
#018 これを聞けばElevationSpaceの2024年が分かる!|ゲストはCEO・小林さん
ElevationSpaceの『宇宙、配信中」は、プレスリリースやイベントでは伝えきれないディープな情報を、社内外の様々なメンバーと楽しくお届けするポッドキャスト番組です!
今回は、CEO・小林さんとともに、ElevationSpaceの2024年を振り返っていきます。
ー 早いもので2024年が終わろうとしています!!
そこで今回は、ElevationSpace的にも激動の1年だったと思われる2024年の様々なトピックを、CEOの小林さんと振り返っていきます。
ところで小林さんは、最近どんなふうにお過ごしですか?
小林
プライベートでは、カメラを買いまして、元々建築が好きなので建物を撮ったり、街や人の写真を撮ったりしています。先日会社で芋煮会をやったんですが、その時はずっと写真係でした。
🍲芋煮会とは
芋煮会とは、東北地方で秋に開催される季節行事の1つで、里芋を使った郷土料理である芋煮を囲んで楽しむイベントです。河原やグラウンド、公園の広場などで行われ、家族や友人、職場の仲間などと一緒に芋煮をつくったり、食べたり、交流したりします。
仕事の面では、ここ最近特に、海外の展示会や国際会議に積極的に参加しています。先週はオーストラリア、来週はUAE…という感じで、ずっと出張してますね。
ー 海外の国際会議では、どういった機関の方とお話しすることが多いんでしょうか?
小林
イベントにもよりますが、宇宙ステーション関係者の方々とお話をすることが多いです。
商業宇宙ステーションを計画している民間企業や、その宇宙ステーションで使われる実験装置を作っているような企業とか…もちろん、宇宙を利用して実証・実験をしたいという顧客になりうる企業とも会話しています。
加えて、宇宙利用を推進する活動を行っているような政府系の機関もありますので、そういった団体の方とお話しすることが多いです。
👇国際会議「ISS R&D Conference」レポートの回もぜひお聞きください。
試験てんこもりだったエンジニアチームの1年
ー 今年は何はともあれ、試験関係のニュースが多数あった1年でした。
外部にお知らせしたものだけでも…
1月 回収カプセルのサイドパネル展開試験
3月 ハイブリッドスラスタ燃焼試験
4月 回収カプセルの着水衝撃試験
6月 回収カプセルの分離衝撃試験
9月 回収カプセルの高空落下試験
12月 システム熱真空試験
小林さんとして印象に残っている試験はありますか?
小林
個別の試験についてではないんですが、この1年、自分でも改めて感動したのは…
ElevationSpace、本当に人工衛星を作ってるんだな、という…(笑)
これまでは、設計や要素技術の試験が中心だったので、いわゆる衛星の形にはまだなっていなかったんですが、まさにこの1年で、地上で試験を行うモデルを組み立てて、要素技術から1歩進んだ、衛星全体の環境試験をしているところです。
様々な事情で、衛星そのものを皆さんにお見せできないのが残念なんですが、本当にすごくかっこいいなと思いますし、それを作っているエンジニアチームを心から誇りに思っています。
その上で、会社としてすごく重要だった試験のひとつが、ハイブリッドスラスタの燃焼試験だったと思います。
ElevationSpaceが作っている「ELS-R」のような、地球に戻ってくる衛星において、エンジンの技術は非常に重要ですし、海外の競合企業などはこうしたエンジンを外部から買っている企業がほとんどです。
そんななかで、エンジンを自分たちで作るというのは、非常に大きなアドバンテージになると思っています。
また、「エンジンを作る」と簡単に言いますが、これは本当に難しいことで、ひとえにエンジニアのハードワークの賜物です。
3月の燃焼試験で、宇宙から地球に戻ってくるための推力を実現できた、そのパフォーマンスを持っていることを確認できた、というのは、その後の資金調達にも大きくつながったと感じています。
ー その他の試験についても言えることですが、共同研究先や様々なサポートして下さっている皆様のおかげでもありますので、この場を借りてお礼申し上げます。
他に印象に残っている試験はありますか?
小林
会社の中で規模として最も大きかった試験として、秋に行った高空落下試験も印象深いです。
ヘリコプターから再突入カプセルを落として、海上に着水させて、それを回収するという、その一連のシーケンスを確認する試験でした。
これも、もちろん1社だけで実現できるものではなくて、この試験は福島県南相馬市の沖合で実施させていただいたんですが、漁協の皆さんや、南相馬市の協力があって実現できました。
ElevationSpaceのメンバーも、かなり大人数が関わっていて、私自身が現地に行けなかったのは心残りなんですが、それくらい大きな規模の試験を無事に安全に終えることができたというのは、会社として非常に大きな学びがありました。
また、高空落下試験については、すべてが完全にうまくいったわけではなくて、いろんな課題というのも見つかっています。
ただ、そういった課題を、宇宙に行く前に見つけるということが重要ですので、ひとつひとつの課題に対してどのように対策していくのかを、議論して開発にフィードバックしているところです。
実用化開発補助金採択を受けての福島での動き
ー 前回の宇宙配信中でも少し触れましたが、福島での動きも活発でした。
6月に「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」に採択いただきまして、浜通り地域を起点として宇宙産業バリューチェーンを構築しよう!そのために南相馬市に開発拠点を設置したい!地元企業との連携を加速したい!ということを発表していました。こちらの進捗はいかがでしょうか?
小林
ありがたいことに実用化補助金に採択いただき、この資金をベースに、今、南相馬市内に衛星の組み立てや試験を行えるような拠点を開発しています。2025年の前半には、開発拠点のベースの状態が完成する予定です。
で、工場ができるとそこで働く人や環境の整備をしていく必要がありますので、2024年の11月から、すでに福島県での現地雇用を開始していて、2名の方に入社いただきました。
福島スペースカンファレンスも大盛況で、私も委員会側で運営・企画を行っていて、ElevationSpaceからはCTOの藤田、共同創業者の桒原先生も登壇しました。昨年が第1回で、その時もすでに活況だったんですが、たった1年でその盛り上がりがさらに加速していました。
日比谷宇宙会・名古屋宇宙会をはじめとしたコミュニティが拡大
ー 今年は「名古屋宇宙会」を発足させたり、昨年から始めていた「日比谷宇宙会」がテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で取材いただいたりと、ElevationSpaceが主体となって形成しているコミュニティが一気に広がった印象がありました。
小林
おっしゃるとおりで、コミュニティの拡大に伴って、毎回のイベントには、大体100名近くが参加して下さっています。
とある関係者の方で、宇宙産業のエコシステム作りに中心的に関わっている方に言われた言葉なんですが、「ElevationSpaceが主催するイベントには、他の宇宙系コミュニティに集まっている人とは、全然違う人が来ている」と言っていただいたことがあります。
この点については、本当に営業チームが頑張っていて、全然異なる領域の展示会などにも足を運んで、ネットワークを作って、地道に対面で会って話をして、宇宙領域のコミュニティにお誘いするということをやってきた成果です。
また、コミュニティ事業以外にも、ビジネス面ではあらゆることを準備していた1年でした。まだ表に出せていないニュースや、やっていきたいことがたくさんあって、今年も…まだリリースできるんじゃないかなと思ってるんですけど…(PR・久保さんにプレッシャーをかける)
ー (笑)
相手企業様との関係や時期の都合などで、なかなかニュース化できないお話も多いと思いますが、ビジネス面での新しい発表、楽しみにしています。
シリーズAラウンドでの14億円超資金調達を振り返る
ー そしてなんといっても、2024年の前半は全社資金調達一色という感じで、小林さんはじめ、経営陣の皆様はお疲れ様でした。
7月に、シリーズAラウンドで14億円超の資金調達をさせていただき、累計調達額が21億円になったというプレスリリースをさせていただきました。
小林
この資金調達は、会社にとって大きなマイルストーンのひとつであり、フェーズが大きく変わった調達だったと思っています。
それまでのシードラウンドであれば、夢とかポテンシャルに賭けて、応援の気持ちで入ってくれる投資家が多いんですが、シリーズA、それも10億円を超えるような規模になると、投資家の皆さんもお金を預かってビジネスをしていますので、単純に夢だけで投資してもらうことはできなくて、事業性や将来性、実現可能性を厳しく見られるようになります。
本当はシリーズAをもっと早く終えたかったというのが正直なところでして、思ったよりも時間がかかってしまったんですが、それでも、創業してから4年くらいのうちに約20億円を集められたというのは、社員のみんなの頑張りでもあり、周りの人からの応援・期待があってこそだったと思います。
ー 今回の資金調達はなぜ難しかったんでしょうか?
小林
宇宙ビジネスは非常にお金がかかります。
ElevationSpaceのようなビジネスモデルで、今後数年間であとどのくらいの資金が必要なのかという話になるわけですが、その残りの資金をきちんと集められる見込みがないと、どの投資家も投資してくれないんですよね。
「10億円なら自分たちが投資できるから投資しよう」という判断にはならなくて、この会社は、その後の数十億円というところもちゃんと調達しきれるのか?ということを厳しく見られるわけです。
今回のラウンドでは、「そうした先々の調達に向けてもサポートしていく」という意識で出資して下さる投資家の方に入っていただくことができたんですが、そういう座組を作ることが大変だったというのはあるかもしれません。
ただ、ここまでにお話しした、研究開発がちゃんと進んでいっているということや、ビジネス面での動きに加え、「再突入・回収」という領域の独自性の高さ、技術的な特異性・優位性などを、投資家の方々が信じてくれて、結果として14億円超という調達につながったと思います。
ここからは、この資金を使ってどれだけ事業をレバレッジしていけるか。伸ばしていけるか。
宇宙開発はお金がいくらあっても足りない領域ですが、しっかりと事業を伸ばしていく、可能性の種を作って、花開かせるために、頑張っていきたいと思います。
もうすぐ本社を移転します
ー さて、最後に超ホットなトピックですが、オフィスについての重大ニュースがあるんですよね?
小林
はい、オフィスを移転します。
今、社員が30名くらいになってきまして、今使っている場所が手狭になりつつあるので、今後70人、100人という社員数になっていくことを見据え、本社を移転することにしました。
移転先は、仙台駅近くのオフィスビルのワンフロアーでして、2024年12月23日に移転予定です。
このオフィスは執務機能+研究開発を行う場所、ということになり、衛星の大がかりな組み立てなどは、先ほどお話しした福島の拠点で行う想定です。
ただ、電気系コンポーネントの開発であったり、カプセル単体の組み立てなどは、仙台の新オフィスにもクリーンルームを備えますので、そこで行うことができる予定です。
ー 新しいオフィスで新しい年を迎えるということになるわけですね!引っ越し準備頑張ってください!
最後に、2025年をElevationSpaceとして、どんな 1 年にしたいですか?
小林
2025年は、今作っているものが更に形になっていく――それは衛星そのものだけではなくて、ビジネス面も含めて形になっていく 1 年だと思っています。
衛生開発においては、地上試験モデルの更にその先、フライトモデルの開発に移っていきます。まさに、宇宙に打ち上がるものを作っていくというフェーズに入りますし、ビジネス面でも大きなリリースができるんじゃないかなと思っています。
加えて、ElevationSpaceの新たな未来像、この先の事業展開みたいな方向性もお示しできる予定です。
いろんな情報をこまめに出しつつ、新しいElevationSpaceの姿を見せられる1 年にしたいと思いますのでご期待ください。
ー 小林さん、本日はありがとうございました!
🛰ElevationSpaceではエンジニア募集中です🛰
ElevationSpaceでは現在エンジニアの全ポジションで積極採用中です。
オープンになっていないポジションでもこれから募集が始まる可能性がありますので、お気軽にお問い合わせください。
ElevationSpaceでのものづくりに興味がある方、カジュアル面談希望も大歓迎です!