no.45 実現 ― コラボレート(協働)I
生産的な組織文化を生み出す要素/協働の6つの柱
タスク
文化的要素を除くと、プロデュースの目的が実現できない場合の主な理由は2つある。
ひとつは、仕事の内容を明確に説明し、特定の人に依頼することの難しさである。
そしてもう一つは、求められる仕事を適切に遂行する能力を持った人に出会いにくいという事実。
これらの2つの困難は、プロデューサーが既存の組織を利用して実行戦略を行う必要がある場合に、特に発生する。
主な問題は、プロデューサーがすでに決定されている人材を用いて何か新しいことをプロデュースしなければならないとき、彼/彼女はタスクの前に、まずその人材の能力の範囲内で考える傾向になる、ということである。だがそれは間違っている。
「組織は戦略に従う」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。「戦略は組織に従う」ではなく、その逆であるべきだということなのだ。プロデューサーがさまざまなタスクを割り当てる必要がある組織と人々は、特定の戦略的ニーズに従って選択する必要がある、ということだ。
プロデュースを実現するために必要な作業「タスク」を定義付けるために、プロデューサーは期待される結果、各タスクの具体的な結果を明確にする ― これはタスクに対するアカウンタビリティ (結果責任)といわれる。
もう一度実現の流れを振り返ってみよう。
まず、戦略を策定する際に、選択された管理戦略に基づいてプロデュースの目標が設定される。目的を目指し、これらの目標を達成するために;実行戦略が策定され、必要なアクションがリストアップされる。
実行戦略のほとんどは屋根を支える柱である。マーケティング機能そのものである。
また、戦略の基礎となるすべての仮説の正しさを監視するためのタスクもある。このタスクは、仮説の有効性を確認するためにさまざまな手段を活用し、時にふれそれをチェックするということ。仮説と現実に深刻な乖離がある場合は、戦略を再検討または再策定する必要がある。
いわゆる組織的なタスクもある。組織内の各人は、自分の考えに従ってタスクを実行する傾向があるため、プロデューサーはこれらのさまざまな活動全体のバランスを取り、調整する必要がある。したがって、各人が従うべき特定の規則または手順も必要になる。組織のタスクは、これらの規則と手順を機能的に維持することである。
したがって、タスクは主に次のとおりである。
管理戦略(どこで戦い、どのように勝つか)から導き出される実行戦略を達成するための課題。
マーケティングの実践における課題、およびそのサポート業務。戦略が基づいている仮説の追跡。
組織を維持するために人々が従わなければならない規則、規制、およびレポートラインのフォローアップ・監督。
次に、プロデューサーは各タスクに対して明確なアカウンタビリティを設定する。具体的なアカウンタビリティを説明するために、結果責任は3つの要素で説明される。それらは次のとおりである:
(各タスクの)重要業績(キーパフォーマンス)評価指標
(測定方法)メジャー
(達成期待値)ターゲットスコア
この3つがOSSGAMのMであり、この3つはおのおの強く結びついている。 A(アクション)は、実行戦略とそれを実現するためのタスクと、すでに述べた2種類のタスクである。
それぞれのタスクは、それを担当する各メンバーが日常的に自分でめんどうをみ、遂行する。
そのためプロデューサーはこれらのタスクにつき、まず担当する人とその基準について共有する必要があり、プロデューサーは測定方法についてもコミュニケートする必要がある。
通常ビジネス活動では、これらのタスクを効率的に実行および達成するために、プロデューサーは適切なポスト・ポジション(これらのアクション/タスクが実行および管理される役割、または部署) をデザインする。特定のプロデュースに応じて、関連するタスクを効果的に処理するポジションである。
一連のタスクと キーパフォーマンス評価指標、測定方法、およびターゲットスコアは、そのポスト(ポジション)のアカンタビリティを明確にし、人事部門が各ポストのパフォーマンスを確認するためのツールでもある。
実行戦略を実現するための課題は具体的で明確な場合もあれば、抽象的である場合もあり、担当者にとって柔軟に解釈できることもある。
後者の場合、期待される結果/そのアクションの結果を明確にするために、それらを書き直す必要がある。それが「アカンタビリティ」である。
KPI:キーパフォーマンス評価指標は明確なサインでなければならない。仕事が達成されたかどうか、行動と挑戦の結果が満足できるかどうかを決定する方法で、結果を確認するためのチェック指標である。それは明確なスケールでなければならない。例えば、新商品の発売に関しては、発売予定日や売上、納入店舗数、リピート率などを達成することが期待される成果の指標となる。
測定方法とは、例えば商品の回転率、販売数、納品数、リピート率などをどのように測定するかを、具体的に示すものである。そして、売上であれば、週ごと、月ごと、四半期ごと、納品数であれば、商品別、担当者別、地域別、店舗別など。具体的な測定方法や測定時期、例えば初回購入から何ヶ月間をリピートとみなすかなどがある。
(ちなみに、SWOT分析の仮説の追跡に関しては、事業年に1~2回のチェックで十分である。仮説が正しいか不正確かを確認するために、トレンドや顧客・消費者、あるいは競合に対する会社の相対的な位置付けなどに目を光らせておくことが重要だ。ただし、それほど頻繁でなくても、1年に 1 回か 2 回でよい)
最終ターゲットスコアは、この測定方法が到達すべき特定の数値またはその範囲のことである。アカンタビリティが達成されたかどうかは、このターゲットスコア(目標数値)の達成または未達成によって測定される。そして、この数字は担当者が自分の仕事の完成指標として完全に理解している必要がある。
前述したように、実行戦略における課題には、明確な評価指標を設定しやすいものもあれば、「顧客満足」などの抽象的な表現に過ぎないものもある。
そのような場合でも、期待される結果をできるだけ具体的に表現することが重要だ。対象顧客の満足はどのような結果で判断できるか? 基準は何か? 測定方法は? 人事部門は、成功した結果―と見なされる数字を探求する必要がある。このように、各課題はアカンタビリティとして設計する必要があるのだ。
プロデュースの実現段階で、担当者はKPI、測定方法、ターゲットスコアの内容を明確に理解し、所有する必要がある。
繰り返すが、アカンタビリティは最初に各タスクに割り当てられる。
そして、ポストは、(ひとつでなければ)これらのタスクの束である。
アカンタビリティは、特定の人ではなく、特定のタスク (または役職) のために設計されている。
そして、これは、そのタスクまたはポストに割り当てられた人によって達成されるべきだということになる。
エクササイズ
38週、39週、41週、42週のエクササイズを今一度復習しよう。そして、これらのタスク(実行戦略)を実施・監督するために必要なポストをデザインしよう。
挑戦的な姿勢でタスクを処理する、熟練し選ばれた人々で構成されたGesellschaftであるよう、ポストの数はできるだけ少なくしよう。
次に、各ポストのタスクを精査し、それらのタスクのKPI、測定方法、およびターゲットスコアを定義して、各ポストのアカンタビリティを明確にしよう。このポストに割り当てられる人は、このアカンタビリティを明確に認識する必要がある。