平成23年度 機械科目 問4 電験3種過去問
問題
考え方
この問題は、等価回路を書いて求めていく。等価回路から、内部誘導起電力と端子電圧の関係式を導くことで、端子電圧を求めれそうである。
また、負荷はリアクタンス成分しか分かっていないが、内部誘導起電力の大きさが分かれば、電流の大きさは分かっているため、インピーダンスを求めることができる。インピーダンスとリアクタンスが分かれば、抵抗成分も求めれる。
求めるべき電圧は、出力端子間電圧なので、1相分の値を$${\sqrt{3}}$$倍することに注意する。
解答例
問題文の1相分の等価回路は、図1のようになる。
1相分の内部誘導起電力の大きさ$${E}$$は、無負荷時の出力端子と中性点間の電圧になるので、問題文より$${E=424.2\,{\rm{V}}}$$となる。
関連記事の同期発電機のベクトル図で解説しているように、電機子抵抗を考慮しない場合の内部誘導起電力と端子電圧の関係は、
$$
E = \sqrt{\left(V+x_{s}I\sin(\theta)\right)^{2}+\left(x_{s}I\cos(\theta)\right)^{2}}\tag{1}
$$
となる。
ここで、負荷の力率$${\cos(\theta)}$$が必要であることが分かる。
内部誘導起電力と負荷に流れる電流が分かっているので、図1の回路のインピーダンス$${Z}$$は、
$$
Z = \frac{424.2}{50}= 8.484\,{\rm{Ω}}\tag{2}
$$
となる。
よって、抵抗$${R}$$は、図2に示すインピーダンスの三角形から考えることができる。
この場合のリアクタンスは、内部誘導起電力からを考えているので、同期リアクタンス$${x_{s}}$$も含まれることに注意する。
図2より、抵抗$${R}$$は、
$$
\begin{align}
R &= \sqrt{Z^{2}-X^{2}}\notag\\
&= \sqrt{8.484^{2}-6^{2}}\notag\\
&= 6\, {\rm{Ω}}\tag{3}
\end{align}
$$
と求まる。よって、負荷の力率$${\cos(\theta)}$$は、
$$
\begin{align}
\cos(\theta) &= \frac{R}{\sqrt{R^{2}+{X_{\rm{L}}}^{2}}}\notag\\
&=\frac{6}{\sqrt{6^{2}+3^{2}}}\notag\\
&=0.894 \tag{4}
\end{align}
$$
となる。
$${\sin(\theta)}$$は、
$$
\begin{align}
\sin(\theta)&=\frac{X}{\sqrt{R^{2}+{X_{\rm{L}}}^{2}}}\notag\\
&=\frac{3}{\sqrt{6^{2}+3^{2}}}\notag\\
&= 0.447\tag{5}
\end{align}
$$
と求まる。
よって、1相分の端子電圧$${V}$$は、式(1)より、
$$
\begin{align}
E^{2} &= \left(V+x_{s}I\sin(\theta)\right)^{2}+\left(x_{s}I\cos(\theta)\right)^{2}\notag\\
\left(V+x_{s}I\sin(\theta)\right) &= \sqrt{E^{2}-\left(x_{s}I\cos(\theta)\right)^{2}} \notag\\
V +3\times 50\times 0.447&= \sqrt{{424.2}^{2}-\left(3\times 50\times 0.894\right)^{2}} \notag\\
V + 67.05 &= 402.45 \notag\\
V &= 335.4 \,{\rm{V}}\tag{6}
\end{align}
$$
と求まる。
求める電圧は、端子間電圧なので、
$$
\sqrt{3}\,V=\sqrt{3}\times 335.4=580.9\,{\rm{V}}\tag{7}
$$
となる。
よって、答えは(4)である。
関連記事
同期発電機のベクトル図
https://note.com/elemag/n/n33ae18d91c7e?sub_rt=share_pw
サイト
https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0