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クラファンは資金調達ではない。広告であり,市場調査である.

クラウドファンディングとは

耳にしたことがある方も多いと思うが,クラファンとは以下のようなものだ.

クラウドファンディングとは、群衆と資金調達を組み合わせた造語であり、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを意味する。ソーシャルファンディングとも呼ばれ、日本語では「クラファン」と略されることもある。
wikipediaより

近年はクラファンで数億円集まった例などがあり,大企業の参入も多く見られる.最近で多額の支援を集めたプロジェクトだとCAMPFIRE(クラファンのプラットフォーム)の「【シスター・プリンセス】バーチャルライブで、お兄ちゃんたちに元気をとどけたい!」が2000万円を短時間で達成し話題になった.

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クラファンの種類

クラファンには
・金銭的リターンのない「寄付型」
・金銭リターンが伴う「投資型」
・プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」
の3種類がある(別の分け方,呼び方もあるが今回はこの呼称を用いる).
今回は特に購入型について詳しく書く.

それぞれの特徴

クラファンではそれぞれの特徴を知ることが重要だ.

「寄付型」
社会貢献などの活動がこれに当たる.

「投資型」
これは一般的なイメージ通りのクラファン.なにか事業を成したいのにお金がないためクラファンを利用しているものだ.

「購入型」
前述のシスプリのプロジェクトは購入型である.購入型とはクラファンの名前を使ってはいるがただの予約販売とほとんど変わらない.

購入型でクラファンを使う理由

寄付型や投資型がクラファンを使うのは資金調達の必要に迫られたためである場合が多いのに対し,購入型クラファンはただの予約販売なのでクラファンを使わなくても良い.なぜクラファンのプラットフォームを用いるのか.クラファンは掲載し支援が集まっても手数料で多くて20%を取られる.自社のサイトで予約販売を行えばその手数料は0円である.

ではなぜクラファンを使うのか?それはクラファンは広告で市場調査だからである.クラファンの掲載などの手数料は広告費,市場調査のコストとして考えるべきである.クラファンのプラットフォーム自体も似たことを言っている.CAMPFIREのサービス資料ではCAMPDFIREを使うメリットとして「資金調達」「顧客を知る」「PR」の3つを上げている.

広告費として考える

自社のサイトで予約販売をしたらそれを見に来るのは明確に購入の意思がある人が大半だろう.たしかにページのインプレッションに対しての成約率は高いかもしれないが,大切なのは成約件数である.インプレッションが100件で90%の人が契約するのより,インプレッションが1万で1%の方が成約の件数は多い.まずは「知ってもらう」.無名な製品やサービスほど,知られるということが重要であることは言うまでもない.知らなければそれは選択の範囲にも入らない.

ではクラファンのサイトに掲載したらインプレッションがどれだけ増えるのか.CAMPFIREでトップページ乗ったら月間1000万PVである.単純に考えて自社のサイトのインプレッションがこれを越えることはないだろう(俺はスーパーインフルエンサーだからこれくらい余裕だぜというのならここはあまり気にしなくていい).

さらに言うとクラファンの支援者は既にお金を出すことになれている.当然クラファンのページを見るユーザーならば,「面白いプロダクトがあればお金を出そう」という気持ちが多少なりともある.そうでなければクラファンのサイトを見に来ないだろう.そうでなくとも今までクラファンをしたことがある人のほうがお金を払う敷居が低いだろう.

少し逸れるが,お金を払うという感覚が弱い人は一定数いる.確かにうまくやりくりし,無数の広告と数pixelのcloseボタンを押す不便を乗り越えれば無料のサービスは多くある.musicF○や,少し前だと漫○村などがあった.こういったアレなサービスの利用者にお金を出させるというのはムリである.これらにアプローチするのは無意味である.前述のクラファンをしたことある人にアプローチするのはこれらの人々より建設的だろう.

クラファンのページだけが広告ではない.クラファンは成功するとニュースになる.例えば声優の小岩井ことりプロデュースのイヤホンのクラファンなどは開始15分で目標額を達成するなどでニュースになっている.またこの集まった事自体がニュースになると,クラファンの成功を称賛するSNSへの投稿も増える.

「そんな簡単に成功しないよ…」って尻込みしているそこのあなた!安心してくれ.クラファンは成功するまでやれば良い.CAMPFIREのAll-or-Nothing方式などでは目標金額に届かなかったらお金は支援者にすべて返される.成功しなかったら掲載料も取られない.つまり失敗してもノーリスク.ということは成功するまで何回もプロジェクトを立てて,工夫をこらすことができる.確かに「1回きりのチャンスで100万円の支援を集めろ!」っていうのは難しいかもしれない.でも2回目は1回目のときより広告を使ってみれば1回目より多く支援されるだろうし,3回,4回と重ねていったらできる気がこないか?それに新規プロジェクトはトップページの新規プロジェクト枠に乗りやすいため,支援者の目に付きやすいことは想像に難くないだろう.

市場調査として考える

次にクラファンは市場調査になる.Makuakeというクラファンを見てみよう.トップページはガジェットや商品のプロジェクトがほとんどだ.

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これらのプロジェクトを覗いてみると,プロジェクトオーナーはこれらの商品の会社………ではなく輸入代理店がほとんどだ.資金調達として行っているクラファンでは自社でこれらのプロジェクトを主動していることが多い.ただの予約販売として使うときには輸入代理店などが主導していることが多い.なぜ輸入代理店がやっているのか,少しだけ彼らの気持ちで考えてみよう.

まずあなたは輸入代理店の社員です.あなたはアメリカのクラファンで数億円を集めた革新的なガジェットを日本に輸入して販売したいと考えています.以下の1,2を考慮しつつ,どうやって輸入の量を決めるか考えてください.

1.売れ残らない量を輸入したいが,売れるのならいっぱい輸入したい
2.革新的なガジェット過ぎて日本で受け入れられるかわからない

どうですか?どれくらいの量にするか決められそうですか?
えっ?情報が少なすぎる?
そのとおり.情報が少ない.じゃあその情報はどうやって集めるの?
街頭調査で欲しい人の統計を取る?インターネット調査をする?
たしかにそれも一つの方法だ.

じゃあここでクラファンだったらどうか考えてみよう.まずクラファンは掲載するだけなら無料.掲載してもらっていっぱいお金が集まったらこれは大量に輸入しても売れる.集まらなかったらあまり売れない.実に単純明快.集まらなかったら輸入しないこともできる(CAMPFIREのAll-or-Nothing方式)のでこのプロジェクトが失敗しても負債はない.逆に集まったら商品を発注すらしていない状態でもまとまったお金が手に入るので,それを商品の大量輸入や販路などの初期費用として投じることもできる.

どれだけ売れるかわからない商品をとりあえずでクラファンに出すのはかなりアリ.だってノーリスクで需要がわかってしまうんだもの.そし往々にして購入者はこの「購入した」ことをツイートする.クラファンのプラットフォームによっては管理画面でさらに詳しい購入者の属性なども知ることができる.

まとめ
・クラファンはプラットフォームのパワーを使って多くの人に見られやすい広告
・クラファンで宣伝するとユーザーによる拡散が見込める
・クラファンで現物がない状態でもユーザーの反応を知ることができる

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