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インピーダンスのマッチングについて

インピーダンスとは、交流の回路における電気の流れにくさ、つまり交流時の抵抗値です。理想的な抵抗(レジスタンス)は直流でも交流でも同じ抵抗値ですが、理想的なコンデンサ(容量性リアクタンス)は交流の周波数が高いほど直流時より抵抗値が低くなり、理想的なコイル(誘導性リアクタンス)は交流の周波数が高いほど直流時より抵抗値が高くなります。

インピーダンスは、
・長距離(伝送周波数の波長を無視できない距離)を“電力”伝送する場合。
・トランスで電流・電圧の比を変換しながら“電力”伝送する場合。
に、インピーダンスマッチングを意識する必要があります。

電力を効率良く伝送するには、出力インピーダンスと入力インピーダンスをマッチング(一致)する必要があります。特に、伝送距離が伝送周波数の1/10波長以上になると、インピーダンスが不一致の場合、反射を起こして電力の無駄が発生します。

しかし、オーディオの場合は低周波ですので、真空管アンプなど出力トランス付きアンプのみ、インピーダンスマッチング(入出力インピーダンス一致)を意識すれば大丈夫です。それも大体合えば結構です。それ以外の機器は“電圧”伝送で設計されているので、ローインピーダンス出力・ハイインピーダンス受けとなっていて、インピーダンスマッチングする必要はありません。ちなみに電圧伝送の入出力インピーダンス推奨比は10〜15倍程度です。

スピーカーのインピーダンスが公称8Ω(オーム)であれば、真空管アンプの8Ω端子で、スピーカーが6Ωだったら、4Ω端子に繋げてください。壊れることも無いですし、真空管アンプは元々の効率が悪いので、無駄もたかが知れています。

気をつけてほしいのは、レコードプレーヤーでMC(ムービングコイル)型カートリッジを使用する場合です。MC型カートリッジは昇圧トランスを使う場合がありますが、プリアンプ側は電圧伝送で動作するので、実はインピーダンスマッチングはしておらず、昇圧トランスの出力側はローインピーダンス出力・ハイインピーダンス受けで動作しています。

MCカートリッジの出力インピーダンスが40Ωだとすると、昇圧トランスの入力インピーダンスは40Ω、出力インピーダンスは大体4キロΩで設計されています。アンプ側の入力インピーダンスは通常47キロΩですので、電圧伝送のインピーダンス推奨比をクリアしています。

これをアンプ側の入力インピーダンスを4キロΩまで下げ、無理矢理インピーダンスマッチングさせますと、実際にはMCカートリッジの出力電圧が半減し、SN比が6デシベル悪化します。

最近流行りのMCカートリッジを直接接続できるプリアンプは、設計が稚拙なものも多く、たとえば出力インピーダンス40ΩのMCカートリッジに対し、プリアンプの入力インピーダンスが100Ω程度の場合、適切な設計のプリアンプよりSN比が3デシベル程度悪化します。出力インピーダンスが40Ωの場合、適切な設計ですとプリアンプの入力インピーダンスは470Ω以上になります。ご注意ください。

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