単位法
定義
基準値を定め、その基準値に対する比で表す表現を単位法という。単位は比率のため持たないが、単位法であることを表すために、[pu]、[p.u]、[p.u.]などを使う。また、基準値を1 [p.u.]とする。
単位法は、パーセントユニット法とも呼ばれ、[p.u.]はパーセントユニットから来ている。単位法を表すために、[pu]、[p.u]、[p.u.]の3種類が主に用いられるが、電験2種、1種の2次試験においては、問題文の表記に合わせると良い。単位法を用いることで、電力系統や同期機、変圧器などの解析が楽になる。
具体例
実際に単位法の使い方を見ていく。
例:三相皮相電力の計算
三相皮相電力$${P_{s}}$$は、電圧$${V}$$、電流$${I}$$を用いて
$$
P_{s}=\sqrt{3}\,VI \,[\rm{VA}]\tag{1}
$$
と表される。単位法では、
$$
P_{s}\,[\rm{p.u.}] = V\,[\rm{p.u.}]\,I \,[\rm{p.u.}] \tag{2}
$$
となる。式(1)と式(2)を見比べると、定数である$${\sqrt{3}}$$がなくなっている。これは、単位法が比率で表現しているためである。
例えば式(1)において、電圧を定格電圧$${V=100\, \rm{V}}$$とする。今、$${100 \,\rm{V}}$$から$${200 \,\rm{V}}$$になったことを考える。電流は、計算を楽にするため定格電流$${I=1 \,\rm{A}}$$とする。それぞれ計算すると、
$$
\begin{align}
P_{s\_100} &= \sqrt{3}\times100\times 1 = 100\sqrt{3} \quad [\rm{VA}] \tag{3} \\
P_{s\_200} &= \sqrt{3}\times200\times 1 = 200\sqrt{3} \quad [\rm{VA}] \tag{4}
\end{align}
$$
となる。ここで、式(3)と式(4)を比較する場面を考える。実際に、電力系統で事故が起こった場合に、系統電圧が事故前と比較してどの程度下がるかや、同期発電機の負荷が変化した際に、電圧や電流が定格時のどれくらいになるかなど、ある変化の前後を比較したいことはよくある。式(4)は、定格時の三相皮相電力の何倍かを知りたい時、式(3)、式(4)を用いて、
$$
\frac{P_{s\_200}}{P_{s\_100}} = \frac{200\sqrt{3}}{100\sqrt{3}} = 2 倍 \tag{5}
$$
と求める必要がある。次に、単位法で考えてみる。定格を基準値とすれば、式(3)は次のように表される。
$$
P_{s\_100} = 1 \times 1 =1\quad [\rm{p.u.}] \tag{6}
$$
電圧が$${100 \,\rm{V}}$$から$${200 \,\rm{V}}$$になったとき、定格の2倍であるから、
$$
P_{s\_200} = 2\times 1 =2\quad[\rm{p.u.}] \tag{7}
$$
となる。式(7)をみると、三相皮相電力は定格時の2倍の電力であることがすぐに分かる。
このように単位法は、ある基準値からの比率を知るためには、楽なツールである。また、単位法では定数を無視できるので、慣れれば計算が楽になる。
サイト
https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
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