スペイン放浪記 バルセロナ編2
こんにちは!ツアーガイドのFujikoです✨
13年前に書いたスペイン留学ブログ「不惑のハポネサ」を、25回のシリーズで別バージョンでお届けします。映画業界で働いていた頃の体験をお楽しみください!
■突然ですが、問題です❓
スペイン・バルセロナ市内で、当初は贅沢な分譲住宅になる予定だったのに、結局は公園として観光名所となったのはどこか?
答えは、「グエル公園」でーす🎉
この顛末は、1900年にバルセロナ市北部にあるカルメル山の一部をエンセビ・グエル伯爵が購入し、その開発をスペインを代表する建築家アントニオ・ガウディに託したことから始まる。
「田園都市」をモデルに、喧噪の都市部から逃れて静かに過ごしたい――。
そんなブルジョワ階級をターゲットに豪華な住宅街を建設するビッグプロジェクトが開始された。
しかし14年後、ぶっ飛びすぎと言われてもしかたがない建築物や街づくりのアイデアに、さすがのブルジョア階級もどん引き…したかどうかはわからないが、事実、買い手はほとんどつかずじまい。
なんと、購入したのはガウディとグエル伯爵のみ。
計画は半ばで中止になり、土地はバルセロナ市に寄附されることに。
現在はグエル公園としてバルセロナの名所になったというわけだ。
ガウディが意地(?)で住み続けたその住宅も、今では美術館に形を変えている🏛️
■寒空のなか🌬️
マドリードを拠点としていた私がバルセロナを訪問したのは2月。
冬でも地中海気候の穏やかな天気のバルセロナには珍しく、寒気団が訪れていた⛄
暖房器具のない滞在先の友人宅は、外と同じくらいに寒い。
マドリードよりも温かいイメージだったのに、その日の気温は5度。
寒空の下、防寒具を持参しなかった私はスーツケースにあるありったけの服を着込んでグエル公園を散策することになった。
■あらら、間違えちゃった!?😅
グエル公園最寄りの地下鉄の駅を出て大通りを歩くと、観光客らしい人たちがチラホラ。
平日の午前中にカメラを片手に歩いているのは観光客の証である。
少しすると左手に急勾配の坂道が。
その道は何百メートルと続き、両脇には住宅がビッシリと建ち並んでいる。 それだけなら驚くことでもない。
しかしなんと、道の真ん中には階段と共にエスカレーターが設置されているのだ🛗
なんとも不思議な光景。
事前に聞いた友人J君のアドバイス通り、私は迷わずエスカレーターに乗り、体力の温存に努めることにした。
エスカレーターで頂上まで登り切るが、フェンスがあるだけで入り口らしきモノはない。
グエル公園の入り口には色とりどりのトカゲの噴水があると聞いていたのだけれど…。
フェンスの中の敷地に入り、幅の広いくねくねした道を下るとガウディらしきデザインの住宅を見かける。
ガウディらしい雰囲気はいやというほど漂っているが、自分が目的の場所にいるのか、いないのか、半信半疑状態が続く。
しかし、回廊と石を積み上げてできた円柱を見た瞬間に確信した。
「こんなデザイン、ガウディしかあり得ない。ここがグエル公園だ」。
前日にCasa Batllo(カサ・バトリョ)を堪能し、ガウディ建築の何たるかをわかりきった気持ちになっていた私。
だからそのような勘が働いたのだろう。
(連載「スペイン放浪記 バルセロナ編1」参照) 独特な曲線、溢れる色使い、ガウディ独自の発想が隅々まで見受けられる建築物が、次々と現れてきた。
ワンダーランドに迷い込んだように楽しい🎉
自然の石の造形をいかした円柱には、特に感動を覚えた。
新興住宅街というと「静寂」をイメージしがちだが、それとは180度違うエネルギーが湧き立っている。
カサ・バトリョにはないガウディの魅力が、ここにはある。
そして、どうやらエスカレーターで到着した地点は本来のゴールらしく、そこから逆流して入り口へ向けて歩いていたらしい。
どこが入口かもわからずに歩き回り不安であったが、結果、坂道を下りながら建築物を見学できたのは楽だった。
むしろラッキー!
単純な私である。
■おひとり様は…🤔
1時間30分程度、ゆっくり歩いたグエル公園では写真撮影を頼まれる機会が多かった📷
中国人のカップル、イタリア人の大学生、日本人や東欧系の旅行者など国籍は問わず。
40歳を過ぎた日本人女性(私)が一人でプラプラ歩いていると、声をかけやすいのだろうか?
こう見えても、私自身は声をかけられにくい顔つき、かつ人を寄せつけないオーラを発している人間だと思っているので、次々に声をかけられたのは意外だった。
その半面、写真を撮り続ける自分に一抹の寂しさを感じた。
あー、誰かと一緒にいれば良かったのになー。
名所と呼ばれる観光地のなかでも、ここは大勢でワイワイ訪れた方がより満足感を得られる場所だと思った。