Secret Lairテーマ解説:『Secret Lair 2019』
まずはじめに:この記事はウィザーズ・オブ・ザ・コーストのファンコンテンツ・ポリシーに則り作成されています。
翻訳はガバガバです。誤訳や改善案あればこっそり優しく教えて下さい。
Secret Lairとは?
Secret Lairは、マジック:ザ・ギャザリング(以下MTG)のサブブランドで、いくつかのカードをテーマに合わせて収録している。通年販売されず、公式ホームページから期間限定で購入可能な商品。
・Secret Lairの意義
MTGのカードの大半は、セットの一部として作られ世に出るが、Secret Lairはそのセットに縛られず、既存のカードを普段は実現できない一風変わった予想外の形で世に出そう!という実験と探究の場として立ち上げられたマジックの新たな「サブ・ブランド」で、新たなスタイルのアートが多く収録されている。
『Secret Lair 2019』のについて
『Secret Lair 2019』は、2019年12月から販売された。最初のSecret Lairということで、Secret Lairってこんな感じだよ!Secret Lairだからこそ実現できたイラストのカードでデッキをアップデートしよう!というように感じた。
製品の特徴としては、最初の頃はFoil版かNon-Foil版のどちらかのみしか発売されていなかった。
多くのアーティストがMTGにおける新規アーティストであり、黒枠のカードでは初の起用のアーティストも多く、Secret Lair収録後には一般セットにも起用されることが多く、新規アーティストを紹介する側面もあるように感じる。
Eldraine Wonderland
最初のSecret Lairのカードで《Snow-Covered Plains》のカードの番号は001。すべてAlayna Dannerが描いた。
Alayna Danner
『破滅の刻』からイラストを手掛けており、M19 Standard Showdownや『統率者(2019年版)』『イコリア:巨獣の棲処』では、5色の基本土地を1人で担当しており、他にも多くの土地カードを手掛けている。最近では、《宝石の睡蓮》なども手掛けたのも印象的。Parbloの2019年あなたが知るべき女性アーティスト6選でトップに選ばれ、MTG以外の仕事でも、ダンジョンズ&ドラゴンズの本やドミニオンの拡張セットの表紙など数多くの本や雑誌、製品の表紙を手掛けるすごい人。
『エルドレインの王権』は2019年10月発売。この製品は2019年12月発売なので、ほぼ同時期に販売され、時期的にも日本で雪の降る時期と重なり、雪の降ったエルドレインは趣深かった。『エルドレインの王権』の基本土地や特殊土地とは関連性はないように感じる。
Restless in Peace
Restless in Peaceはドレッジ(発掘を使い積極的に墓地利用するデッキ)がテーマ。Restless in PeaceもRest in Peace(安らかに眠れ)とかけて、落ち着かない眠りを表現している。アートの全てにカラスが登場しているのも印象的。すべてのイラストをDan Mumfordが描いている。
Dan Mumford
ポップカルチャーの表現者として名の知られたアーティストで、アイアンメイデンのアルバム・ジャケットや、スター・ウォーズのポスターなど幅広く活躍。もっと知りたい人はこちらの記事をどうぞ。
Restless in Peaceの3枚のカードが、彼の初のMTGのカードだが、以前にはプロツアーのポスターを手掛けており、最近は『イニストラード:真夜中の狩り』も真っ黒な基本土地のカードも手掛けた。
3枚のカードは繋がっており、横に並べるとパノラマ・アートに!カラスを中心として生と死の状態が対象的に描かれている用に感じる。《恐血鬼》だけフレーバーテキストがないのは死人に口なしってことかも知れない。
《ゴルガリの凶漢》には、フレーバーテキストが追加されており、「"死とは何だ?"とカラスに尋ねた。"次の誕生だ"とカラスは答えた。」(訳:くまたろう)となっている。
《壌土からの生命》も同様にフレーバーテキストが追加されており、「"カラスの他に誰もいなくなった時、群れが立ち上がり、全てを支配する"ーSvogthirの失われた予言」(訳:くまたろう)
Svogthirは、ラヴニカ次元のゴルガリ団の創設者であり、god-zombieと呼ばれ、アンデットを率いて戦ったギルドパクトの提案者。現在は消息不明。《ゴルガリの凶漢》も収録されているので、これらのカードの舞台はラヴニカ次元の可能性が高い。
Kaleidoscope Killers
Kaleidoscope Killersは、5色の統率者がテーマ。
Justine Jones
魔法使いとモンスターを描くのが好きな、エターナル・カオス・ネクロマンサー・フリーランスイラストレーター!(Twitterより)。Kaleidoscope Killersの3枚のカードが、彼女がMTGにおける最初に担当したカード。後に『フォーゴトン・レルム探訪』でショーケース枠で複数枚担当。
独特の色合いが印象的で、『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』では表紙も担当している。カードとしてはルールブック風のモノクロで収録。
コンセプトはわかりやすく、人気のフォーマット統率者戦の人気の統率者をSecret Lairで出したよ!!って感じ。人気クリーチャー・タイプドラゴンとスリヴァー!!!そしてカカシ!????
《刈り取りの王》にはフレーバーテキストが入っており、「収穫の時間だ。」(訳:くまたろう)でちょっとかっこいい。
《スリヴァーの首領》にも同様に同様にフレーバーテキストが存在しており、「進化の終焉」(訳:くまたろう)でかっこいい!欲しい!
Bitterblossom Dreams
Bitterblossom DreamsはLena Richardsの作品。
Lena Richards
Lena Richardsは、ウクライナ出身のアーティスト。2014年にアメリカに移住。スラブ文化の聖人像や古文書に触れることで同じような作品を作りたいとアーティストを志す。そのため多くの作品に金箔や古いキリル文字のカリグラフィーが使用されている。
Bitterblossom Dreamsが最初の作品ではなく、2018年のHeroes of the Realmとして製作された従業員向けの特別なカードが最初の作品。その後、『エルドレインの王権』でショーケース版《夜の死神》を担当。Bitterblossom Dreamsは、MTGで3つ目のカード化作品。
紹介文にもあるように、パノラマ作品となっており、原画は一つの写真となっている。《苦花》のカードを中心に左右にフェアリー広がっていくようで本当に美しい。Foil出ると思って見送ったが、出ないと気がついたのでその後買いました。
< explosion sounds >
Mike Uziel
アーティストは、Mike Uziel。このSecret Lairの作品が初のMTGのカード。ゲーム業界で働き、コンセプトアーティスト、キャラクターアーティスト、そしてアートディレクターとして様々な職種で17年間働き、今なお活躍中。"常に学び続ける"と言っており、様々な表現で新しい作品を楽しく作り続けている。いい笑顔!
ということで、テーマはゴブリン!!Bitterblossom Dreamsと同じようにパノラマ仕様となっている。< explosion sounds >となっているように、名前ではなく爆発音が鳴っている。バコーン!
「素早く終わらせ、そして刺すことが必要な任務があったら、"McCoppy"を呼んでください。」(訳:くまたろう)
「"Gunner "は自分の威張っている声で何も聞こえていない。」(訳:くまたろう)
「"The King"は、この土地で最も爆発的な(Kaboomiest)ゴブリン・チームを結成することにしたのです。」(訳:くまたろう)
「"Danger "は子守をすることになっていたので、"Little Angel"が新メンバーになったのです。」(訳:くまたろう)
「ファーストネームは"Danger"。ラストネームも"Danger"」(訳:くまたろう)
1つのSecret Lairに1つのゴブリンの部隊が入っている。ゴブリンと爆発好きな人には是非手に入れて欲しい。
OMG KITTIES!
数多くのアーティストが参加し、皆がそれぞれの表現で猫を描いている。猫詰め合わせのSecret Lair。にゃーーー!
Jakob Eirich
コンセプトアーティストとして様々な作品で活躍。代表的な作品として、SPYROやLeague of Legends、Conan Exilesが挙げられる。後に犬のSecret Lairこと、Every Dog Has Its Dayでは犬も描いた。ワンワン!
「"兵士たち、子猫の隊列!このネズミは私だけでは捕まえられない!"-Wiskers」(訳:くまたろう)Whiskerは猫のひげの意味もある。
《レオニンの戦導者》のイラスト中段右の猫と似ているが背景が少し異なっている。モフモフすると1点回復しそう。
Andrea Radeck
アメリカのイラストレーター。MTGのイラストは勿論のこと、デュエル・マスターズにもイラストを複数枚提供している。可愛い動物の作品が多く、Unstableで1人で8枚も描いたり、マイリトルポニーとのコラボ商品Ponies: The Gallopingで、《Rarity》を描き、このSecretLairで黒枠カードデビュー。Caelum Skyという可愛いデーモンの恐竜が活躍するコミックもWeb連載している。
「誰かが彼のクッションを盗んだ。その犯人を見つけると、ワニの餌にした。」(訳:くまたろう)
怖いカラカルの下で呑気に遊んでいる猫トークン。《威厳あるカラカル》イラストから切り抜かれているが、すこし変化がある。
《ウェザーライトの決闘者、ミリー》が完全に猫になっちゃった!!可愛い!撫でたい!
彼女がTwitterで公開した《黄金牙、タシグル》を猫化したと思われるこのイラストが好きすぎるので、収録してほしい。
他にもMTGのカードをモフモフ化したイラストを沢山公開しているので、彼女のArtStationは必見。
Allison Carl
ペンシルバニア州フィラデルフィア出身の中国系アメリカ人イラストレーター。RISDでイラストレーションを専攻し、学士号を取得。絵を描いていないときは、インディーコミックや漫画を読んだり、ローラースケートをしたり、料理に挑戦したりしている。とのこと(本人HPより)。OMG KITTIES!では《クァーサルの礫投げ》を描いた。
一目見れば彼女の作品とわかるようなイラストになっているのが印象的で、SecretLairだからこそ実現できたと思えるカードになっている。フレーバーテキストは、「どんなに頑張っても、空に浮かぶ赤い点を捉えることはできない。」(訳:くまたろう)きっと空に浮かぶ赤い夕日を捉えようとしている猫のことを描いている。可愛い。
日本の漫画作品やジブリ作品が好きなようで、Twitterではファンアートを沢山公開している。
Erica Williams
アーティスト名HookieDukeとして活躍。14歳のときにセーラームーンに熱中し、そのキャラクターを上手に描く友人と同じように絵を描くのを上手くなりたいと思ったことがモチベーションとなったと語っている。OMG KITTIES!では《世界の咆哮、アラーボ》を描いた。
インタビューで、「嫌いな動物や植物はないし、インスピレーションを受けないものはない。人は死や腐敗を恐れますが、私は決してそうではありません。傷ついたり、死んだりしたものが何であれ、それは物ではなく、生きているものだということを忘れてしまうことがあるのだと思います。そして、それは尊重され、祝福されるべきものなのです。壊れたからと言って、醜いものではありません。意味や価値を失ったわけではないのです。」と語るように、植物と動物の緻密なデザインで忘れ去られたもの、絶滅の危機に瀕したもの、オカルトや伝説に焦点を当て描いた作品が多い。
《世界の咆哮、アラーボ》は猫の化身であり、イラストも動物と植物が緻密に描かれており彼女の作風を十二分に反映しながらも、「僅かな自由な時間は猫と過ごす。」と語っている猫好きの一面も垣間見える。海外の記事では「常に成長し、いつかbadassになりたい。」と語っていてすごく良かった。
Seeing Visions
4枚の《血清の幻視》を4名のアーティストが描いたSecret Lair。そのままデッキに4枚入れても良し!好きなアーティストのカードを4枚入れても良し!《血清の幻視》のカード効果「Draw a card. Scry 2.」も、そのままのカードを引くといういみではなく、カードを描くのDrawとも読めるので、「カードを描いて、未来を占う。」って読めなくもないのも面白い。
構図が、青を基調とし、どのイラストにもポーションが描かれていることから、WotCから4人とも全く同じイラストのオーダー方法を受けてイラストを描いてる可能性がある。
Kristina Collantes
フィリピン出身で、その後カリフォルニア州ロサンゼルスに移住し、イラストレーターとして活躍。The New Yorker、The New York Times、Juxtapoz Magazine、HiFructose Magazineなどの雑誌でも紹介され、PlayStation、Visa、MasterCardなど名だたる企業ともコラボしている別世界の空想アートで人気のアーティスト。
「彼女は飲み干し、久遠の闇の深淵で、古代の眼が開かれた。」(訳:くまたろう)
この《血清の幻視》がMTGにおける最初の作品だが、後の『ストリクスヘイヴン:魔法学院』ミスティカルアーカイブでは5枚もイラストを担当した。
DXTR
ドイツのベルリンを拠点として活動するアーティスト。グラフィティシーンで長い間、揶揄の対象となっていたキャラクターペインターに価値を見出し、同じ志を持つアーティストを集め、アート集団「THE WEIRD」を創設した。
「cosmic secretと何を交換しますか?どんな支払いであっても、本質を見抜くためなら小さな代償です。」(訳:くまたろう)
彼いわく、ポップなシュールレアリズムとでも言えるような作品で、ポップカルチャー的なものをグラフィティ的にミックスした作品が多い。後にアーティファクト土地のSecret Lair「Mirrodinsanity」も描いた。
Lauren YS
ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト。Laurenの作品は、夢、神話、死、コミック、愛、セックス、サイケデリック、アニメ、そして中国とのハーフである彼女のルーツであるアジア系アメリカ人の遺産に影響を受けており、その作品は壁画やファインアートの強固なスタイルに集約されている。壁画を描くことがスピリチュアルな体験になっているとも語っている。父はパイロットで姉はNASAで働いている。
「"なぜ、第三の目で止めるのか"とカップが囁く。"もっと飲んで、全てを開くのだ"」(訳:くまたろう)よく見ると、虎のピアスをしており原画だともう少し色が濃い。
Jamie A. Zuverza
アメリカのオースティンを拠点として活動するアーティスト。オースティンという都市との関連性が深く、音楽狂の街とも呼ばれるオースティンで、バンドを宣伝するポスターアートを多く手掛けた。古いパンク雑誌のエッセンスを含んでおり、シュルレアリスムや70年代後半から80年代のユーモラスな死生観がある作品からインスピレーションを受けていると語る。広告が嫌いで自身もバンドをやっている。
「未来・現在・過去が一瞬にして一つとなる。」(訳:くまたろう)
「ポスターは刹那的であるため、自由な精神でデザインすることができるから好きです。」と語る彼らしいデザインとなっている。Jamie A. Zuverzaも10代の頃はマジック・ザ・ギャザリングに夢中だったらしい。
Bonus cards
各Secret Lairドロップには一定の範囲から選ばれたボーナスカードがランダムに入っている。その中から今回はステンドグラス風のPWを解説。
元々は《灯争大戦》の公式ティザー映像のために発注されたアートで、それが後にカード化された。
灯争大戦に登場する36名のプレインズウォーカー全てがステンドグラス版でSecret Lairのボーナスシートに封入されている。
元々はカード化される予定はなかったようで、公式の記事にも以下の文章があった。(最初のSecret Lairは、2019-12-03発売。)
忘れてはならないのは、《爆発域》のステンドグラス版で、ボーナスシートではあるものの、『Secret Lair: Ultimate Edition 2』のボーナスシートに固定で収録された。
あとがき
読む前よりも、ちょっとでも私と同じようにSecretLairを好きになってくれたら嬉しい。というか最後まで読む人いたんだね。ありがとうございます。