観光周遊謎解きの理想形『奈良謎解き寺巡り』
2024年6月に体験して、とても良かったSCRAPの周遊謎解き『奈良謎解き寺巡り』が2025年7月31日まで会期延長となりました。めでたい!
そこで、ぜひ多くの人に体験してもらいたいなあという願いを込めて、なぜそこまで石川に刺さったかという視点で『奈良謎解き寺巡り』をネタバレなしで紹介したいと思います。
石川が観光地謎解きに求めるもの
『奈良謎解き寺巡り』は公式サイトに書かれているように、周遊系の中でも観光を意識した内容かと思います。
こういった観光地の周遊謎解きに石川が期待するのは
「謎解きならではの観光体験」
です。その上で期待する体験には自分は2パターンあって
A.有名な場所だけど謎解きで深掘りしてくれる
B.知られざる場所へ謎解きで誘導 or 教えてくれる
『奈良謎解き寺巡り』はAに近いタイプだと思います。
(同じSCRAP作品でも東京や大阪の地下鉄謎とかはBの要素が強い印象があります)
奈良というのは古都であるということはみんな知っていて、歴史的な建物を多いということは知っていても、じゃあ具体的に何があるのかというと、あまり知らない人も多いのではないでしょうか。石川も「大仏と……鹿?」くらいの知識しかありませんでした。
なので、こういう場所の周遊謎解きは有名な場所を中心に組み立てるAパターンが向いているかと思います。
このパターンで重要なのは、観光として王道な場所に導きつつ、謎を解いていくと自然とその場所のことや歴史が深く分かってくることだと思います。ある意味当たり前の話なのですが、実際には魅力的な観光地であるにもかかわらず周遊先を謎解きの道具としてしか使わない謎解きも多いのです。
たとえば色とか文字とか形を謎解きで拾わせるだけのために、何の意味もないような場所に行かせる。ひどいのになると、その場所に謎解きのパネルが設置されている。これって周遊する意味があるの?と思ってしまいます。
もちろん、主催側の都合等で謎解きに向いてない場所を周遊先に指定されてしまい、どうにもできなくてそのような方法を取らざるを得ない場合もあることは承知ですが、それでもその場所を最大限活かそうという努力が見える周遊謎解きは応援したくなります。
その場所ならではの謎解き
『奈良謎解き寺巡り』がよくできているなと思うのは、謎を解くのにその場所ならではの観光や歴史の情報が必要で、それゆえにその場所に足を運んでそういった情報を探す必要がある。
更に謎解きのギミックそのものが、奈良の特長を活かしているものが多い(ネタバレせずに伝えるのがなかなか難しいのですが)
そして謎解きに使ったその情報は、場所の理解を深める役割を果たしている。
そもそも謎解き用の基本冊子とLINEが自然に観光ガイドっぽい情報を提示してくれる形式になっていて、謎を解いていくと自然に奈良についての理解が深まるという形になっているのがよいなと。この周遊謎で石川の奈良理解は冗談抜きに100倍くらいになったと思います(笑)
このバランスはなかなか難しくて、場所のアピールや理解が前面に出すぎると、謎解きが単なるおまけや関門でしかなくなってしまい、謎ときそのものが楽しくないことがあります(自治体主体の謎解きとかだとけっこう見かけます)
『奈良謎解き寺巡り』はまず謎解きがきちんとあって、その中に場所ならではの情報やギミックが上手く織り込まれているなと思います。
ついでに、LINEでその場所に応じた寄り道ポイントを確認できるのも良いです。こういった寄り道情報は冊子に入れているタイプもありますが、LINEだとそのままマップ表示やその場所の公式ページなどにも飛びやすく、またページ数を気にしなくていいので多めに情報入れられるのがよいですね。
欲張らないエリア範囲と移動のガイド
周遊のエリアをあまり欲張っていないのも年寄りにはありがたいです(笑)。『奈良謎解き寺巡り』の各エリアは徒歩で移動できる範囲で、結果的にはけっこう歩くのですが、謎解きやっている時点ではあまり気になりませんでした。これは大きなエリアからエリアへの移動がさほど遠くない地点に設定されているためだと思います。
また、次に行く場所がはっきりしてるのに迷った時にLINE経由で正しい目的地をマップに表示できるのも有り難い(2回ほど迷ったw)
このシステム、初めて体験したのですが、他でも使われているんですかね?ぜひ他でも採用してほしいです。
観光地謎としての真摯な作品
ちなみに難易度としては、謎解きそこまで得意でない石川から見て「普通~やや難しい」くらいでした。1人で参加&時間が限られていることもあって、何度かヒントを見ています。ただ、理不尽と感じられるような謎はなかったと思います。
ちなみにヒントは段階的に表示されますが、どうしても分からない場合は最後は正解を教えてくれるので安心です。
ここまで奈良の観光地とか歴史と紐づけた謎を作るの大変だったのではないかと思います。安易な方向に逃げようと思ったらいくらでも逃げられるので。それをやらずに1つの作品にまとめ上げた姿勢を高く評価したいと思います。
この謎解きのコンテンツディレクターのお一人は吉野晃史さんという方のようです。寺社仏閣が大好きみたいで、奈良への愛情溢れる謎解きを作ったのも納得できます。
ということで、『奈良謎解き寺巡り』は周遊謎解きあまりほめない石川が、やってよかった!と思えた作品でした。
特に奈良をちゃんと観光したことがない人とか、修学旅行でしか行ったことがない人で、観光地を楽しみながら謎解きしたい方にはおすすめです。
期間延長で、更に多くの方に楽しんでもらえると良いなと思います。
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