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16: ヒアリングのトラウマ

最近、高校3年生を対象に行われた英語力(読む力・書く力・リスニング・スピーキング)のテスト結果に驚いています。以前は、読む力・書く力が強く、リスニング力とスピーキング力が弱いという結果でした。

しかし、今回のテストでは、リスニング力も前者二つと同じくらいの高成績を上げていました(残念なことにスピーキングは相変わらず進歩がありませんでしたが・・・)。これは、SNSを通じて外国映画やニュースなどで生の英語に触れられる機会が増えたおかげでしょう。

ところが、英語を問題なく話せる大人たちが、海外出張から帰ってくるたびに「今回も聞き取れなかった」と落胆の色を表すことが多々あります。「どこへ行ったの?」と尋ねると、「フランスとスペイン」とか「ニュージーランド」と答えます。

私はそういう人々に、「聞き取れなくて当然です。落胆する必要はありませんよ!」と励まします。なぜなら、本当に聞き取れなくて当たり前だからです。英語ネイティブの人々の英語でさえ聞き取りに苦労している日本人が、フランス訛りやスペイン訛りの英語を聞かされたら、聞き取れるはずがありません!

日本人は、外国人、特にcaucasian(白人)を見た瞬間、日本人は彼らをアメリカ人だと思い込むのです。従って、caucasianが話せば自動的にパーフェクトな英語と思ってしまうのですね。

実は、スペイン人やフランス人の話す英語には独特のアクセントがあり、日本で言うならば鹿児島訛りの人が津軽訛りの人と会話するようなもので、聞き取れなくて当たり前なのです。

私は彼らに自信を持たせるため、以下のようなエピソードを話して日本人の自信回復に努めます。
エピソード16
1. 私が以前、ニュージーランドの南島の農家をアメリカ人の上司と訪ねたとき、農家さんが畑でいろいろと説明してくれていたのですが、全然理解できませんでした。そこで上司に「何を言っているのか分からない」と伝えたところ、「問題ない。俺も50%以上理解できていないから」と返事が返ってきました。

2. ゴルフ場で前が詰まっていたので、ティーグランドで待っていたところ、後ろのグループも追いついてきました。その時に彼らが話しかけてきましたが、私は何を言っているのか分かりませんでした。スペイン人のグループかなと思っていたら、同伴していたアメリカ人が「彼らはスコットランド人だ」と言いました。

3. だいぶ前、シンガポールへ出張に行ったとき、彼らの多くが英語を当たり前のように使い事業を行っていることに感心しました。しかし、彼らの使う英語が理解できませんでした。後で聞いたところによると、彼らの使う英語は「シングリッシュ」と呼ばれるもので、中国語アクセントで英語を堂々と話すのです。日本人もこの姿勢を学びたいものです。「ジャパングリッシュ」とか言ってね。数年前、シンガポールへ行ったときは驚きました。彼らの英語が綺麗な英語アクセントになっていたのです。

このように、異なるアクセントや訛りがある英語の聞き取りは上級者であっても難しいものです。自分の聞き取り力を過小評価せず、自信を持ってください。

ヒアリングのトラウマに陥らないための二つの策があります。それは、

① 話の主導権を取ることです。どうやって?それは、話題をこちらから提供することです。自分が持ち出した話題なので、何について話しているのかが手に取るように分かります。従って、多少アクセントが違う人でも、ネイティブスピーカーが機関銃のように速く話しても、聞き取ることができます。このような努力を通じてトラウマから脱出してください。

② もう一つの方法は、自分から質問していくことです。これも話す話題がわかっているので、相手の発する言葉をほぼ想像でき、理解することができます。疑問文の作成能力が必要ですね、ジャンジャン稽古してください。


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