【ネタバレあり】P5R、3学期を終えて思うこと

※本記事についての注意

この記事にはペルソナ5 ザ・ロイヤルの追加シナリオである3学期の重大なネタバレが含まれています。

これからプレイ予定の方、及び3学期(真エンドルート)を未クリアの方は閲覧をお控えください。


(2022/12/06追記)Switch版クリアに関して、改めて考察のようなものを書きました。よければ一緒にご覧ください。



全体的な感想

一部では「DLCで十分だった」とその内容と価格に関して批判もある今作。

私個人的な感想としては、すごく楽しめました。無印P5をクリアした際、これは必ずP4Gのような完全版を出すつもりでは…?と予感していたため、2周目をプレイする気になれずそのままだったのも大きかったかもしれません。

とは言え、コープランクなどの条件なしにバトンタッチが使用可、ワイヤーアクションの導入とパレスの構造の一部見直し、コープアビリティ「瞬殺」の仕様変更、ジョゼによるメメントスの認知変化で一気にやりやすくなったレベル上げ&金策などなど、戦闘関連のテコ入れはとても大きく、その辺はストレスなく遊べたのがすごくよかったです。

最初からそうしろよ、という声もあるようですが、恐らくフィードバックあっての変更でしょうから仕方がないような気がします。

3学期に入るまでのシナリオは、細かい追加イベントはありつつ無印とほぼ同じ。批判が多い点でもあります。この点は正直覚悟していたところだったので、純粋に2周目を遊んでいるつもりで楽しめました。元からP5が好きでしたし、懐かしさと同時にやっぱりP5が好きだなあと勝手に再確認した感覚です。

ただまあ、不満点が全くないかと言われるとそうでもなく…。そのほとんどはシナリオに関することです。私を含め、多くの人がもっとも期待したであろう追加要素について…。

「深層」とは何だったのか

ロイヤルの売りの一つとして、「ペルソナ5では語られなかった深層がいま明かされる」(公式サイトより)というものがありました。

P5では伏線かと思わせておいて結局触れられずに終わったものがいくつかあって、発売直後のある時期までは「どこかに真エンドがあるのでは?」と思われていたくらいでした。

ロイヤルでついにそれらの謎が明かされるのでは、と期待していたのですが、3学期でもそれらに対する解答はほぼなく、今回も大半が謎のまま終わってしまった印象です。

唯一明らかになったのは、決戦前に何かを言いかけてやめてしまった竜司が言おうとしたことでしょうか。

3学期のシナリオは、なぜこの時期にあの事件が起きたのかについては言及がありますが、それまでの出来事や前作ラスボスとの関連は非常に薄く、真相究明編とは言えません。

追加シナリオではありますが、本当に従来のシナリオに新規で追加したものといった感じ。P5でいまいちすっきりしなかった点を解明してくれると期待していたのですが、そういう訳でもなかったのは残念です。

変わってしまったモチーフ

これは決して不満点ではないのですが、実は3学期はP5(つまり12月まで)とモチーフが全く変わっています。

P3はギリシャ神話、P4は日本の記紀神話をモチーフにした上で、P5のモチーフはグノーシス主義でした。

不完全な偽りの神・ヤルダバオトと、人々に知恵を持つようそそのかし仕向け、偽りの世界から真なる世界へ目を向けさせようとするサタナエル(グノーシス主義的な観点ではサタンは真なる神の使いということになる)、というグノーシス主義的な意味を持たせた構図だったのです。

一方、3学期のモチーフはクトゥルフ神話でした。パレスに登場するシャドウからしてクトゥルフ神話出典のものが多いですし、何より丸喜先生のペルソナ(とされている)アザトースはクトゥルフ神話において「外なる神」の一柱とされる存在です。

このクトゥルフ神話モチーフ、ヤルダバオトvsサタナエルの構図のようにシナリオ的に重大な意味を持たせていないように見受けられるのですが、それはともかく、P5のモチーフと大きく変えてきたことは確かです。

そう、この意味でも12月までのストーリーラインと、3学期のストーリーには連続性がほとんどないのです…。関連は持たせてほしかった…。

新規キャラクター、新規コープ

ロイヤルで追加されたキャラと、新たに追加された(あるいは大幅に変更された)コープ、よい点もあればあまり…なところもあるといった印象でした。

明智のコープはそもそも仕様が大きく変わり、内容もまったく別のものに変更されました。

特に明智が珍しく自分の本音を吐露する場面は仕様変更で一番恩恵のあった場面じゃないでしょうか。3学期でも自分を偽る必要がなくなって、すごく生き生きしてましたもんね、明智。

これは個人的な感想なのですが、芳澤すみれ(かすみ)がいまいち刺さって来ないキャラだったのが意外でした…。

正統派美少女で礼儀正しく健気。抱えるには重たすぎる過去もある。一方で大食いの一面もあってツッコミどころもある。

シナリオ上でもかなり重要な位置を占めているのに、私の中で何故か影が薄いんですよね、彼女。なんでだろう…?

3学期が提示するテーマと残された謎

そんな感じで従来のストーリーラインと関連性が薄い3学期ですが、メッセージ性は強烈でした。

あまりに苦痛の多い現実から人を救うために、(現実を歪めてまで)すべての苦痛を取り払うことは良いことなのか?現実から逃げても良いことなのか?

これ、私は結構センシティブな話だと思ってて、精神的肉体的に蝕まれるほどの状況に置かれれば、そこから逃げても悪いことではないと個人的には考えています。

丸喜先生は心理カウンセラーであり、その設定を踏まえた話だとは思うのですが、状況を考えずに一概に善とも悪とも言えないテーマではありますよね。…ただまあ、丸喜先生は極端だしやりすぎた。

一方で、P5のテーマに一石を投じる問いも投げかけられました。

大衆の認知に直接干渉し、人為的に幸せな世界を作り出すことと、歪んだ欲望を盗み出し「改心」させることの何が違うのか?と。

これはひとまず怪盗団によって否定されますが、実は否定しきれないんじゃないかと思っています。

ある意味、3学期はP5への重いカウンターとなるストーリーだったのかもしれません。

ところで、個人的には3学期のシナリオで一つ腑に落ちないところがあります。

丸喜先生のペルソナ、アザトースは本当にペルソナだったのか?実はペルソナに見せかけた外なる存在だったのではないか?

事件の被害者となって苦しむ恋人の認知を書き換えたのも、芳澤すみれを「自分は芳澤かすみだ」と思い込ませたのも、アザトースの力だったということにはなっています。

でも、怪盗団でも明智でも異世界を介さないと人の認知には干渉できないのに対し、一切異世界への干渉なしで直接他者の認知や記憶を書き換えることが出来る力って異質過ぎませんか?

大衆の認知の書き換えはメメントスを介しているとは言え、個人レベルなら直接干渉できること自体十分ペルソナの域を超えていると思うのですが…。

途中からずっと「実はペルソナじゃなくてペルソナに化けた黒幕がいる」と思ってプレイしてたので、そんなこともなくエンディングを迎えてしまい、どこかもやもやした思いを抱えています…。

エンディング、そしてこれから

率直に言っていいですか?無印のグッドエンドからもっと大胆に変えてほしかった。

ジョーカーがそのままルブランに残ればよかったとかそういう意味ではなく、細かいところは違いながらもほぼ似たような流れだったので、そこをこう…もう少し何とか…とちょっと思ってます。

丸喜生きとったんかワレェ!とかあれはすみれですよね?髪型が…とか、無印に比べてじっくり仲間とお別れできなかったとか色々ありますけどね。

さらに正直なところを言うと、事前に公開されていたPV2が非常に不穏な空気だったので、そういう展開をものすごく期待してなかったと言えばうそになります。「僕らの光」もすごく不穏な歌詞ですし。名曲・星と僕らとからなんであんな曲調に変えた?

色々と憶測を呼んでいるラストカットもそうですが、まとめるとスクランブルに続きます!あるいは次回作に繋げる気です!でしょうか。

そういえば絶対重要な立ち位置だと思っていたジョゼも、調べるとその素性はかなりぼかされているそうで…。なんで?本当にこの後フォローする気ある?正体このまま放置したりしない?

最後に

ここまでこのくだらない長文にお付き合いいただきありがとうございました。クリアした勢いで色んなことを書きなぐっていたらまた長文になってしまいました。

不満点を書いていったら、なんだかロイヤルに対して不満ばかりに見えてしまいますが、本当のところ楽しめましたし、この3週間ほどひたすらP5Rに時間を注ぎ込んだ気がしています。

ちょっと不安なところもありつつ、今はP5Sが楽しみです。シナリオ…ちゃんとしていてほしいですね…。

それでは、ペルソナのファン層の裾野がもっと広がることを期待しつつ、また何かの駄文でお会いできたら光栄です。


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