第8弾!
【相関図】
【感想】
移民殺害の事件に関連して謎のアラブ人アサドの過去が明かされる話。アサドの家族,刑事サルとの遺恨など,次第に謎が明かされていく。並行して引きこもりのゲームオタクの犯罪が書かれるが,これは何の関係があるのか?サダム・フセインと関連があるとは。前重大犯罪課のラース・ビャアン,イェス・ビャアンとの関係も明らかになってくる。舞台はベルリンと国際的。主人公カールに子供ができたり,イベントは盛りだくさんだ。下巻へ
アサドの宿敵ガーリブとの戦いが書かれる。妻子を人質にされたアサドと移民殺害の事件捜査を続ける主人公カールだが,恋人の妊娠でデンマークに戻るとか,一方の人質救出と爆弾テロの緊迫感とはバランスが釣り合わないように思うが。ただ,デンマークからドイツに再び駆けつけたカールとの携帯での応答場面に繋がり,緊迫感はできている。並行するて引きこもりのゲームオタクの犯罪は大して関係ないが,デンマークでは考えられないことらしく,東の島の興味深いことなので,ぜひ書きたかったんだろう。よく調べて書かれていると思う。