no.50 実現 ― コラボレート(協働)I
報酬
どのようなパフォーマンス基準(特にKPI 、メジャー、目標値)が存在するのか、
報酬がタスクの結果にどの程度リンクしているか。 (アカンタビリティの評価方法)
メンバーはどのように報酬を受けとるか? (どのくらいの頻度で、どのような方法で、誰が与えるのか)
不正行為は罰せられるか?それとも放置されているのか?
結果の評価、そしてその結果に導いたメンバーの行動は、金銭的な報酬につながる場合が多い。そして、事業の経費としての、一定期間のさまざまなメンバーへの個人別報酬は、プロダクションコストの大きな部分を占めており、管理する必要がある。
そのためには、人件費を固定的に増やすのではなく、可能であれば、メンバーにとって必要限の給与または賃金を維持し (もちろん、これらの人々はこの給与または賃金で生計を支える必要がある)、そして結果に応じて確保された利益を分配するのが、初期のプロダクション段階には望ましい。
理想的には、実行戦略を実行するための各タスクの結果を、留保された利益スケールに従って評価するのがよい。結果として期待した利益が報酬の源泉となるべきなのだ。
関与したプロジェクトメンバーへの報酬分配は、彼らのアカンタビリティの結果を客観的に評価して決定する。プロデューサーは、そのようなパフォーマンス評価のシステムを作成する必要があるのだ。
また、満足のいく成果を上げるためには、この業績評価・報酬制度を随時充実させていくことが重要だ。
ビジネスを次のレベルに発展させるためには、そのための新しいパフォーマンス基準を見つけることが必要な場合もある。
もちろん、業績評価の仕組みを頻繁に変えるのは得策ではない。そんなことをしたらメンバーが困惑してしまう。しかし、一度作った評価制度は必ずしも完璧ではなく、変化のスピードが速く、競争が激しく、環境が厳しい今の時代、プロデューサーは顧客が求める価値の変化に常に気を配る必要がある。
市場データに変化があり、新しい評価システムの必要性を示している場合は、新しいプログラムを計画し、シミュレーションを行う必要がある。そうすれば、現場のチーム メンバーは、プロジェクトのリーダーが、常に彼らのパフォーマンスを見ていることを信じることができる。
また、隠れた貢献者や、目立たない問題を解決するなど、気づかれにくい出来事も報われると信じることができれば、メンバーのコラボレーション意欲が高まる。
そして言うまでもなく、プロデューサーは客観的な基準なしに自分自身に報酬を与えるべきではない。
正当な報酬決定の仕組みは本人にも必要である。
また、「情報」のセクションに記載されているように、望ましくない結果に対する個人の責任について不明確なままにしていることは正しくない。そうなると、プロデューサーは、特定の個人が学び成長するための機会を失うことになる。
プロデューサーは、メンバーの不適切な行動や必要な結果をもたらさなかった行動について、悪意なく正直に問題を指摘し、必要に応じて罰則を与える必要がある。それらはできるだけ早く明確に修正する必要があるのだ。
最後に、
チームの中で強力な達成者として認められる
誇りと情熱をもって働き、顧客/消費者のより良い生活に貢献する、チームに参加する
常に強化される独自の強みを持つチームの一員でいる
自己成長を促進させるために自分自身をやる気にできる
といったような、メンバーにとっての充実感や達成感、喜びはすべて報酬の一形態である。
したがって、リーダーは継続的にメンバーに寄り添い、目的を生き生きと説明する必要があるのだ。そして、たとえ小さくても、リーダーはその成果を評価し、報酬にリンクさせる必要がある。
報酬をより詳細かつ実際に説明するために、もう一度KPI、メジャー、および目標スコアに戻ろう。
理想的には、組織の各メンバーは、与えられたタスクそれぞれに定義されたKPIに対して自分の目標値 (彼/彼女の個人的な GOAL) を設計し、上司とその詳細について合意した後、それを宣言する。組織は、目標を達成するための日々の活動の計画については、各メンバーの自主性にまかせる ―― というやり方がベストだろう。
担当者に自分の課題を考える機会を与え、一定の時間枠内で到達可能な結果を、自分で設定するのが最善である。タスクと戦略全体との関係を明確に理解すれば、到達できる、到達すべき結果を設計できるはずなのである。
その個人的な目標が計画全体にとって満足できるものである場合、プロデューサーはアクションの詳細を計画する権限をそのメンバーに委任できる。
ここで最も重要な点は、プロデューサーと担当者が期待される結果を一緒に確認することであり、明確で測定可能な達成期限があることも重要である。
目標は、メンバーの努力を促すために十分挑戦的であるべきであり、達成の現実的な可能性も十分に信頼できるものでなければならない.
評価に際しては、組織は、各メンバーの担当タスクのKPIとメジャー、そしてその目標の達成度に応じて、組織のミッションへの貢献度を評価する。
報酬は、特定の組織における、そのポストのアカンタビリティに基づく必要があり、実際の報酬は結果によって定義されるのだ。報酬は特定の人物や性格とは直接関係ない。報酬の評価基準はタスク中心であり、難易度、重要度と並行して、与えられたタスクの達成度(成果);KPI、メジャー、目標値によって評価されるのだ。
役職、遂行責任と報酬の対応は、その役職に割り当てられたタスクの重要性と難易度に比例する必要がある。それを実行するために、必要な知識と専門知識の多様性、問題解決の複雑さは、その役職の基礎的な報酬として考慮されるべきである。
六角堂の6つの柱について詳しく説明したが、課題は2つあり、組織を維持・運営する日常業務と、チャレンジャーとして目的の達成を共有し、新たな価値を創造する責任である。この 2 つの責任は慎重に検討する必要があり、これらの責任の重さに応じてポストの基礎的報酬が決められる。
役職に対する補償(報酬)の根拠の決め方を格付けといい、例えば武田薬品工業の実際の格付けについては、かつて人事部担当だった柳下浩一氏が次のように述べている。
格付けしようとしたとき、支店長や工場長、その他の事業所経営者の評価について、今までと考え方を変えなければなりませんでした。本社の人事部の課長は評価が上がり、事業所の課長は下がった。事業部門を統括するスタッフマネージャーは、「会社の顔」としての工場長よりも問題解決のポイント、裁量の余地、影響力などを持っている。
10年前、私が支社の責任者だったときも、本社の権限ははるかに大きいと思っていました。その後の医薬品事業の複雑で多様な展開を考えると、本社はさらに困難になるでしょう。そこで、「本社に行く前に支店長を経験する」というジョブローテーションに変更することにしました。 HAYシステム※のメリットは、実態が明確になることです。
「わかりやすい人事が会社を変える」(柳下浩一著)(52)
※人事の専門家集団(HAY、現CORNFERRY)によるシステム
つまりプロデュースへの挑戦は、組織を維持・運営する日常業務より高く格付けされるということだ。
そして、この仕組みに従って報酬が支払われるのは、その人がその役職の責任を果たしているときだけである。
結果(仕事のパフォーマンス)の分析次第で、担当者の変更が行われる可能性がある。これは、人事部門と組織の幹部の重要な意思決定の1つなのである。
もしそうであれば、新しいポストを担当することになった、以前の担当者の新しい報酬は、 彼/彼女の新しいポストに対応すべきである。 それが前より高くても低くても、その人の新しい報酬ベースになるのだ。
参考文献
52: 「わかりやすい人事が会社を変える」柳下公一著