遮断地区/ミネット・ウォルターズ
バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に監禁されて...。
ある不穏な噂と少女の失踪が人々を変えた。封鎖された団地での二千人規模の暴動、監禁、そして殺人。血と暴力に満ちた緊迫の一日を描く、現代英国ミステリの女王の最高傑作。
【相関図】
【感想】
教育程度が低く低所得者が多く住む団地,誘拐事件,引っ越してきた老人と息子が小児性愛者だと疑われたことを基に,分断された場で起こる暴動,監禁,閉鎖空間と設定はおもしろく引き込まれる。が,隔離された医者と老人,息子のやり取りにそれほど進展もなく,警察は暴動で立ち入れないので活劇もなく,動きが少ない。誘拐された少女もなかなか書かれないのでリンクしない。評判は高い小説だが,謎が解かれることに重点もないようで,どうも面白くないなぁ。分断社会を描く,これが社会派ミネット・ウォルターズの小説なのだろう。
いわゆる「推理小説」として読むと期待はずれとなる。
推理手法を使って社会の問題を書く社会派小説,これが最近の英国ミステリーの流れのようです。