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逆福祉


タイトル画像と似ていたのでつい


恵まれていない人はアクセスできず、恵まれている人だけがアクセスできる救済制度がある。
これを逆福祉と名付けよう。
例えば高校を中退してしまい、大検に合格できない人、あるいは大学に入学し卒業するまでの生活費を賄える見通しのない人にとって、大学無償化は無意味だ。そして無償化とは結局のところ税負担化なのだから、無償化を維持するための増税を通じてその人の負担は増える。

つまり、格差が拡大される。

団塊ジュニア世代以降の独身男性も恐らくそうで、彼らは平均寿命が短い。彼らの平均寿命が67歳だとすれば、60歳で年金を受け取ったとして、受け取れるのは平均してたった7年だ。
また、75歳まで生存する確率も低いので、後期高齢者医療制度による1割負担の医療を受けられる可能性も低い。
一方で、健康保険料や年金はしっかりと支払うことになる。

医学部における地域枠も、その地域で開業している医師の子息が過半を占めた場合は、逆福祉だろう。通常非常に豊かな開業医が、その跡継ぎを育てるために返済不要の奨学金を受け取ることになるからだ。つまり豊かな人が益々豊かになるわけだ。基本的に地域枠の財政はその都道府県から支出される。そして県の歳入は県税、地方交付税、国庫支出金、県債、消費税などに由来する部分が多く、つまり他の人たちの税金からなっている。
これも格差拡大に繋がるだろう。

児童手当も同様の問題を抱えている。
男性の場合は所得の高さと婚姻率は比例する。
そして、特に日本では、子どもの有無は婚姻率と強く相関する。

つまり、所得が少ないと男性は子供が持てないので、児童手当の恩恵を受けることがなく、児童手当の税負担だけが増えることになる。

給食無償化=給食の税負担化も、子供がいなければ利益を受けることができない。

つまり、子どもを持てる豊かな世帯が更に恵まれ、子どもを持てないくらい貧しい人はさらに貧しくなる、という格差拡大の構造を持つ。

それだったらこれらの無償化政策をすべてやめて、単に税負担を減らして各人の労働による手取りを増やすほうが格差縮小につながるように思われる。

格差が拡大して貧しくなっても生活保護があるから良いではないか、という人がいる。
この意見には反対である。生活保護があるからどんどん人をそこに押し込むよりも、生活保護以外の対策を十分とって、それでも自活できない人の助けとして、生活保護制度は存在するべきだと思う。

その理由は以下の通りだ。

僕が知っている高齢かつ生活保護の方がかなり偏っている可能性はあるがしかし、こうした人達は慢性的な不安を抱いているように思われる。
そしてその理由は

・十分な貯金が不可能なこと
→十分な貯金があれば生活保護が打ち切られる

・家族との関係性が希薄になりがちなこと
→家族との関係性が濃厚であれば、扶養義務が発生するため、本人・家族の経済的利益を最大化しようとすれば、疎遠になる合理性が生まれる。

・生活保護が打ち切られる可能性は存在するが、上述の通りそれに備えることが難しいため
年金であれば、資産運用などによって資産を増やしたり、働くことで減っていく貯金を補うことができる。
一方で、生活保護の場合は、その使い方が制限されるし、働けばその分だけ保護費が減額されてしまう。

とはいえこの辺を調整するわけにもいかないのが生活保護制度の難しいところだ。
というか、これほど厳しい縛りがあるからこそ、あまりハッキングされずに済んでいる、と言い換えることができる。

逆福祉とは何かというと、貧しい人からお金を収奪して、豊かな人に注ぎ込む制度のことだ。

逆福祉制度は、福祉の顔をして喧伝され、設計される。

別に逆福祉制度は珍しいものではない。
欧州において、中世の貴族は通常免税されていた。より貧しい階級である農民は税金支払いの義務があるのにも関わらず、だ。
これは恐らく王と貴族の関係性に由来する。現代に比べて移動が大変だった中世において、貴族に言うことを聞かせるためには経済面で妥協を強いられるからだろう。

しかし逆福祉制度は
格差を拡大され
大衆の貧困化とエリート過剰生産を導き
国家財政を窮乏化させる。
つまり国家の不安定化や内戦のリスクを高めてしまうのだ。

だからこそなんとしても、逆福祉制度を見つけて、一つずつ修正するよう促す必要がある。
なぜか?内戦なんて起きない方がみんな幸せだからだ。




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