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『ARGガイド2024』はこんな同人誌です

2024年8月のコミックマーケット104に合わせ、念願のARG同人誌『ARGガイド2024』を発刊しました。
ARGについて書きたいことをどんどん積み重ねていったら、A5版で150ページを超える分厚い冊子になってしまいましたが、よく考えてみたら内容の詳細についてまとめたものがなかったので、改めて紹介記事を書いてみたいなと思います。
なお、各頁の写真はPDF版のものを使っておりますのでカラーです(冊子版はモノクロとなります)


制作した理由

この同人誌を作ろうとした理由については、同人誌の「はじめに」に書かれているので、ちょっと長くなってしまいますが引用したいと思います。

(前略)ARGの同人誌というとRDGさんが2010年に発行した(たぶん)日本初の同人誌『ものがたりとげんじつのあいだ』が思い出されますが、「ARG普及本」と銘打たれているように、当時ようやく日本でも紹介が始まったARGというジャンルそのものを紹介することが主眼の本でした。
『ARGガイド2024』はARGについて広く紹介したいという意図ももちろんあるのですが、それ以上に2024年現在のARGの状況や各作品の内容記録という部分を意識しました。
というのも、ARGはリアルのメディアやリアルタイムのイベント要素が多いため、時間が経つととにかくどんな内容だったかを追うことが非常に難しくなるコンテンツだからです。今回の同人誌で取り上げた過去作品のいくつかも、調査がかなり大変でした。
また、それらのARGに参加した方々の視点や体験も、時と共に記憶が薄れ、辛うじて記録されたBBSやまとめblog、SNSなどの感想も、これまた見られなくなっていくことが増えてきました。
今なら情報も感想もたくさんある『Project:;COLD』や『かがみの特殊少年更生施設』ですらも、10年後はどこまで追うことができるのか正直分かりません。
そういった情報と記憶を少しでも文字にとどめておきたい、というのがこの同人誌を作った大きな理由です。(後略)

ARG年表

内外の代表的なARGを年表にまとめたものです。
国内事例についてはえぴくすさんをはじめとして詳しい方が何人もおられたのでさほど苦労しなかったのですが、問題が海外事例でした。
というのも、海外も2010年代半ばくらいからあまり大規模なARGが制作されなくなっていて、この年を代表するARGは何かという情報があまり伝わってこなくなっていたからです。
いろいろ悩んだ結果、ARG情報の老舗にして最大手「ARGNet」のMichael Andersenさんに相談してみたところ、山のようなリストを送っていただき、充実させることができました。
石川も「え、こんな作品のARGもあったの?」と驚くものもあり、手前味噌ですが、ここまで詳細なARG年表は初めてではないかなと思います。

ARGとは何か(文:石川淳一)

最初、ARGの定義を過去の例も含めいろいろ書こうかと思ったのですが、 ARGをよく知らない人にとってはその内容すらよく理解できないよなあと思い直し、何か具体的な内容を例示して解説した方が伝わりやすいのではと書いた文章がこれでした。
ちょうどいい案配に、ARGの元祖『The Beast』序盤の展開が説明に最適な要素をほぼ内包していたので、その詳細を説明した上で、どのあたりがARGの特長かという解説を入れていきました。

ちなみに『The Beast』も、もう四半世紀近く前の作品で、元祖であるということや予告編に仕掛けがあったみたいな説明は日本でもけっこう見かけるのですが、具体的な展開はあまり書かれてなかったので改めて調べなおして書きました。予告編動画で特定の文字が光って注意を促していたとか、自分でも知らない内容がけっこうあっておもしろかったです。

Project:;COLDの魅力(文:リー猫)


この作品について語ってもらうのだったら、もうSNSやnoteなどで積極的に魅力を発信しているリー猫さんしかいないでしょ!とお願いした原稿。予想どおりProject:;COLD愛に溢れた内容になりました。
『Project:;COLD』の1.0から最新作2.0まで、リー猫さんがどのようにこれらの作品に接し、感じたかの熱気が伝わってくる原稿です。

日本のARG史における『Project:;COLD』の衝撃(文:えぴくす)

こちらはARGの歴史を振り返りながら『Project:;COLD』が日本のARG界に果たした役割について分析したえぴくすさんならではの原稿。
特に『Project:;COLD』登場以前に、日本のARGがなぜ一度ダメになったのか、そして『Project:;COLD』がどのような方法でその殻を破ったのかという分析は、長年日本のARGを見てきたえぴくすさんならではの文章です。

あの素晴らしい猿をもう一度(文:三月)

国内ARGの1つ『ストライド メガミステリーラスト』(2014年)。懸賞金1080万円がかかっていたり、月刊ムーが関わっていたり、過酷な現地ミッションがあったりと、いろいろな伝説が語られる作品です。
このARGを語ってもらうなら三月さんしかいないだろうとお願いしました。当時参加していたからこそ書ける、ライブ感とユーモア溢れる原稿です。
最後の「おまけ」もすばらしいのでぜひ読んでもらいたいです。

史上最大のARG『Why So Serious?』(文:えぴくす)

バットマン映画『バットマン ビギンズ』と『ダークナイト』の間をつなぐARGとして、1年以上にわたる期間に参加人数1000万以上を動員し、カンヌ国際広告祭サイバー部門でグランプリも受賞した史上最大規模のARG『Why So Serious?』。その展開やギミックを余す所なく書いています。
「体験型エンタメ情報局」に掲載された記事を元に一部図版などを同人誌用に入れ替えました。

トレーディングカード型ARGの世界(文:石川淳一)

ARGの歴史の中でもいまだユニークなトレーディングカード型ARG『Perplex City』と『名探偵コナン・カード探偵団』について書いた石川のnote記事を全面改稿。図版とかもかなり追加しました。
「名探偵コナン」にこんなARGがあったと知らない人も多いのでは。

実録「かがみの特殊少年更生施設」の ラビットホールに落ちるまで(文:えぴくす)

「かがみの特殊少年更生施設」を題材に、ARGとは何かまで踏み込んで論評したえぴくすさん の力作。
実は某公式パンフレット用に書いてた文章だが、長すぎて自主ボツにした原稿というのは秘密w

日本のARGもこんなに面白い!(文:えぴくす)


入稿原稿前の最終文字チェックをえぴくすさん にお願いしたら、なぜか校正ではなく追加された原稿。

日本のARGの中からギミックとして面白かった小ネタが17個紹介していています。内容的に楽しかったので仕方なく採用しましたが、調子にのってどんどん追加するのはやめてください。

今から手に入れたい方へ

同人誌即売会は今のところコミックマーケットしか参加していないので、対面の頒布は冬コミまで予定ありませんが、以下の場所で冊子版、PDF版が手に入るのでよければご活用ください。

【冊子版】

※冊子版にはすべてPDF版の無料ダウンロード権が添付しています。

■BEEP

https://www.beep-shop.com/ec/products/detail/IB-2--53766

※秋葉原店店頭でも入手できるかと思います

■メロンブックス

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2516889

【PDF版】

PDF版はBOOTHで頒布しております。冊子でなくてよいという方はこちらをご活用ください。

https://elejun.booth.pm/items/5946169

おまけ

ところで、『ARGガイド2024』を隅々まで読み、ささやかな代替現実体験をした人たちが何人かいるようです。

いったい、何なのでしょうか?


【お知らせ】
体験型エンタメ研究のメンバーシップ(有料)を作ってみました。
メンバーシップ向けの特典コンテンツというよりは、石川が体験型エンタメのnote記事を安定的に執筆するために支援してもいいという方向けになります。下記記事を読んでみて気に入ったらご検討ください。


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