治安の悪化と「おひとりさま」の増加は訪問看護制度、訪問介護制度の前提を揺るがす
最近闇バイトの報道が増えている。
売春もそうだ。
実は地味に犯罪も増えている。(とはいえ、コロナ前の水準に戻った、という言い方もできそうだが)
訪問介護制度も訪問看護制度も、治安が良くあり続けることを前提としている制度だ。
しかしその根本である治安を不安定にさせる要因が多い。
まず、若い人が犯罪を起こす場合、脅威になる可能性が高い。
60歳で犯罪に目覚めても、そこまで凶悪な犯罪を継続的に行うのは難しいし、犯罪者として生き続けるにしても30年くらいなのに対して、20歳で犯罪者を続けた場合、残りの人生が70年くらいはあるからだ。
また、米国で知られた事例として、一度刑務所に行くことは社会生活にとって大きなペナルティだが、4回刑務所にいっている場合、5回目のペナルティはそこまで大きくない(=失う社会的信用が少ない)というのがある。
米国では刑務所で悪い人たちのネットワークに組み込まれて、その後の人生を悪事を働いて生きていく傾向があるみたいだ。
つまり、若い悪い人を犯罪者にしないのが、社会を良くするためには大事、ということだ。
一方で、現代のお金事情は、20代に厳しい。
まず、国民民主党が主張するように、手取りが少ない。
そして、大学進学率は右肩上がりになっている
そのうえ、その現代の大学生は半分くらいが奨学金を借りている。
また、親世代の多くは氷河期世代に含まれることが多い。
厳しい累進課税と、社会保障費の増大は、短時間で沢山お金を稼ぐ手段を減らす。
つまり、たくさん稼いでも沢山天引きされてしまうのだ。
まとめると、大学生の時点で、借金があり、親は豊かでなく、働いてお金を稼ごうにも、高収入の仕事が少なく、あったとしてもかなり天引きされてしまう、というのが現代の若者の状況だ。
こうした状況では、急な支出や予想外の支出への対応能力が下がる。
結果として、うっかり犯罪に踏み込んでしまう可能性も高まる。
さて、ここまでが治安が悪くなる前提条件がそろっていることを説明した。
次に、訪問介護制度について考えてみよう。
訪問看護・介護は人の家に行って、介護サービス、看護サービスを行う仕事だ。
知る限り、結構人の入れ替わりが激しい。
給与は、訪問看護師は良いが、訪問介護士の月給はそこまで高くはない。
そして仕事としては、人の自宅を訪問して、介護者の介護をすることだ。
家族の介護を手伝う場合は、だからと言って問題になることは少ない。
しかし、一人暮らしをしている場合
家にいるのがどんな人で
家の周りがどんな環境で
どのくらいの財産を持っていそうか
という点は推定できてしまう。
つまり、小遣いを稼ぐために名簿作りをする人が生まれてしまう懸念があるのだ。
多分今の時点でそういうことは起きてはいないと思う。
というか、現在介護を要する人の多くは団塊世代ないしそれより上の世代で、子供や配偶者、兄弟など親族がいることが多く、天涯孤独な人は少ない。そして天涯孤独な人でお金をたくさん持っている人はもっと少ない。
しかし、これから氷河期世代が高齢者になるにつれて、親も子供もいない高齢者、かつ親から相続した資産を運用していることで、お金はそこそこに持っている高齢者が増えてくる。
この若年層の窮乏化、高齢者に対する反発、氷河期世代の未婚率の高さと、相続による高齢での富裕化に介護保険制度が組み合わさって、訪問看護、訪問介護の前提とする治安の良さ、モラルの高さが失われてしまうのではないかと懸念する。
これに対処するには、介護施設の大規模化、効率化、そして訪問看護・介護制度の縮小と手取りを増やすこと、そして大学進学率の上昇傾向に歯止めをかける必要があるのではないか。
若い女性は頂き女子をやって、若い男性は強盗する、そんな社会になっていってほしくはない。本当に。