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『generAIdoscope:ジェネレイドスコープ』について
AIで映画を作って公開しませんか?
と、誘われたのが2024年の2月ごろだったと思います。
映画監督の曽根剛さん、山口ヒロキさんからのご連絡でした。
以前から交流のある方々です。
三人それぞれAIで短編作品を作ってオムニバスで劇場にかけましょう。
という企画です。
そのようなわけで、仕事をするかたわら、短編映画を作っていました。
ほとんどの作業はrunway Gen3 でした。
KlingとLuma AIもすこし使いました。
自分の作品は『Monkeys Odyssey』(モンキーズ・オデッセイ)というタイトルなのですが尺が37分もあります。AIで作った動画としては世界的に見ても長い方なのではないでしょうか。とても心配です。
映画『generAIdoscope:ジェネレイドスコープ』というこの企画。
2025年の1月25日に、雑誌『PEN』の企画するイベントで取り上げてくださることになりました。
それにしても。
AIによる動画の生成について、様々な苦労がありました。
runwayのGen2の頃にこの企画がはじまったわけですが、
ほんとうにまったく思い通りには動きませんでした。
何という無謀な企画なんだと思いました。
『Monkeys Odyssey』にはバイオレンスの場面があるのですが、傷ついた猿を画面に登場させると、runway側が動物虐待の動画を生成していると判断するらしく、警告が表示されてエラーが出ました。詰みました。
死んだ猿を画面に登場させるとエラーが出て生成できないため、プロンプトに「眠っていて動かない猿」とか「時間が停止して動きを止めている猿」などと打ちこんで、死んだふりをさせていました。それでも生成された動画を確認すると、猿がまばたきをしていたり、口もとをもごもごさせたりしてNGになりました。生成のやりなおしです。「次は動かないで! じっとしててよ!」と祈りながら猿に死んだふりをさせて再チャレンジをくりかえしました。AIの時代になっても動物を使った撮影は大変なんだなと思いました。
『Monkeys Odyssey』の中で死んだ猿のカットが登場するのですが、あきらかに眠ったふりだなとわかる表情の猿がまじっています。必見です。
2024年の夏から秋にかけて、そういうことをしていたんですが、映画が公開される時期にはもう時代遅れの映像になっているかもしれませんね。AIによる動画生成の世界は進歩がすさまじいですから。