平成22年度 機械科目 問15 電験3種過去問
問題
考え方
この問題は、同期発電機に関する問題である。1相分の等価回路で考えると良い。
(a)は、無負荷時の条件で、内部誘導起電力を求める。次に抵抗負荷を接続した条件下で電機子電流を求める。電機子電流を求める際は、ベクトル図を書いて求める必要がある。
(b)は、1相分の等価回路から、出力を求める。三相であるから、3倍することに注意する。
解答例
(a)
無負荷時の三相同期発電機の1相分の等価回路を図1に示す。
図1において、無負荷なので、負荷電流$${\dot{I}}$$は、流れない。
したがって、内部誘導起電力$${\dot{E}}$$と端子電圧$${\dot{V}_{0}}$$は等しい。
よって、内部誘導起電力$${\dot{E}}$$の大きさ$${E}$$は、
$$
E=V_{0}=200\,{\rm{V}}\tag{1}
$$
となる。
次に抵抗負荷を接続した場合の1相分の等価回路は、図2のようになる。
問題文で三相同期発電機の回転速度は、一定となっているため、無負荷時の内部誘導起電力と負荷を接続した時の内部誘導起電力の大きさは等しい。また、界磁磁束については、問題文で触れられていないため、一定として扱う。
抵抗負荷を接続した時のベクトル図は、端子電圧$${\dot{V}}$$を基準ベクトルとすると、図3のようになる。
抵抗負荷なので、負荷電流$${\dot{I}}$$と端子電圧$${\dot{V}}$$は同相となる。
端子電圧$${\dot{V}}$$に同期リアクタンス$${jx_{s}}$$の電圧降下分$${jx_{s}\dot{I}}$$を足したものが内部誘導起電力$${\dot{E}}$$になるので、図3のようになる。
図3から、次式が成り立つ。
$$
\dot{E}=\dot{V}+jx_{s}\dot{I}\tag{2}
$$
ここで、端子電圧$${\dot{V}}$$は基準ベクトルであり、大きさ$${V}$$は問題文から、$${173\,{\rm{V}}}$$である。また、負荷電流$${\dot{I}}$$は、端子電圧$${\dot{V}}$$と同相であるため、力率は$${\cos(\theta)=1}$$である。負荷電流$${\dot{I}}$$の大きさを$${I}$$とすれば、同期リアクタンス$${jx_{s}}$$の電圧降下分$${jx_{s}\dot{I}}$$の大きさは、
$$
x_{s}I=1\times I=I\tag{3}
$$
となる。
内部誘導起電力$${\dot{E}}$$の大きさを$${E}$$とすれば、式(2)より、
$$
\begin{align}
E&=\sqrt{V^{2}+I^{2}}\notag\\
I^{2}&=E^{2}-V^{2}\notag\\
I&=\sqrt{200^{2}-173^{2}}\notag\\
&=100.4 \,{\rm{A}}\tag{4}
\end{align}
$$
となる。負荷電流$${\dot{I}}$$と電機子電流$${\dot{I}_{a}}$$は、図2より等しい。
よって、(a)の答えは(3)である。
(b)
1相分の出力$${P_{1}}$$は、端子電圧$${V}$$、負荷電流$${I}$$を用いて、
$$
P_{1}=VI\cos(\theta)\tag{5}
$$
で求まる。力率は抵抗負荷なので$${\cos(\theta)=1}$$である。負荷電流の大きさは(a)で求めたので、1相分の出力$${P_{1}}$$は式(5)より、
$$
\begin{align}
P_{1}&=VI\cos(\theta)\notag\\
&= 173\times 100.4 \times 1\notag\\
&= 17.37 \,{\rm{kW}}\tag{6}
\end{align}
$$
と求まる。よって、3相分の出力$${P_{3}}$$は、
$$
\begin{align}
P_{3}&=3P_{1}\notag\\
&= 3 \times 17.37 \times 10^{3}\notag\\
&= 52.11\,{\rm{kW}}\tag{7}
\end{align}
$$
となる。よって、(b)の答えは、(3)である。
サイト
https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0