#013 シリーズAクローズ!社外取締役から見たElevationSpaceの魅力と将来性|ElevationSpaceの『宇宙、配信中。』
ElevationSpaceの『宇宙、配信中」は、プレスリリースやイベントでは伝えきれないディープな情報を、社内外の様々なメンバーと楽しくお届けするポッドキャスト番組です!
この度、ElevationSpaceではシリーズAラウンドにおいて総額14億円超の資金調達を完了することができました。
シリーズAクローズを記念し、今回は、創業当初からの株主・社外取締役の3人をゲストに、ElevationSpaceの成長の軌跡や将来性などをお話しいただきました。インタビュアーはCFOの河邊です。
ー 今回はシリーズAがクローズしたこのタイミングで、初期からElevationSpaceを支えて下さっている社外取締役3名をお招きして、ElevationSpaceの魅力や今後の課題、ひと山越えた今後の展望について語っていただきたいと思います。
おひとりずつ自己紹介をお願いします。
河合 将文 様
株式会社ジェネシア・ベンチャーズ Partner/Chief Sustainability Officer
ジェネシア・ベンチャーズの河合です。
私は、2022年3月のシードラウンドで出資をさせていただきまして、その時から社外取締役として、経営チームの皆さんとご一緒してきました。
経歴としては、農林中央銀行や日本政策投資銀行といった金融機関で投資業務に携わった後、2017年に日本政策投資銀行が100%出資しているDBJキャピタルに出向して、それ以来ベンチャーキャピタリストとして活動しています。
当時から宇宙分野やロボティクスなどを中心に投資しておりましたので、2021年9月に現在のジェネシア・ベンチャーズに移籍して以降も、弊社の中でディープテック領域を中心に投資を行っています。 本日はどうぞよろしくお願いいたします。
中川 磨 様
東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社 Senior Vice President
東北大学ベンチャーパートナーズ(THVP)の中川です。
私も河合さんと同じタイミング、2022年3月に出資させていただいて、その後2023年から社外取締役をやらせていただいてます。
東北大学ベンチャーパートナーズに入ったのは2021年で、その前は茨城にある常陽銀行でCVCキャピタリストをしていました。 よろしくお願いします。
鈴木 修 様
Chief Human Resource Officer|TOMORROW COMPANY INC. Founder & CEO
鈴木です。よろしくお願いします。
現在は、自身の会社であるTOMORROW COMPANY INC.で、スタートアップ支援やエンジェル投資をしたり、DIMENSIONというベンチャーキャピタルのファンド運営をしています。
ずっと東京ベースで仕事をしてきたんですが、元々宮城県仙台市出身でして、地元貢献したいなと思っていたところElevationSpaceと出会いました。そこから、エンジェル出資をさせていただいたり、ご相談にも乗っていたんですが、社外取締役でぜひというお話もいただいたので、2022年12月から社外取締役をさせていただいてます。
シードラウンドで出資した経緯
ー 早速、過去から少しずつ振り返っていきたいと思うのですが、ElevationSpaceは2022年2月にシードラウンドの資金調達を行っていまして、その際にジェネシアさんと東北大学さんに参画いただきました。
シードランドは、ジェネシアさんリードインベスターという形だったんですが、当時出資に至った経緯や、どのような点を魅力に感じていただいたか教えていただけますか?
河合さん
出資に至った背景ですが、まず、宇宙産業は間違いなく今後ますます成長していく重要分野だというのはありました。
参入障壁の高い市場ではあるものの、日本の研究開発力の蓄積や、宇宙産業を支える様々な周辺分野における強みなど、日本の宇宙スタートアップはグローバルで勝負できる可能性があると感じていました。なので、宇宙分野はすごく魅力的なマーケットだと思って出資したという経緯です。
宇宙産業といっても、多岐にわたる事業セグメントがありますが、その中でも、ElevationSpaceが取り組む「地球低軌道サービス」には注目していたんです。
直面している大きな変化として、2030年の国際宇宙ステーションの退役というイベントがありますが、これをきっかけに民間ステーションの建設が進み、これまで国の機関が担ってきた機能がどんどん民営化されるにあたっては、様々なビジネスチャンスが生まれると思います。
その中で、現状は非常にコストがかかっている宇宙空間へのアクセスをより手軽で身近なものにするサービスや、無人化や省人化でコストを低減できるようなサービスにはニーズが生まれてくると考えていました。
そういう観点でいろんな事業を検討していた時に、ElevationSpaceはまさにこういった課題解決に取り組もうとしていて、他社が簡単には真似できないような唯一無二の技術を持っている、ユニークなポジションを構築できるという点はとても魅力的に感じました。
また、経営チームという点では、若くてビジョナリーな小林代表と、小型人工衛星で多くの実績をお持ちの桒原先生による共同創業という、この組み合わせは非常に面白いなと。
当時小林さんはまだ東北大学の学生さんでしたが、いい意味で若者らしくない、起業家としての独特な空気感がありましたし、「何があっても目的を達成するまで諦めない」という意志の強さみたいなものも感じまして、そのことも出資を決定した大きな要因だったと思います。
中川
いや本当に河合さんすげえなって思いました、あの時。率直に言って。
一同
(笑)
ー そんな中川さんも、THVPとして時を同じく出資いただいてますが、その時はどんな思いだったんでしょうか。
中川
東北大学発スタートアップで、若者投資として支援しないわけにいかんだろうっていうのが一番の理由でしたね。
当時は会社の体制ができているわけでもなかったし、開発や設計は進んでいるにせよ、この先どうなるか分かんないっていうところだったから、ひとまず我々も応援しようっていう感じでした。
ー ありがとうございます。その当時、実は私もまだ入社してない時期だったので、創業者2人と正社員が2人だけという体制の中で皆さんに出資いただいて、そのおかげで開発体制などを作れたわけなので、そのタイミングで入っていただいた投資家の皆さんには頭が上がらない気持ちです。
シードラウンド以降の課題をどのように見ていたか?
ー その9か月後ぐらいに鈴木さんにも出資いただいたんですが、そこまでの過程にも、結構いろいろなことがありまして…特に中川さんからはかなり厳しいお言葉をいただくことも多かったなと思います…。
市況など様々な事情も重なって、ElevationSpaceがうまくいっていない時期もあったと思うんですが、その当時を中川さんはどういうふうに見ていらっしゃいましたか。
中川
さっき河合さんもおっしゃったように、ISSの退役で宇宙実験ニーズが高まるっていうのは火を見るより明らかで、しかもそれを、小型衛星で、無人で宇宙実験をやろうっていう会社が当時はそれほどいなかったんで、「これはいけるだろう」と思ってたんですよね。
ただ、始まってみたら全然顧客が見つからないっていう時期が続いて、あれは結構辛かったですよね。
特に、初期はバイオ実験の顧客にフォーカスしていたので、現在のメインストリームであるデバイス・コンポーネントの実証という顧客に切り替えるまでは、相当やきもきしたっていうのが率直なところです。
ー 我々としても、アメリカの競合がその方向性だったこともあって、創薬やライフサイエンス系にフォーカスしてたんですが、日本の産業構造や市場性を見極めるのに時間がかかったなと思っています。
中川
市場構造の違いっていうよりも、ElevationSpaceが顧客のペインにたどり着いてないんじゃないかっていう疑いを持ってたんですよね。ニーズ有り無しの判断に至る前段階として、お客さんと突っ込んだ話し合いができてないんじゃないかと。
だから、ElevationSpaceが一番変わった点と言われたら、メンバーがだんだん増えて、宮丸さん(COO)、藤田さん(CTO)、大川さん(BizDev)が入ったあたりから、顧客との会話の解像度が高まってきて、話もかなり具体的になってきて…そこが本当に変わったなと思います。
ー 鈴木さんに参画いただいた時期というのは、ライフサイエンスからデバイス・コンポーネントの実証にちょうどピボットした頃だったんですが、鈴木さんは当時ElevationSpaceをどのようにご覧になっていましたか。
鈴木
私としては、今話に出ていたような事業の方向性のようなところに関しては、これから定めにいく、固めるべきステージではないのかなと思っていました。
一方で、私はChief Human Resource Officerとして、組織面のご支援もしているので、ディープテックの中でも「宇宙」という足が長い戦い方をしなくてはならない会社の組織づくりについては、難易度高いぞと思っていました。これは僕がヘルプしなきゃならないみたいな。恐縮な言い方なんですが。
中川
鈴木さんは奇特だなぁ。
一同
(笑)
鈴木
特に経営チームについては、経験豊富な人がCxO陣に集まってるじゃないですか。
このマーケットは、経験豊富じゃないとリードできないし、そういう意味ではかなりいいメンバーがそろってるんですが、一方でバックグラウンドが全員まったく違うので、シンクロするのはとても難しいだろうなと思ってたんです。
また、皆さん大人で自己解釈が早いし、自己解釈のレベルも高いんですよね。ただ、自己解釈レベルが高いと、言語化して共通認識を持つということをしなくなるんですよね。
議論と対話を重ねないと、シンクロせずにみんな自走しちゃう。
自走するのはいいんだけど、方向性が合ってるかとか、共通認識を持てているか…もっと議論したほうがいいよ、という視点で、CxOの経営課題議論のファシリテーターなどをさせていただいています。
ー 僕たちは…上手くやれていますか…?(笑)
一同
(笑)
鈴木
そうね、まぁまぁかな。(笑)
ただ、今回の資金調達、やっぱりなかなか大変だったじゃないですか。
このプロセスを通して、経営チームとして気付きがたくさんあったんじゃないかなと思うんです。この経験を通して、ElevationSpaceのリーダーシップチームは相当成長できたんじゃないかなって思っています。
中川
確かに、成長はすごかった。
シリーズA達成の要因
ー 河合さんにもぜひお聞きしたいのですが、シリーズAをなぜ達成できたか、その要因についてどのように思われますか。
河合
いろいろ考えられるとは思うんですが、改めて振り返ってみると、ここに至るまでの道のりでは、経営チーム一同、本当に多くの苦労があったと思います。
特にCFOとして資金調達を取りまとめてこられた河邊さんのプレッシャーは、半端ではなかったんじゃないかなと思っていますし、私自身もシード投資をしてからの2年間、常にマインドシェアの大部分をElevationSpaceに取られていたなという感覚があります。
ここのところ、宇宙スタートアップの上場が続いてたり、1兆円の宇宙戦略基金の話なんかもあって、外部環境としては追い風になっているなと思うんですが、創業当初にウクライナ戦争が起きたり、半導体の供給不足などもあって、部品や資材の調達という点ではかなり逆風でした。
また、株式市場の低迷で資金調達環境も冷え込んで、宇宙ベンチャーに対する投資家の見方も、かつてのような「夢に賭けてもらう」みたいな、宇宙バブルの雰囲気は完全になくなっていて、売上とか利益の蓋然性を中心に、事業性をかなりシビアに評価される環境に変わりました。
そもそも宇宙分野に大きな投資をできるプレイヤーが限られている中で、説得力のあるストーリーを作っていく必要がありましたので、このあたりは経営チームともかなり議論を重ねてきましたよね。
加えて、先ほど中川さんからもお話があった、宇宙空間での技術実証とか実験のニーズに対する顧客の獲得、潜在顧客層の獲得というのが進んだっていうところは、シリーズAの達成要因として非常に大きかったと思います。
あとは、JAXAと進めている共創プログラムであるJSPARCや、事業構想を実現するための着実な技術開発についても、投資家の皆様から評価していただけたポイントなのかなと思っていますが、最終的には最後まで諦めずに丁寧な調整・コミュニケーションを積み重ねてこられた河邊さんの存在がなければ、今回の資金調達を成功させるのは難しかったと思いますので、改めて河邊さんには感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
ー こちらこそここまで伴走いただいて、時にはお尻を叩いていただきながら、河合さんとやってきた2年だったなと思います。
今年から、大気圏再突入や地球低軌道の領域に対して政府の支援が強まっていくと思っていますので、このタイミングでシリーズAが成就したのは必然の流れでもあったと思います。
ElevationSpaceの将来展望
ー ここから、組織も拡大して我々としても事業を更に拡大していくフェーズに入っていきます。その観点で、お三方からElevationSpaceの将来展望をお聞かせいただけますでしょうか。
河合
ここから先、様々な予想外の難局も経験することになるだろうとは思いますが、今回ElevationSpaceとして初めて、10億円を超える大型調達を理想的な形で達成できたということで、技術面・組織面の強化も加速されるでしょうし、今後の飛躍に向けて大きな前進となると思っていますので、これからのElevationSpaceの展開は目が離せないですよ!ということを視聴者の皆様にはお伝えしたいと思います。
手軽に宇宙環境を利用できるELS-Rというサービスの魅力はもちろんですが、ElevationSpaceが獲得しようとしている「大気圏再突入技術」というのは非常に価値の高い技術で、先般政府から公表された日本の宇宙技術ロードマップである宇宙技術戦略の中でも、複数箇所で言及されています。
政策的にも優先度の高い、意義のある技術開発を行っているという点で、ElevationSpaceが事業的に成功することは当社だけの問題ではなくて、日本の宇宙産業全体にとっても大きな貢献につながると信じていますので、将来の日本の宇宙産業の裾野を広げていく存在として、よりその存在感を高めていってほしいなと思っています。
中川
河合さん全部しゃべっちゃったから、別にっていうような感じもしないでもないんだけど…(笑)
国内での官需獲得っていうのは当然目玉にしていかなきゃいけないんだけど、宇宙スタートアップは、国内外問わず、グローバルにお客さんを取りに行くのがメインシナリオだと思うんで、ここから先は、海外での展開をどれだけ本格的に取れるかっていうのが重要ですよね。
ハイブリッドスラスタをベースにした回収サービスって、少なくとも自前のスラスタでやってるところはElevationSpace以外にないので、ここがポイントになって、もっと広がっていってくれればと思っています。
鈴木
改めてですが、僕が支援している組織作りの観点では、長期的なグローバルチャレンジという視点と、すぐに訪れるであろうシリーズBという短期的な目標に向かっても、リーダーシップチームのアップデートが必要になると思います。
CxOチームがより対話を重ねて、小林君をトップとして、CxO陣が武将として、ワンチームを組んで、次の資金調達も、その先のグローバルチャレンジも成功させていってほしいなと思っています。
ー 我々も、グローバルでも競争力のある技術を磨いているという自負もありますので、引き続き、大きな目標に向かって進んでいきたいと思います。
本日はありがとうございました。
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