#011 異業種から衛星・宇宙業界に転職した社員のご紹介|ElevationSpaceの『宇宙、配信中。』
ElevationSpaceの『宇宙、配信中」は、プレスリリースやイベントでは伝えきれないディープな情報を、社内外の様々なメンバーと楽しくお届けするポッドキャスト番組です!
ElevationSpaceでは、現在エンジニアを積極採用中!
今回は、異業種から宇宙業界(人工衛星業界)に転職した3人のエンジニアに、転職に至った背景や業界による仕事の進め方の違いなど、本音トークしていただきました。
インタビュアーはエンジニアの米津です。
ー まずは簡単に自己紹介をお願いします。
西川
こんにちは、西川と申します。エンジニアリング部門で熱設計に関わるお仕事をしております。どうぞ本日はよろしくお願いします。
木野
データハンドリングシステムを担当しております木野と申します。本日はよろしくお願いします。
喜田
私は、宇宙は初めてではないのですが「衛星業界が初めて」ということで呼ばれました。推進系を担当しております喜田と言います。よろしくお願いします。
Youはどうして宇宙業界へ?
ー では早速、皆さんが宇宙業界や衛星製造の分野に他業界から飛び込んできたきっかけを教えてください。
木野
私は、ElevationSpaceで5社目なんですが、それ以前は医療機器の開発や水中ドローンの開発などを行っていました。普段の生活で目に見えないところを見ることに好奇心があったので、そういう流れで宇宙開発にも自然に興味が湧き、やってみたいと思ったのがきっかけです。
喜田
私は、元々ロケットエンジンの試験を行うような仕事をしていました。
ロケットエンジンが好きなんですが、 「人工衛星」と「ロケット」の関係を考えた時に、人工衛星はロケットの「お客さん」になることが多いんですよね。なので、良いロケットエンジンを作るためには、そのお客さんである人工衛星業界がどういうものを求めているのか知りたいと思って、衛星業界に飛び込みました。
西川
NEW FACE回に出た後にちょっと振り返ってみたんですが、仕事として「宇宙」に興味を持ち始めたのは、前職の研修課題として見たSpaceXのドキュメンタリー映画がきっかけだったかもしれません。
その映画は、いかにSpaceXが困難な課題を乗り越えてきたかというような、なかなか感動する内容でして、それを見て「宇宙って仕事として結構面白いかも?」と思ったのは、ひとつのきっかけでした。
元々チャレンジングなことに挑むのが好きな性格だったというのもあったと思います。
宇宙業界特有な仕事の進め方はある?
ー 他業界から飛び込んできたということで、実際の仕事の進め方などで戸惑ったことや解決方法などあれば教えてください。
喜田
異業種との違いではないかもしれないんですが、我々はスタートアップということもあって、かなりスピード感が求められる業界なのかなとは思います。
ー 宇宙開発というと結構時間をかけて開発していくイメージがあると思うんですが、同じ宇宙開発でもスタートアップというのはスピード感を持って仕事をしているということでしょうか。どういう点でスピード感を感じますか?
喜田
私は主に開発における試験を担当しているんですが、試験と試験の間のスパンが短いなっていうのは感じます。
今週ある試験をやっていたら、来週にはもう別の試験があるとか…(笑)
従来方式の宇宙開発だったら、1つの大きい試験が終わったら、その次は大体半年後とか、そういうスケジュール感だと思うので、そういう部分ではすごい早いですよね。
ー リスクがあるようなスケジュールにも感じますが、そういったところもチャレンジしながら進めていっているということですよね。
一同
(笑)
ー 西川さんはいかがですか?
西川
入社して驚いたことはいくつもあったんですが、その中の1つは、物の値段の高さ、部品の値段の高さです。
元々製造業出身なので、汎用的な機器やたくさん消費される部品は多く見てきたんですが、宇宙の装置として適合するような部品や装置はこんなにも高いのかと…非常に驚きました。
また、そういう高いものを買うとき、一般的な会社だと承認手続きにものすごく時間がかかったりすると思うんですが、ElevationSpaceはそこをさくっと承認して物を買いに行くという姿にまた改めて驚きました(笑)
ー 木野さんはどうでしょうか。
木野
私は元々ソフトウェアエンジニアなんですが、この会社では、搭載するコンポーネントやペイロードなど、ハンドリングする機器の基本設計から担当しており、それはこれまでの業界では経験がないことでした。
電源の仕様だったり、どういったセンサーを使って、どういうインターフェースで接続するか、あとはサイズをどれぐらいにするのかなど……
これまでの会社では、ソフトウェアはソフトウェア、電気設計はエレキエンジニアがやるといった棲み分けがされていたんです。
ElevationSpaceだと、1人1コンポーネント、全部面倒を見るというやり方で、戸惑いもありましたが、周りのエンジニアのサポートも受けながら進めることができ、いい経験になりました。
ー 元々ソフトウェアの高い専門性を持った状態で入社し、その後、色々な分野まですぐ適応していっているところには「プロフェッショナル」を感じます。
入社直後に連れていかれた熱真空試験
ー 今日は、専門分野の異なるエンジニアにお集まりいただいていますので、もう少し技術の話を深掘りしたいと思います。
西川さんは入社してすぐに熱真空試験に連れていかれて(笑)、気付けば衛星の熱と言えば西川さんっていうイメージが社内でも定着しています。
宇宙の熱環境というのはかなり特徴的だと思いますが、これまでの職種と比べて宇宙ならではの設計や開発の魅力、難しさなどはありますか?。
西川
入社してすぐに熱真空試験に「連れていっていただいた」ということで(笑)、 熱設計に関して最初に私が感じた大きな違いは、やはり「真空下である」ということだと思います。
熱真空試験を実際に目で見ることができたので感じたということもありますが、過去、製造業で熱に関わる制御を行ってきた中では、ほとんどの場合、エアーや水を使った伝熱制御がメインでした。
それが通じない世界でいかに熱をコントロールするのか、宇宙機というのは難しいことをやっているなと思いましたし、その中でとてもよく考えられた工夫が存在していて、それを組み合わせてシステムを成立させることに、今までにない面白さを感じています。
ー 真空環境下で熱をどうやって伝えるのか、素人には全然想像できないんですが、自身の元々の専門性があれば、宇宙環境向けの設計や開発にも適応できるものなんでしょうか。
西川
それはまさに私自身が今挑んでいる課題ではあるんですが、基本の現象としては全く同じで、熱伝導と輻射伝熱、地上では対流熱伝達という3つの形態があるということは変わりません。それらをいかにコントロールするか、考え方を切り替えていく感じで、これが難しい点ではあるんですが、面白い点でもあると捉え直しています。
打ち上げ後の修正ができない宇宙機のソフトウェア開発
ー 木野さんはあらゆる場所(水中、体内)で使われるソフトウェアを開発してきたと思いますが、 宇宙環境だと開発後にソフトウェアを修正できないとか、ElevationSpaceに至っては再突入制御をしないといけないなど、特有の技術が必要になると思います。
木野
おっしゃる通り、宇宙環境ではソフトウェアの修正ができないので、特に信頼性が重要になってきます。
そのため、CPUとかセンサーで冗長系を組んで、誤りがないようにソフトウェアで制御するという点は、今までの開発では経験がなく、面白い点だと思います。
ー これまでの設計手法や考え方を変えるのに抵抗とかはありましたか。
木野
考え方をシフトすることに対する抵抗は特になくて、 今まで東北大学さんでやられていた設計をいかにうまく転用するか、あるいはそれを修正して設計に落としこむかということが重要だと思っています。
ー ありがとうございます。東北大学の知財なども生かしながら、自身の経験をうまく適応させていらっしゃるということですね。
ひとつの試験が数日~数十日に及ぶことも
ー 喜田さんは、推進系の開発に携わりながら、 ElevationSpaceのあらゆる試験を担っていらっしゃいます。これまでの経歴ではロケット関連の試験を中心に担当されていたと思いますが、衛星特有の試験の難しさなどはありますか?
喜田
西川さんが連れていかれていた熱真空試験に私も参加してたんですが、 熱真空試験は衛星ならではの試験だったなと印象に残っています。
数日間に及ぶ長い試験だったので大変でしたが、エンジンの燃焼試験とは違った面白さがありました。
ー 推進系の燃焼試験は、短い時間で必要な項目をいくつも試験して、成果を評価していくという流れで、それはそれで大変だと思うのですが、衛星の試験は実際に宇宙で運用する期間が長いこともあって、試験も長期間行うことが多いですよね。長距離走というイメージがあります。
喜田
分かりやすい表現ですね!
燃焼試験は、火をつけて数百秒とか数分とか、短い試験だともっと短いんですが、この間の熱真空試験だと10日間とかかかっています。
熱真空試験は、チャンバーと呼ばれる大きい容器を真空にして行うんですが、真空を作るのに時間がかかることから、一度ふたを閉めて真空引きを開始すると、ちょっとトラブルが起きたからやり直すというのは難しいということもあって、そのあたりには難しさはありました。
宇宙業界への転職を考えている方へのメッセージ
ー 最後に、宇宙外の業種から宇宙業界に飛び込もうか迷われているリスナーの皆さんに、一言ずつお願いします!
西川
異業種へ転職することは心理的なハードルがあるかもしれませんが、そこは本当に大丈夫です!めくるめく宇宙開発に興味を持っていただける方がいらっしゃいましたら、気軽に応募してもらえると本当に嬉しいなと思います。ぜひ一緒に頑張りましょう。よろしくお願いします。
木野
宇宙に限らず、ベンチャー企業は面白い技術とか、斬新な製品を作っています。
特に、今ElevationSpaceにジョインすれば、チャレンジングでやりがいのある設計・開発に早いステージから携わることができますので、気になった方はまずはカジュアル面接から受けてみることをおすすめします。
喜田
募集要項にも宇宙独特の用語などがあり、「これは聞いたことがないぞ?」という言葉が結構あるかもしれませんが、私自身、100%合致して応募したわけでもなかったので、「ちょっとずれてるかもしれない」と思う方でも、興味を持っていただけたらぜひ応募していただけたらなと思います。
ー 西川さん、木野さん、喜田さん、本日はありがとうございました。
「宇宙開発はハードルが高そう」「自分にできるのか不安」と考えている方もいらっしゃると思いますが、今日のゲストの3人のように、 自身の専門性と宇宙や事業への興味・熱意があれば、すぐに環境に適応し活躍できると思います。ぜひ、様々な業界で活躍している皆様からのご応募をお待ちしております!
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